第二十五章:続く道(2)
長い待ち時間の末、夜が訪れると、すべての準備が整った。クリスを除く子供たちはぐっすり眠っていた。クリスと神崎 蓮は一階の廊下に立ち、互いにうなずき合った。その合図の直後、二人の姿は消えた。
一方、暗殺者たちも腹ごしらえを終えたところだった。彼らは街の残りの区域を引き続き捜索するつもりだったが、神崎 蓮たちの一団を見つけたことで計画を変更していた。まずは相手を捕らえて尋問し、その後で任務を続けることにしたのだ。
彼らは、神崎 蓮がクリスを自分たちのいる建物の屋上へ送り込み、防音領域を展開させていたことなど、夢にも思っていなかった。あの子供たちにとって、殺し合いの音を聞かされること自体が深い心の傷になるからだ。
「ねえ、二番目の妹。本当にあれがレベル27だと確信しているの?」四番目の黒い影が尋ねた。
「間違いないわ。現場を調べたもの。残留した魔素の量からして、あれほどの力を放つには少なくともレベル27は必要よ」二番目の妹と呼ばれた影は断言した。
「本当にそうなら、できるだけ早く始末するべきだ。長引けば、こちらの重荷になるだけだからな」三番目の影は強い殺意を込めて言った。
「でも、何かおかしいと感じない?」二番目の妹が疑わしげに口を開いた。
その疑問が言い終わる前に、風を切る音が静かな夜を引き裂いた。四番目の黒い影は素早く反応し、短剣を振るって不意打ちの矢を弾いた。金属がぶつかる鋭い音が夜に響く。彼は矢が飛んできた方向を指さし、怒鳴った。「そこにいるのは誰だ? こちらに恨みはないはずだ。なぜ攻撃してくる!」
しかし、言い終わる前に、姿の見えない襲撃者が再び攻撃してきた。圧倒的な殺気と予想をはるかに超える速度に、四番目の影はまったく反応できなかった。後ろで守られていた二番目の妹の額を、闇の矢が風を切って貫いた。彼女は声一つ上げることなく、その場で倒れて息絶えた。残る三人は、続けざまに聞こえる矢音に気づき、慌てて跳び上がって闇からの攻撃を避けようとした。しかし、そのうち二人は地面に着くことさえできなかった。二本の死の矢が頭へ深々と突き刺さり、生命力を一気に奪い、二つの死体が力なく地面へ落下した。
「ピン! アイテム『夜影の分身』を使用し、3体の標的を討伐しました。資源の85%と全アイテムを獲得しました。スキル『静寂の歩み』を解放しました!」
黒い影が物陰からゆっくり姿を現した。その姿は神崎 蓮にそっくりだったが、輪郭が少しぼやけ、幻のように揺らいでいた。本物の神崎 蓮は遠くからそれを見ても、特に驚かなかった。システムの分身は一体8,000魔石で購入したものだ。80%割引が適用されていても高価ではあったが、暗殺者たちから回収できる装備を考えれば、十分に元は取れるはずだった。
それでも、なぜ三人しか倒れていないのかは分からなかった。神崎 蓮は分身を操り、生き残っているかもしれないと疑った死体へ近づかせた。すると四番目の黒い影がバネのように突然跳ね起き、殺気に満ちた刃を振るって神崎 蓮の分身を押し返した。
「まさか、ここまで備えていたのに、お前に一杯食わされるとはな……本当に危険な奴だ。名を名乗れ。正体を明かして俺を見逃すなら、お前も命だけは助かるかもしれないぞ……」四番目の影は条件を提示した。失うものはもうほとんどない。死闘を覚悟していたが、逃げられるなら逃げるつもりだった。
「俺が誰かを知る必要はない。お前たちは愚かにも俺に手を出した。それだけ分かっていれば十分だ。安心しろ、お前も仲間たちと一緒に死ぬ。HPもほとんど残っていないんだろう?」神崎 蓮の分身が答えた。生死を決めるのは本物の神崎 蓮なのだから、相手に正体を明かす必要などない。退路がないと悟った暗殺者は、分身へ向かって突撃した。
夜の闇の中で、刃が激しくぶつかり合う音が次々と響いた。分身は幽霊のように素早く動き、狙いすました斬撃を繰り出して、暗殺者に防戦を強いた。不意打ちで負傷していた相手は、ほどなく体力を失い始めた。呼吸は荒くなり、血が衣服を伝って流れ落ちた。もはや時間がなく、この異様な存在には勝てないと悟った彼は、歯を食いしばり、首にかけていた護符を握り潰した。真っ赤な光が夜空を切り裂いて天へ撃ち上がり、彼の身体はそのまま地面へ倒れて息絶えた。
「ピン! 最後の標的を討伐しました。レベル22の暗殺者を合計4人撃破。180,000 EXPを獲得し、レベル18(1,150/157,860 EXP)に上がりました。自由ステータスポイントを合計60獲得。AD+7、AP+6、HP+6、物理ライフスティール+5、HP回復+6」
最後の暗殺者が倒れると、神崎 蓮は眉をひそめた。あの光には見覚えがあった。『穿雲の玉佩』――この世界で名高い『八大魔法師』組織の護符だ。今回は本当に巨大な巣をつついてしまったらしい。この組織を率いるのは、八つの魔法師一族を代表する八人の名高い魔法師で、『大魔法師』と称される者たちだった。彼らは魔法界の伝説的な大人物であり、魔法使い系のプレイヤーが憧れる高みに立つだけでなく、名門一族の頂点に君臨する者でもある。神崎 蓮は、意図せず彼らの注意を引いてしまったと理解した。説明をしなければならないだろうが、まずは今回の事件から派生する問題を片づける必要があった。
「クリス、拠点へ戻れ。すぐに緊急会議を開く。子供たちも起こしてくれ。どうやら本当に厄介なことになった」神崎 蓮はクリスへ連絡しながら、最後の暗殺者の持ち物を手早く探っていた。
……
……
……
暗殺者組織の本部では、四番目の暗殺者からの信号が届いていた。担当者は戦闘映像を確認すると、言葉を失い、恐怖に顔をこわばらせた。彼は報告用のUSBメモリを引き抜き、本部の中央へ急いだ。数分後、ホール全体に警報が響き渡り、居合わせた全員が目を見開いた。
「警告、警告、レッドアラート! 任務中に『黒鷹隊』が全滅しました! 指名手配システムを起動します。映像に映った人物について情報を持つ者は報告してください。また、この人物を討伐した者には魔石500万個を懸賞金として支払います!」
警報はホール全体を騒然とさせた。『黒鷹隊』は、レベル40未満の偵察・暗殺任務において、わずか四人で優れた成果を上げてきた精鋭部隊の一つだった。それが全滅したのだ。映像が再生されると、誰もが背筋を凍らせた。顔の見えない影が三本の矢だけで黒鷹隊の三人を仕留め、残る一人も十数分抵抗した末に自殺を余儀なくされていた。
一連の出来事はわずか19分で終わっていた。その大半は、システムの分身と黒鷹隊最後の生き残りとの戦闘に費やされていた。映像を見た多くの部隊が、思わず唾を飲み込んだ。
別の部屋でも、担当者から緊急警報を受けた者たちが驚愕していた。彼らは今回、多数の部隊を任務に派遣しており、その中には黒鷹隊も含まれていた。だが、報告を受けた全員が恐怖で言葉を失った。
「妙なことが起きています。派遣した黒鷹隊が全滅しました。ただ今回は、彼らが映像を送信することには成功したようです。再生します」
部屋の人物が映像をスクリーンへ映した。四人が普通に会話していたところへ、突然四本の矢が飛来した。三人は頭を射抜かれて即死し、報告を送った最後の一人だけが胸に矢を受け、一時的に死んだふりをしていた。しかし、その後の戦闘を見た一同は、恐怖から完全な沈黙へと変わった。
「全滅だと? 死んだものは仕方がない。あいつらはまだ正式メンバーになる前の候補にすぎない。気にしすぎる必要はない。だが、これは明らかに異常だ」そのうちの一人が口を開いた。
「あの人物の能力は、少なくともレベル25以上だろう。明らかに問題がある。すぐに暗殺者の任務掲示板へ載せ、情報を集めさせろ。殺せればそれが一番だが、生け捕りならさらに高い報酬を出せ。必ず大々的に告知し、隠すな」
その情報が伝えられた直後、先ほどの警報の場面へとつながった。
神崎 蓮の拠点では、短い眠りについていた子供たちが起こされ、全員で一階のロビーへ集まった。不穏な知らせを聞くと、彼らは急いで装備を身につけ、階下へ降りてきた。全員がそろったのを確認すると、神崎 蓮が口を開いた。
「俺たちは厄介なことになった……」




