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下に降りると、呪いをかけられた護衛が頭を下げる。
「ありがとうございました」
それに続き、レジナルド殿下の護衛と、もう1人の殿下の護衛も頭を一斉に下げた。それはもうピシッと綺麗に。
「いや、頭を上げて下さい。 大丈夫なら良かった。な? エミリア」
うんと頷いたエミリアだったが、レジナルド殿下の護衛の3人を凝視し、だんだんと眉間にしわを寄せ、3人の方へ歩いていく。
「エミリア?」
3人の前で手をかざした。
「「「 ? 」」」
3人は、ボケーっとしている。 どんな魔法を使ったんだ? エミリアは俺を見て、
「ぺぺ、この3人の頬を叩くか、頭を叩くか、何でもいいからやって。 そしたら魅了の魔法が解けて正気に戻る」
「魅了? でも、ちょっと待て。よく知らない人をいきなり殴れと言われてもな・・・」
俺があわあわしていたら、アンが箱を使ってとジェスチャーしたので、エミリアが言ったことを伝えた。すると、もう1人の殿下の護衛が出てきて、私がやりましょうと箱を使って言い、3人にビンタをした。しかも加減なしで。痛そうだな・・・。
「!」 「!」 「!」
エミリアは3人の顔を見て、「ん、もう大丈夫」と満足そうに言った。
3人はまたエミリアに感謝を伝え、泣く奴もいた。
サイ、ゴウ、ドンの3人は、オーン国の人間でレジナルド殿下に魅了魔法をかけられ、マイロン国まで連れて来られたそうだ。本当にひどい殿下だな。赤く腫れた頬に治癒魔法をかける。
5年もこちらで過ごした、サイ、ゴウ、ドンはマイロン国の言葉を理解してるから通訳をしてくれた。
2階で話した内容を伝えた。
この国でもレジナルド殿下が奔放すぎて、扱いに困っているらしい。レジナルド殿下だけが側妃のお子で、この側妃も相手の国が無理矢理押しつけてきたそうだ。4番目までの王子殿下は正妃様のお子だそうだ。
呪いを使った事を重くみた護衛が鳥を飛ばし、それを受けて駆け付けてきてくれたのは第3王子殿下のブライアン様。 3男と聞くと、少し親近感がわくな。
俺達が真剣に話をしているのに、エミリアはアンが出してくれた菓子を食べながら、また昨日の店でご飯を食べたいと箱でやりとりしていた。お前らの会話が全員に聞こえてるんだからな?
第3王子殿下が降りてきた。 やりあったのか、顔が少し腫れている。1人だけ付き添った護衛もケガをしている。
「うちの弟がすまなかった」
ドンが通訳してくれる。
「大丈夫です。 傷を治しましょうか?」
「私は大丈夫だが、こいつをお願いできるか?」
「はい」
ケガをした護衛に治癒魔法をかける。
「すごい。 ありがとうございます」
ぺこりとする護衛に笑顔で返事をする。その間に他の護衛が第3王子殿下に報告をしている。
俺が暇になったのがわかったのか、エミリアが嬉しそうにニコニコしながら紙を見せてくる。
なんだこれ? 何て書いてあるんだ? 全く読めない。
「昨日のお店でこの紙をみせれば、昨日と同じ料理を出してくれるって。 アンが書いてくれた」
そう言いながら、破れたりしないようにする為か、その紙に保護魔法をかけている。欲求の為には徹底的ですな、エミリアさん。
「ぺぺロール殿、王宮に来ていただけないだろうか?」
え・・・。 イヤなんですけど。 断ってもいい?
エミリアはあからさまにイヤだと顔に出てる・・・。
「はは。 大丈夫ですよ。 国に帰る為に来てもらうのです。 弟の護衛達も帰りたいと言ってるので、皆さんがスムーズに帰れるように王宮に行きましょう。ね?」
ね? なんて言われても、この国に来てからロクな目にあってないぞ?ブライアン殿下を観察すると、見た目は髪は刈り上げ短く、銀髪に蒼い目をしていて男前。 レジナルド殿下と違って高貴なオーラが出ているが、急に笑顔で話すようになった。本当に信用していいのだろうか。
エミリアを見ると、紙を持って食堂に行きたいアピールを俺にしている。
「はは、その紙に書いてある料理を王宮のシェフにつくらせますから。 ね?」
ね?が、また出た。 口癖か? こちらも言いたいことは言っておこう。
「失礼な事を言っても?」
「どうぞ」 笑顔で言う殿下。
「この国に来てから、女盗賊にしつこく狙われ、魔物を倒し、呪いを使われ、 妻と離婚しろと言われ、散々な目にあってます。 しかも同郷の人間が3人も魅了魔法を使われ、遠いマイロン国に連れて来られてます。本当に信用してもいいのですか? 次もトラブルがあったら本当にこの国を嫌いになりそうですし、いい加減ブチ切れそうなんです」
「それは申し訳ありませんでした。 正直に言います。王宮に行ってから魅了にかかっている者が他にいないか確認してもらいたいのです。 後、弟や側妃が使う闇魔法についてお聞きしたい」
「・・・妻とは離れませんので、そこはご理解ください」
「了解しました。 行きましょう」
こうして俺達は、渋々マイロン国の王宮に行く事になった。




