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あらぎ島戦隊ソーリュージャー  作者: 黄昏 番長


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2/12

振り回されて移住

約束の駐車場に集合した翌日の日曜。

午前10時は少し過ぎただろうか・・・

耕平と霞は早朝からの農作業の合間の時間である。穂波とあかりは民宿に柳生先生が迎えに行った。というか隣だ。ミドと奏はそれぞれの車で現地にやってきた。


「さて、昨日はお疲れであると思うが、概ねの事情は飲み込んでもらったかな?『闇の核』の『半封印』が緩んできて危険なので、全員あらぎ島の周辺に居てもらいたいんだが!ただ期限が全く言えない・・・」


「僕ら地元民の三人は問題ないですが、後の三人は・・・」


ミドの言葉に


「私はこれがお役目なので」


小さな声であかりが言った、穂波も


「しばらくは研究って事で学校通じるかな?」


「僕はこれから一人旅に出ようかと思ってただけやから」


奏も居るという答えのようだ


「みんなありがとう、『半封印』を『封印』まで持っていこな! それでや、あかりちゃん!」


柳生先生は大きめのリュックを車から下ろした。地面に置き、上部のジッパーを開いた。中で何かが光った、更に動いた!?


「えっ!?えっ!?」


あかりが後退りする


「ケロっ」


リュックから、緑色の何かが手足を器用に使い出て来た。

挿絵(By みてみん)


「何?なんなの?」


「僕、ケロ助です」


二足歩行のカエルのペットロボ(?)が声を出す。お腹には丸いスピーカーが付いている。今の声はここから出たのか?


「先生、これは?」


穂波は不思議そうに柳生先生に聞く。自慢げに胸を張って柳生先生は


「これは現在の科学と親父の残したファイルの技術を、ちょこっと拝借して作ったAIロボや!声の小さい家系のあかりちゃんサポート用や」


ケロ助はヨチヨチとあかりに近づき


「僕、ケロ助、あかりちゃん?」


「そ、そうです」


引き気味にあかりは返事すると


「よろしくお願いします」


ぺこりと頭を下げる。


「かっ!かわいい!」


あかりはケロ助を抱き上げ、さっきまでとはうって変わって気に入ったようだ。柳生先生は心の中で

…子供の頃のままやな〜…

照れたように頬を人差し指で掻く。


「あかりちゃんのサポート用や、まあそれに関係なく可愛がったってや」


「ありがとうございます♪」


あかりはニッコリ笑って言った


「もう一つ、穂波ちゃん、あかりちゃん、霞、三人共!さしあたっての移動の足ないやろ?」


「俺、大きいバイク持ってる」


霞は手を挙げ元気よく答えるが


「ハイハイ・・・、すでに車検切れのな!ウチで車検代貯めるのにバイト中やろが?」


耕平の秒のツッコミに全員が笑う。


「ここらはな、電車はないし、バスの本数少ないし、車かバイクは必須やねん。でな原付カブやったら最速のアテあんねん」


「カブは乗った事ないけど・・・」


答える穂波の後ろで、ケロ助を抱えたあかりが無言で、私も同じと小さく手を挙げた。


「なんや、俺が教えたるやん」


霞は張り切って立ったが、全員にナチュラルスルーされた。


「ほなカブ組の三人とも行こか〜おい耕平、田にもどるんやろ?ミド!この辺の地理やらスーパーの場所と営業時間を奏くんに教えたってや」


それだけ言うと軽バンに四人で乗こんで走り去っていった



あらぎ島から車に乗って約10分、役場近くの散髪屋の前に到着した。そこにはラチェットを持ち、カブの前でしゃがむ人影があった。営業時間内に入口前でツナギを着ているが、もしや店主だろうか?柳生先生は、三人を乗せてきたクルマを止める。

窓をクルクルっと開け


「先輩!」


 そのツナギの男に声をかけた。年齢は60才ちょい過ぎだろうか?


「柳生!お前なぁ~、また急に来よったな。先に連絡ぐらいせんか!」


「まあまあ、先輩!みんな、紹介するわ!おやっさんや」


その時、ヒョこっとケロ助があかりの影から顔を出す。

「こんにちは。初めましてやな、オイヤン」

その一言で、おやっさんは目が点になり固まった


「……おい柳生。」


首だけが、油が切れた歯車のように、カタカタと首だけ柳生先生の方を向く


「はい?!先輩。」


「この声……もしやウチの嫁の声やないんか?」


「いや、AIのサンプリングなんで別物です……」


堂々と言い返す柳生先生だが


「このエンジン音・・・オイヤン、キャブの調整が甘いぞ」


ケロ助が整備中のバイクを指差し、ダメ出しをした。


「その声で言うな~~!!毎日その声で怒られとんや!!」


頭を抱えてしゃがみ込む。


「…ケロ助、怒らせちゃダメよ…?」


と小声であかりはケロ助を嗜める。


「事実を述べただけなのですが」


おやっさんは両耳を塞ぎ、大きな声で


「嫁の声やから、怒ってるんや!!」


穂波が目を丸くし

「えっ……ケロ助の声って……?」


霞は無表情で


「確かにおやっさんの……奥さんやな……?」


柳生先生は腕を組みながら


「・・・仕方無く、そういうことやねん・・・」


おやっさんは立ち上がり


「柳生!お前なぁ~、なんで嫁の声を、このカエルに入れとんねん!!」


柳生先生は焦りながら、


「こんなん頼める女性の知り合い、僕にはおらへんので……」


おやっさんは火の付いたように


「せやかて、よりにもよってウチの嫁って・・・」


おやっさんは続けて


 「そらお前は顔はイケとるが、機械オタクが行き過ぎて女の子に敬遠されとるのは知っとる!」


「オイヤン、落ち着けさ」


秒でケロ助に静止される


「オイヤンって、口調まで一緒かい!!」


と声を張り上げ、頭から湯気が出そうに成るおやっさんだった。穂波は焦りながら


「……すごいキャラ……」


あかりも


「ケロ助の声が……」


霞は呆れて


「まあ、いつものことやけど・・・」


柳生は話題を切り替えようと


「ところで先輩!カブ3台ですが、最速で用意でけます?」


「カブ3台か・・・この子らのやろ?」


おやっさんは困ったような表情で

「倉庫にちょうど3台ある、半年ぐらい前から、嫁に内緒で買うとったんやが・・・」


「そんなぎょうさん、内緒で買うとったんか?なぁ・・・オイヤン・・・!」


ケロ助が言う


「・・・その声で言うな、心臓に悪い・・・」


おやっさんが自分の胸を撫でながら


「ピンクのカウルのが一台、イエローのが一台、あとは昔ながらの濃いグリーン」


「まるで待ってたように?ピンクとイエローですね」


「なんかバイク屋で見たら、買うとかなあかんと思って!?ピンクとイエロー?待ってたようにってどういう意味や?」


「次世代のソーリュージャーが現れたんですよ!ピンクやイエローどころか、六人とも全員集合ですよ」


柳生先生の言葉に、おやっさんは歓喜した


「親父らの想いがやっと叶うんか!ということは、この子ら二人が・・・」


「ピンクの桃井あかりちゃんと、イエローの黄山穂波ちゃんです!」


「ウエルカム!あらぎ島や、めでたいめでたい!ん・・・今の話では、まだ他におるんとちゃうんか?」


「おりますやん、ここに・・・」


両手で霞の背中を押し一歩前に出す


「ただの付き添いと違うたんか?」


「実はホワイトなんです」


「なにぃ!・・・まあソーリューが選んだんや、なんかの才能あるんやろ・・・」


霞に背を向け、二人の大人は釈然としていない。


「さてカブは、古い方の店にある!ついてきて」


おやっさんが先頭を歩き出す。皆は後に続く。店の前の通りを歩き、路地に入って裏通りに出た。立ち止まった目前には、二階建ての店舗ようにシャッターが付いている建物があった。

二階は住まいになっているのだろうか、エアコンの室外機と、物干しがついている。

シャッターの鍵を回し、ガラガラと開けた。元々電気屋だったのか?蓄音機の前で首を傾けた犬の置物がある


「入って・・・」


おやっさんは先に歩き、四人は後ろに続いた。今も使っているのだろうか、埃が被っているわけでもなく小綺麗に整頓されている。奥には何台かバイクらしきモノがカバーされている。その上にかかった薄手のバイクカバーをゴソゴソと取り始めた。現れたのはイエローのカブ、その横にはピンクのカブ、その奥にはモスグリーンのカブだ。


「これがカブ?学校の駐輪場では見た事あるけど」


穂波が珍しそうに眺めながら言った


「俺は渋グリーンのカブか?」


霞が不服そうに言う。


「じきに白の塗装したる」


そこへ柳生先生が


「先輩、このピンクのカブ、今夜一晩だけ預かってええですか?」


「何か企んどるな!?」


「ケロ助と繋げろか思って・・・!

ところで、あかりちゃんはスクーターやバイクって乗った事ある?」


「全くないです、自転車も怖くって」


「うん、ちょうどええかもや!

穂波ちゃんはバイク乗った事は?」


「時々、お父さんの古いDT50を借りて・・・」


穂波の答えに、すかさずおやっさんが


「ほー立派や、お父さんも好きもんやな!ガハハ」


「そうかもです・・・ハハハ」


穂波はつられて苦笑いする、そこへ霞が


「俺はこれぐらいチョチョイのチョイで乗れるで」


「お前には聞いとらんわい、そういやお前、最近バイク乗ってないな」


おやっさんの返答に


「ハハハ、ちょっと」


頭をかきながら返答する霞


「そしたら先輩、あかりちゃん、ピンクのカブは今夜借りるで」


あかりは不安そうに柳生先生を見て


「ケロ助も?」


「そう今日わは、うちに連れて帰るけど、明日からは あかりちゃんと一緒やで!ケロ助行くぞ」


前カゴにケロ助を乗せて。ヘルメットを被りピンクカブで走り去る柳生先生。後ろ姿が嬉しそうに見えたのは。絶対気のせいではないだろう。そのまま取り残される四人、白いバンも駐車場に置きっ放しだ。


「あいつ、機械からむと周り見えんからな・・・」


ため息つくおやっさん


「モテない訳・・・わかった気がする・・・」


穂波は呆れた顔で呟いた。


「霞、ウチのプレオ貸したるさかい、どこへか知らんがお嬢さんら二人送ったれ」


「ヘーイ、そのかわり俺のカブ、めっちゃかっこようしといてな」


「まあ適当に任しとき、穂波ちゃんのイエローカブもちゃんとしとくさかいな」


「お願いします」


あかりと穂波は、おやっさんに頭を下げ車に乗り込む。二人とも行儀のええ子らや・・・。

車を見送るおやっさんは、どこかほっこりしていた。


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― 新着の感想 ―
めちゃくちゃ、親近感ワク、凄すぎる。ドハマリ
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