驚くべき事実1
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「約束してあるのだから追いかけてくる必要はないぞ」
朝食後にウィルバートの後を追うように執務室までついていくと、執務室に入る手前でウィルバートが振り向いた。
「まったく。君という人は……」
「お忙しい閣下にはすぐに別の予定が入ることもございましょうから」
そう言ってハンナはにっこり笑うと、「失礼します」と執務室に入りバタンと扉を閉めた。
わざわざこの部屋を選んだのは、この部屋なら扉を締め切ることができるからだ。ウィルバートの私室だと男性と女性がひとつの部屋で話す場合は少し扉を開けておかなければならない。
ここなら公的な仕事部屋であり、補佐官のヤーコンもいるから開けておく必要はない。
「昨日で予定は片付いた。しばらく王都に行くことはない」
そう言うとソファに座るよう手を差し出す。
「では失礼します」
と遠慮なく腰かけると、ヤーコンがお茶を淹れてくれるのを待った。
目の前にウィルバートは足を組みじっとハンナを観察する様に眺めている。
「それで?相談というのは?」
「単刀直入に言います。双子の教育についてです。五歳の子に対するものとは思えません」
「というと?」
「厳しすぎます。朝早くから夕方遅くまで、みっちりしたスケジュール。五歳にして数学や科学の授業など理解できるわけもありませんし、遊ぶことも必要ではないかと。このままではふたりが潰れてしまいます。失礼ながら、閣下がお忙しいのは存じておりますが、父親として子どもたちの教育に興味がおありではないのですか?」
「……」
「あの?」
じっとハンナを見ている。
「そもそも君がここにきたときから何か誤解があるようだが……」
「誤解?」
「俺はあの双子の父親ではないぞ」
「……」
一瞬、ウィルバートが何を言ったのかよくわからなかった。
「え?」
頭を整理する必要がある。
「どういう意味でしょう?」
「そのままの意味だ。あの双子は俺の子ではない。そもそも俺は結婚していない。独身だ」
思考停止しそうな脳で考える。
「え?ええっ!では双子は誰の?」
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