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逃げすぎた魔法使い  作者: ぱんどーる


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「大したことじゃないんです。 爵位を渡すのでマイロン国の住人になって、私の傍にいてもらいたい」


「それは・・・。 申し訳ありませんが、私達はオーン国に帰って、家族に会いたいです」


横でエミリアも頷いている。


「・・・そうですか」


何なんだよ。マジで不気味だ。レジナルド殿下は細身で平均的な身長、黒い髪に黒い目。 髪は腰までありそうなほど長く、1つにまとめていて、とてもスッキリ、さっぱりとした顔をしているが、つり上がった細目の目の奥が怖い。 なるべく顔を見たくはないが、さっきから俺をその鋭い眼光でじっと見ている。


「!」


何かを感じたエミリアが、俺の腕を掴む。


「どうした? エミリア」


それと同時に、俺らの視界に入っていないドアの近くに控えている護衛から剣を抜く音がした。どうなってんだよ、まさか断ったから殺そうとしているのか?


「殿下、 主人の眼鏡には呪い返しの効果があります。 やめてください。 私にもそれは無意味です」


なんだと? 俺を呪おうとしているのか? ってか、エミリア、俺の事を主人って言った。それに王族相手にちゃんと話せてる。 やる時はやるな。さすが俺の嫁。


「はは、バレちゃいましたか。 でも私は大丈夫なんで、その呪い返しの効果を見せてもらいましょうか」


何を言ってるんだ? マジで頭がイカれた奴なのか? そう思っていたら、


「うがーっ、 ギャーっ」


後ろを見ると、護衛が膝をつき、頭を押さえ苦しんでいる。もう1人の護衛は目を見開き驚いている。


「ほお、本当に呪い返しができるんですね。 お見事です。 サイ、その呪いは強力なので自害したほうがラクになれますよ?」


「ぐはっ・・・で、殿下・・うがーっ」


最低な野郎だな。 護衛の扱いがひどすぎる。

エミリアが立ち上がり、護衛に魔法をかける。


魔法が効いたのか悲痛な叫び声は止まり、はぁ、はぁと肩で息をしている。エミリアが護衛の背中をなでながら、


「この部屋から出た方がいい。 私達は呪いの対策をしてある。 もう1度使われたら次は貴方だ。貴方も部屋から出ろ」


そう護衛2人にエミリアが告げる。

呪われなかった護衛がレジナルド殿下を見たが、殿下は顔色1つ変えずにエミリアを見ている。


「エミリア様、助けて頂きありがとうございます。 ・・・殿下、サイを医者に連れて行きますので、失礼します」


呪われた護衛をもう1人の護衛が抱え、2人は部屋を出て行った。


「・・・護衛の方も私達の言葉を理解していましたね」


嘘もつかれ、呪いをかけられた。 もうここにいるのはムダだな。


「言葉も通じない、 あなた達が今いる宿もこちらはわかっている。 逃げ場はないような気がしますがねぇ」


「俺達を住まわせて何をしたいのですか?」


「分かるでしょ? 私は王になりたい。 でも5番目なので玉座が遠いのです。その為には大きな功績が必要だから、隣国に攻め入りたい。 あなた達の魔法があれば、滅ぼす事も簡単な事だと思うのです。 留学にあんな遠い国を選んだのも、竜人を手懐け、色々と魔導具を開発している世界で1番の魔法使いがいると聞いたからです。 追い出されましたがね。 はは」


お前が王になったらこの国は大変だぞ。 何でこんなポンコツが王族なんだよ。


「ご主人の方がすごいのかと思っていたら、食いしん坊な夫人の方が役に立ちそうですね。 夫人、離婚して私と結婚しましょう。 ぺぺロール元伯爵はお帰りなってもいいですよ? どうぞご家族と仲良くお過ごしください」


ふざけるなと立ち上がろうとしたら、ドタバタと音がして人が入ってきた。


「ーーー!ーーー?ーーー!」


かなりの剣幕で、レジナルド殿下に詰め寄っているが、何を言ってるかさっぱりわかない。だが、レジナルド殿下にこれだけ言えるって事はコイツも王族か? もうこの国から早く出たい。王族とは関わりたくない。


エミリアが俺の腕にしがみついている。


「ぺぺ、離婚しないで? 1人にしないで?」


不安そうに見上げるエミリアが可愛い。

エミリアの方が1人でもやっていけるだろうに。 俺の方がお前がいなくなったらやっていけないのにな。


「もちろん離婚はしないし、ずっと一緒だ。 もしも離れてしまったら、石とペンダントをすぐ使う。 エミリアもそうしてくれ」


「ん」


エミリアの頭をなでてると、アンがドアから顔を出し手招きをする。ここにいてもしょうがないし、エミリアは大きな声が苦手だし、部屋を出ることにした。

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