第十五章:仲間(1)
地下倉庫が安全になったことを確認すると、神崎 蓮は武器をしまい、五人の亜人の子供と三匹の銀白妖狼に、冷たい鉄檻から順番に出るよう合図した。
湿ってかび臭い通路が、少しずつ背後へ遠ざかっていく。よろよろと歩く痩せ細った子供たちを見て、神崎 蓮は薄暗い空間に静かに響く声で尋ねた。
「ここを出たら、どこへ行くつもりだ? 外はもう終末世界だ。あちこちに危険が潜んでいる」
子供たちの一人である少女がうつむき、小さな手でぼろぼろの服の裾をぎゅっと握りしめ、震える声で答えた。
「わ……分かりません。もう帰る家もないんです。外は怪物だらけで……自分たちだけで生き延びようとしても、五日も持たないと思います……」
それは残酷な現実だった。五人のうち、少しでも戦闘の本能を持っているのは年長の三人だけだったが、長い飢餓のせいで体力はすっかり尽きていた。残る二人はまだ幼すぎる。終末世界の戦場に子供がいること自体が珍しい。幼い命では、生命力を絶えず削られる過酷な環境に耐えるのが難しいからだ。
神崎 蓮は視線をそらし、淡々と言った。
「本当に行く場所がないなら、俺についてきてもいい。もちろん、役立たずを養うつもりはないし、お前たちを死地へ放り込むつもりもない。ただ、自分に生き残る価値があることは証明してもらう。特にお前だ、狼族の坊主」
神崎 蓮の言い方は極めて現実的で、意図を隠そうともしなかった。彼はスキルと実力を重視する生存者だ。何の価値もない重荷を引き受けるのは、善意ではなく自殺行為にすぎない。観察した限り、この提案が受け入れられる可能性はほぼ百パーセントだった。暗い終末世界で、彼の申し出は子供たちが頼れる唯一にして最善の救命綱なのだ。
亜人の少女が恐る恐る顔を上げ、ためらいながら尋ねた。
「も……もし、私たちを受け入れてくれたら……迷惑じゃありませんか? 私たち……またあなたの足手まといになるのが怖いんです……」
奴隷の鎖につながれて虐げられた年月は、彼らの心に深い劣等感と恐怖を刻み込んでいた。他人の手に渡った奴隷がどんな悲惨な運命をたどるのか、彼らはよく知っていた。
「心配するな」神崎 蓮は言葉を遮り、揺るぎない眼差しを向けた。「努力し続ける限り、俺は絶対にお前たちを虐げない。戦い方を知らないなら教える。料理ができないなら教える。役に立つことを証明したいなら、まず自分で生き延びる方法を身につけるんだ」
亜人は人間から受け継いだ知性と妖族の身体能力を併せ持ち、学習能力も普通の人間よりずっと高い。神崎 蓮の言葉を聞き、五人の子供たちは胸につかえていた巨大な石が取り除かれたかのように、ほっと息をついた。
一行は静かに列を作り、神崎 蓮の頼もしい背中について地下施設を出た。外へ出た途端、子供たちは足を止め、夜の中にそびえ立つ巨大な影を見て、驚きに目を丸くした。
それはひなだった。偉大な銀狼の王女は、辛抱強く主人の帰りを待っていた。神崎 蓮が五人の亜人の子供と三匹の銀白妖狼を連れて出てくるのを見ると、ひなの誇り高い瞳に明らかな驚きが浮かんだ。これほど過酷な終末世界で、寄せ集めの「一団」を作り上げ、しかも全員生きているとは珍しいことだった。
「ひな、この子たちを背中に乗せてくれないか? 今、地面を歩かせるのは危険すぎる」神崎 蓮は心霊リンクを通じて伝え、意味ありげに彼女へ横目を向けた。
「ふん! この銀狼族の王女を乗り物扱いするつもり? 絶対に嫌よ!」
「上等な新鮮な羊肉をあと三切れ。どうだ?」神崎 蓮は余裕たっぷりに餌をちらつかせ、目配せした。
ひなの心の防壁はあっという間に崩れ落ちた。神崎 蓮のアイテム欄にある新鮮な肉の素晴らしい味は、食通の彼女には抗いがたい魔力だった。ひなは威厳を保とうと冷たく鼻を鳴らしたものの、素直に巨大な身体を地面へ低く下ろし、子供たちに乗るよう促した。
夜はすっかり更けていた。空間に漂う邪気は濃くなり、遠くから怪物の咆哮が響き始めていた。
神崎 蓮は『マインドマップ』を開き、心霊レーダーの走査波を起動した。周囲の三次元構造が瞬時にはっきりと浮かび上がる。彼はすぐに安全な座標を選び出した。建築魔法で補強され、比較的無傷で残っている高級ホテルだった。座標は直ちにひなの意識へ共有された。
「ひな、子供たちと狼たちを連れて、この座標に沿って先に進め。俺は後ろから追ってくる雑魚を片づけてから合流する」
命令を受けると、ひなは五人の子供を背に乗せ、銀色の稲妻のように夜の中を駆け出した。神崎 蓮は振り返り、軍用ダガーを抜いた。低レベルの徘徊モンスターから得られる経験値は、レベル差のせいで少ない。それでも、塵も積もれば山となる。彼は経験値を一つたりとも無駄にするつもりはなかった。
キンッ! ズブッ!
30分以上にわたって掃討を続け、神崎 蓮は最後のモンスターを倒した。経験値バーはレベル12の98%で止まった。レベル13に届かなかったのは少し残念だったが、彼はすぐに武器をしまい、戦利品を回収して集合地点へ駆け出した。
ホテル一階のロビーは、張り詰めた空気に包まれていた。子供たちは命の恩人の身を案じ、落ち着かない様子でそわそわしていた。狼族の少年クリスは、生まれながらの指導者としての資質をはっきり示していた。落ち着いた声で何度も年下の子たちをなだめ、全員がパニックに陥らないよう支えていた。
「お兄さんが戻ってきた!」アーロンが突然声を上げた。
入口の外の闇から、背の高い神崎 蓮が姿を現した。彼が無事に戻ってきたのを見て、子供たちもひなも、ようやく重荷を下ろしたように安堵した。
ホテルのロビーは広々として豪華で、何百人も収容できそうだった。終末を迎えても、頑丈な石壁と古代の魔法紋様は、かつての壮麗さを保っていた。
「お前たちは先に四階へ行って、部屋を選んでおけ。俺は一階に残って、ひなと銀白妖狼たちの寝床を整える」神崎 蓮はそう指示した。
クリスを囲んだ子供たちが階段を上がると、神崎 蓮はロビーの風の当たらない隅を選び、厚い毛布を敷いて、ひなと三匹の銀白妖狼のための「巣」を作った。続いて、システムのショートカットから建築スキルを使い、壊れた窓枠を頑丈な石材で塞ぎ、脇の出入口も完全にふさいだ。一階を、内側からも外側からも簡単には出入りできない要塞へと変えた。
作業を終えても、神崎 蓮はすぐに四階へ上がらず、地下へ降りた。レベル上げ代行をしていたゲーマーとしての勘が告げていた。大きな建物の地下には、秘密の通路や鉱脈の倉庫、地下鉄の線路網につながる道があることが多い。
しかし、地下にあったのは分厚い石壁だけだった。神崎 蓮は失望することなく、つるはしを取り出した。
キンッ! キンッ! キンッ!
力強い一撃が石壁に打ち込まれ、四角く砕けた石材が次々とアイテム欄へ落ちていった。強化されたスタミナと筋力のおかげで、今の神崎 蓮にとって採掘は散歩のように簡単だった。基地を補強するために石を掘るだけでなく、モンスターに包囲された場合に備えて、秘密の脱出路も掘り進めていた。
30分後、神崎 蓮は服についた埃を払い、悠々と四階へ上がった。
四階は温かな雰囲気に満ちていた。五人の亜人の子供たちは広々としたスイートルームに集まっていた。神崎 蓮が入ってくると、クリスとアーロンを除く三人は、すぐに年上の二人の背後へ隠れた。
神崎 蓮は肩当てやかさばる装備を外し、少量の清潔な水で顔を洗ってから、床にゆったりと腰を下ろした。子供たちのおびえた様子と、彼との間にある見えない距離を見て、彼は理解した。以前の残酷な暴行と暗い奴隷生活が、心に深い傷を残しているのだ。見知らぬ人間を拒絶するのは、自然な自己防衛だった。
重苦しい空気をほぐすため、神崎 蓮は自分から穏やかな声をかけた。
「みんな、名前を教えてくれるか? 俺は神崎 蓮だ。君たちは?」
アーロンが一番に元気よく答え、頭の虎耳を揺らした。
「ぼくはアーロン・アール! アスガルド亜人祖都のアール家の次男だよ。アーロンって呼んでね!」
落ち着いた狼族の少年クリスは、王族の礼儀に従って軽く頭を下げた。
「僕はクリス・ド・アルテリア。亜人祖都の第一皇子です。父はクロード・ド・アルテリアといいます。あなたの仲間になれて光栄です、神崎 蓮さん」
年上の二人が名乗ったのを見て、プラチナブロンドの少女が勇気を出して前へ進み、年下の妹を連れてきた。
「私はセレス・フォン・アステロン。近衛騎士団長の長女です。そしてこちらが妹のマナ・フォン・アステロンです。これからよろしくお願いします!」
最後に、セレスの背後の暗がりから、小柄で内気な少女が姿を現した。鈴のように澄んだ声だったが、ひどくおどおどしていた。
「わ……私は……アリス……アリス・ハイゼンベルクです……。あの……アリスって呼んでください……」
神崎 蓮はうなずき、名前を覚えた。五人の子供たちは、いずれもアスガルド亜人祖都の名門一族の出身だった。話を聞いてみると、皆で景勝地を巡って遊んでいた際、護衛の一団から離れてしまい、たまたま近くにいた奴隷商人たちに捕まったのだという。その後のことは、説明するまでもなかった。
子供たちの顔色が、寒さと一日の疲労で青ざめているのに気づくと、神崎 蓮は微笑み、アイテム欄から調理器具一式と新鮮な食材を取り出した。
「よし、自己紹介はこれくらいで十分だ。さあ……みんなの腹が温まる夕食を、俺が作ってやろう!」




