双子の教育2
その日の昼ごはん後に双子のところへ出向いたハンナは昼からは遊んでもいいのだとふたりに告げた。
「今まで勉強ばかりしていたけれど、外に出てみない?お庭にはたくさん面白いものがあるのよ」
「え?でも僕たちには勉強があります。ちゃんとしないと公爵様になれないんです」
この子たちまでこんなことを……。どうしてこんなことを植え付けていたのかしら?
「先の公爵閣下がおっしゃったの?」
そしたら双子はコクっと頷いた。
「お父様は、お兄様に勝たなければならないとおっしゃっていました」
先の公爵閣下と言ったのはわざとだ。
自分ことを父だと言って育てていたかはわからないと思ったからだ。
だがお父様と呼ばせていたようだ。
それにしてもお兄様に勝てないとは……。
先の公爵閣下はよほどウィルバートとは反りが合わなかったのかしら?
「ねえ。ジャック、そしてジェニファー」
ハンナはふたりと目戦が合うように床にしゃがみ込み、ふたりの手をとった。
「勉強はお庭でもできるのよ。知っていた?」
「え?お庭でも?」
ジャックは驚きの声を上げる。
ジェニファーは黙って兄に従っているようだ。
どうやらこの兄妹。兄の方が主導権を握っているらしい。
「そんなことあるわけ……」
「じゃあ確かめるために一緒にお庭へ行きましょうか」
半信半疑の表情でうなづいた双子の手を握ったまま部屋を出ると、ふたりはおそるおそるというふうに着いてきた。
周りをキョロキョロ見回しているところを見るとフィーネがどこかにいないかビクビクしているようだ。
「フィーネのことはもう気にしなくていいわよ」
「どうしてですか?」
「フィーネは侍女を辞めることになったの」
今の段階ではフィーネはソルディに連れ出してもらったあと、自室に戻らせ、そこから出ないよう言いつけてある。
言うことを聞くとは思えないので扉の前にはもちろんソルディを待機させている。
侍女は別の者に変えるつもりだ。
「え?本当に?」
今まで口を開かなかったジェニファーが思わずといったふうに声をあげた。
「ジェニファー!」
ジャックが怒るように言うと、ジェニファーは口に手をあてて、しまったというふうにしょんぼりとなった。
「いいのよ。ジェニファー。フィーネが怖かった?」
ハンナがやさしく聞くと、ジェニファーは顔をあげてジャックを窺ってからこくっと頷いた。
「ジャックももう怖がらなくていいのよ。彼女はふたりに勉強するようきつく言っていた?」
「えっと……」
ジャックはジェニファーを睨みつけるようにしたのもあってか、もごもごと口ごもっている。
「あの……、ハンナおばさま」
ジェニファーが小さな声を出した。
「おばさまはわたしたちを助けてくれるの?」
助けてくれるだなんてこんなことを子どもに言わせるほどきつく叱っていたのだろうか?
ああ、かわいそうに……。
「おばさまはいつでもあなたたちふたりの味方よ。だからもう怖がることはないの」
ハンナは自分の方へふたりをひしと抱き寄せた。
「勉強をがんばりながら、楽しいこともしましょうね」




