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黒翼の英雄〜羽撃け名もなき空へ 〜  作者: ぺぺ


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夜の空を裂く

「なぁ本当にコイツを今夜出すのか」

格納庫の片隅。工具箱に肘をついた整備士が、隣の同僚へぼやいた。

視線の先には、一機の黒い戦闘機が静かに佇んでいる。

F-15Λ

ノルヴァイン帝国が極秘裏に開発した新型試験機。

既存のF-15EXをベースに徹底的な改修が施され、二基の高出力エンジンと新型電子戦装置、そして機体全体を覆う漆黒の低視認塗装を備えている。

格納庫の照明を吸い込むような黒。

まるで夜そのものが翼を持ったようだった。

「あぁ、そうらしい」

「それにしても気味悪ぃ」

整備士はため息を吐いた。

「試験機なんだろ?」

「まだ正式採用前だ。俺なら乗りたくねぇな」

「だが、乗る奴は決まってる」

その時だった、足音が響くそれは硬い床を踏む、規則正しい音。

整備士たちの会話が自然と止まった。

現れたのは、一人の男。

黒いGスーツ、脇に抱えたヘルメットに無駄のない歩き方。

誰にも視線を向けない、誰にも話しかけない。

ただ真っ直ぐに機体へ向かって歩いていく。

「……カイ・ラグナー中尉か」

誰かが小さく呟いた。

ノルヴァイン帝国第119航空士官学校主席卒業。

訓練課程の全てにおいて歴代最高の成績を記録し、あらゆる模擬戦で勝利を重ねた天才。

沈黙。

精密。

そして圧倒的な飛行技術。

若くして試験飛行隊に抜擢された理由を疑う者はいなかった。

主任整備士が前に出る。

「機体は仕上がってます。出力も制御系も問題なし」

カイは足を止める。

主任整備士を見る。

そして、小さく頷いた。

それだけだった。

「燃料満載。兵装は指示通り、電子戦装置も調整済みです

ただ……」

主任整備士が少しだけ表情を曇らせた。

「正直に言います。誰もこの機体の限界を知りません」

カイは静かに機体を撫でた。

黒い機首、鋭い主翼、まだ誰も知らない性能にまだ誰も知らない空。

そして今夜、帝国は戦争へ入る。

格納庫の外では、夜風が吹いていた。

遠くの滑走路では、次々と戦闘機が武装を受けている。

整備兵たちが走り回り、燃料車が行き交い、警報灯が赤く明滅する。

基地全体が、静かな熱気に包まれていた。

主任整備士が最後に言った。

「必ず帰ってきてください」

それだけだったが、それで十分だった。

やがて、整備員たちが離れる。

ラダー、主翼、エンジンの最後の確認が終わる。

漆黒のF-15Λの周囲から人影が消えた。

巨大な格納庫の中に機体の傍らに立つ男と、黒い戦闘機。

ただそれだけ。

まるで、戦争が始まる前の静寂そのものだった。

薄暗いブリーフィングルームに、空気だけが重く沈んでいた。

壁面スクリーンには、赤い軌跡がゆっくりと本土へ向かって伸びている。警戒警報はすでに基地全域に回っている。

金属製の床を伝って振動が走り、遠くでエンジン始動音が連続して響いていた。

「来たか、中尉」

年配の基地司令官が、入室したカイ・ラグナーへ視線を向ける。

その声には緊張と、わずかな確信が混ざっていた。

カイはただ立ったまま、スクリーンを見ている。

他のパイロットたちも室内にいたが、誰も椅子に深く座れていない。

指先が落ち着かず、装備袋に触れる者、腕を組み直す者、視線を泳がせる者

「知っての通りヴェルテクス連邦の多目的戦闘機が本土に向けて侵行中だ」

司令官の言葉が落ちる。

一瞬の静寂のあと、空気がざわつく。

「ついに、始まったのか……」

「だが、何も連絡ないぞ」

「どういうことだ」

断片的な声が重なる。

しかし誰も、それ以上の結論には踏み込まない。

情報が足りないのではなく足りないのは“理解”の方だった。

司令官は一度息を吸い、続ける。

「ラグナー。貴官のF-15Λ単機でスクランブル、迎撃に出ろ」

その瞬間、室内の空気が変わった。

「司令、それはどういうことですか」

若いパイロットの一人が立ち上がる。

だが、その声には怒りというより困惑が混じっていた。

「敵編隊は六機です! 通常ならこちらも複数機で――」

「通信状況は?」

司令官が遮る。

「断続的です。レーダー妨害、IFF混乱あり」

それは理解の遅延ではない状況そのものが、標準的な戦術前提を拒否している。

司令官の視線が再びカイへ向く。

「敵は正規編隊だが、行動は通常戦術から逸脱している可能性が高い」

言葉を選んでいるだが核心は一つだ。

「時間がない」

スクリーンの赤い軌跡が、わずかに進む本土までの距離が縮まっている。

カイはようやく動いた。

一歩前へ出る。

誰もその意味を問わない。

別のパイロットが低く呟く。

「……一機で?」

「あれは試験機だぞ」

「実戦想定データも不完全だ」

司令官は一瞬だけ目を閉じる。

「今ここにある機体であれを迎撃できるのは、その機体だけだ」

室内の誰もがそれを理解する理屈ではなく、状況として。

カイはヘルメットを持ち直す。

顎のストラップはまだ固定されていないが、それを気にする様子はない。

一歩、扉へ向かう。

その背中に、誰かが声を投げかける。

「中尉……」

言葉が続く余地がない。

扉が開き外の警報音が一気に流れ込む。

低く、断続的で、絶え間ない基地はすでに戦時態勢に移行している。

整備員が走り、兵が配置につき、エンジンが次々と始動し滑走路の灯火が一列に点灯していく。

ブリーフィングルームに残された者たちは、ただその背中を見ていた。

「……本当に、一機で止めるつもりなのか」

外では、F-15Λの格納庫が開きつつあった。

黒い機体が、ゆっくりと光の中へ引き出されていく。

それは戦力ではなく、意思そのもののように見えた。

やがて警報音が一段階上がる。

格納庫で整備員はカイの歩く道を開けていく機体前方のタラップには、主任整備士が直立して待っていた

「F15Λ、出撃準備完了いつでも出れます。」

カイはタラップを上がっていく彼に課された任務は、高速発進と速やかに敵機を落とすこと

 コックピットに腰を下ろす。  閉じたキャノピー越しに聞こえてくるのは、自動起動されたHUDの電子音。暗視モードの表示が淡く、機体の内部を緑の光で照らす。  グローブ越しにスロットルに手をかけ、機器の反応を確認していく。

「システム、作動開始。レヴイン1、コールチェック」

「こちら管制塔レヴイン1、通信正常。誘導開始する。

中尉、天空の女神のご加護のあらんことを」

カタカタと動き出す電磁式牽引車に乗って、F-15Λは静かに動き出す。  それはまるで、戦場へ赴く死神の儀式のようだった。  真っ黒な機体が、格納庫の蛍光灯をひとつずつ通過していくたび、整備士たちは思わず息を呑んだ。

「本当に気味悪ぃ」

誰かがそう呟いたとき、カイは滑走路端に到達していた。牽引が解除され、機体のブレーキが短く唸る。

「レヴイン1、滑走路A-3へ進入許可。離陸を許可する。」

「了解」

カイはゆっくりとスロットルを押し込む。  双発のエンジンが低く吼え、地面が震えた。  F-15Λが、夜を引き裂いて走り出す。

――世界が音を失っていた。 真夜中の高空。 風はなく、雲もない。月は海上から昇り、赤く染まった下弦が東に滲んでいた。だが、その微かな月明かりさえも、彼の機体には届かない。

真っ黒な塗料がその機体を夜空に溶かし込む。 通常の塗装ではあり得ない、光すら吸い込むその機体色は、帝国の技術の粋が集まった異端。表面は新型のRAMで覆われており、空気の摩擦すら吸収してしまいそうな、重たく沈むような質感をしていた。

ヘルメット越しにHUDを見据える。 視線はわずかに左へ。そこに、まだ肉眼では捉えられないが、AIが捉えた熱源が映し出されていた。

不明機、6機。進行方向西。速度マッハ1.2。高度25,000フィート。推定目標コード:α群。》

機体AIの冷静なレポートが、ヘルメット内の骨伝導音声で響く。

無言でスロットルに指をかけ、わずかに推力を増した。 F-15Λの双発エンジンが静かに唸り、機体は月光の届かない闇の層へと滑るように進入していく。 戦闘が始まる前――カイの意識はすでに射線を描いていた。

6機の敵。第6世代機。全機、最新型のセミステルス性とAI補助を備えた高速機動戦闘機。現在確認されている機体の中で最も高い性能を発揮する。

だが、カイにとってそれは問題ではなかった。 重要なのは、「相手がどう動くか」ではない。 「自分がどう動くか」――それだけだ。 彼は敵の編隊構造を確認し、全体の速度、距離、高度差、予測される編隊間の連携範囲、ECMの干渉角度までを数秒で解析し、思考の奥で即座に1つの軌道を選び出す。 それは「最初の一機を、最短で墜とす」ためのルート。 冷たい視線が、HUDの左端に映る小さなアイコン――α4に向けられる。

最初の獲物はリーダー格ではない。むしろ編隊の外れにいる警戒機。だが、そこにこそ穴がある。

《敵機、編隊再編中。、やや左にアウトレンジ。再突入ルートを調整中と推定。》

カイの瞳が、わずかに動いた。

そして彼は一気にスロットルを最大へ。 ラムダの機体が低い咆哮を上げる。 2基の大出力エンジンが一斉に噴き上げ、F-15Λはまるで闇そのものが跳ねるように、速度を上げて突進した。 機体後方に、かすかな光が一瞬だけ滲んだ。 ただしそれは、熱源追尾にも、光学追跡にも反応しない「黒の閃光」。 闇の中に、ただひとつ――「死」が向かっていた。

「こちらα4、隊長敵機は確認できません」

「こちらα6、右に同じく確認できません」

「敵さんはずいぶんと間抜けだなぁ」

「そうですねぇ」

そんな会話をしていた照準システムは何も捉えていない。センサーにノイズはない。 それなのに、背筋が冷える。 突然、警告が跳ねた。

《接近反応:後方、距離800。》

「各機散開、急げ!!」

急旋回を開始したが遅い。

彼のF-15Λはその旋回に先んじて、右バンク90度で機体を滑らせていた。 目標を中心に、弧を描いて斜め上から迫る。 通常の射撃角度ではない。だが、彼は常識を捨てた存在だった。

カイの指が軽く動く。――射撃モード解除。 バルカン砲が発射準備状態へ。 ラムダは姿勢を変える。仰角60度から急降下に移行しつつ、機体をスライドさせるように敵の内側へ突っ込む。 スラストベクターノズルが細かく動き、強引なバンクとピッチ制御を強制的に成立させていた。 《距離400……340……290……》 α4がバレルロールを開始しようとした、その瞬間―― Λのバルカン砲が火を噴いた。夜空に閃光が走る。 発射角度:機体下方から斜め上30度。 初弾の弾道は胴体右側、ちょうどセンサー部付近を貫いた。

「っ!?被弾――っ!?制御系統に異常!」

同時に、AIシステムの自動音声が警告を重ねた。

《右舷エンジンナセル、損傷。エネルギー供給に乱れ。フライ・バイ・ライト中断、補助制御へ移行――》 機体が小刻みに震える。

カイは、すでにα4の左下方を通過し、次の旋回軌道に乗っていた。 その間、カイは1発たりとも無駄撃ちをしていない。

《接近再開まで:5.2秒》

「ク、クソが」

しかし逃げ場など、最初からなかった。 α4は全力の回避運動を始めていた。 機体の右舷センサーが破壊され、視界は暗闇に包まれたまま。それでも、パイロットは操作桿を叩くように引いて、高度を変えながらチャフとフレアを交互に散布していく。

レーダー誘導を攪乱……ここで距離を取る……!」

言い聞かせるように呟いた声に、確信はない。

敵が普通のパイロットだったなら、それで十分だったかもしれない。だが、今の相手は違う。

《音紋、接近。左斜後方より。距離210》

AIが警告を上げる。

「ッ……!」

だが反応が遅れた。

背後に意識を割いた瞬間には――カイはすでに死角に入り込んでいた。 カイの視線がHUDの小さな交点に吸い込まれる。 無言のまま、わずかに操縦桿を倒す。Λは右旋回からそのまま背面機動に移り、空中で高度と角度を強引に制御。 速度を保ったまま、α4の左斜下に潜り込んだ。

「回避軌道、3パターン予測完了……誘導ミサイル、マニュアルモード」

中央パネルのミサイル選択が切り替わる。 搭載弾数わずか2発の近接対応型IRミサイル(改良短距離型)。 発射と同時にパッシブ誘導を切って、直接指定座標へと食いつかせる設定。 シュッ! 排煙とともにミサイルが放たれた。 一瞬、夜空にオレンジの光が生まれ――次には、α4の機体左翼へと接触する。

「ミサイル!? チャフ投下、バンク左ッ――」

間に合わなかった。 左バンクに入る直前、ミサイルが機体下部に擦るようにして爆発。 決して致命傷ではないが、機体の姿勢制御システムが過負荷を受ける。

「うあッ……!」

パイロットの身体が、機体の回転に振り回される。 Gスーツがなければ、すでに意識を失っていただろう。 手動操作へと切り替え、右のペダルを強く蹴り込む――だが、カイはその隙を逃さなかった。 次弾――機関砲への切替。

機首の固定機銃がα4の右後方エンジン付近に連続着弾。 スパークを撒きながら、推力が片側に偏り始める。

《敵機、出力バランス喪失。失速軌道へ遷移中》

FCSが自動でロックオンを更新する。

最後の長射がα4の操縦尾翼を引き裂いた。

「ダメだ……もう、持たないッ!」

警告音が重なって鳴り響く。 右主翼の制御が完全に失われ、機体がねじれるようにして急降下していく。 目の前に広がるのは――暗黒の海。 あの黒い機体の姿だけが、最後まで消えずにそこにあった。

操縦桿は、もはや重りにすらならない。 反応がない――否、機体が応えない。 視界の端で、爆発した油圧ユニットが火花を上げていた。計器は瞬時にブラックアウトし、赤い警告灯が点滅する。

《高度8000、7000、6000……》

「っ……!」

パイロットは残った意識を総動員し、脱出シーケンスを起動瞬間パイロン点火しキャノピー破砕、射出座席、発射――!

ボシュッ!

薄い月明かりの下、1つの人影が黒い火線の中から放たれた。

空中でパラシュートが開き、α4のパイロットは夜の空に漂う。

しかし、運命は容赦なかった。 直後、機体が爆散。

α4の戦闘機が、黒海へ向けて真っ逆さまに落下。

高度約600メートルで空中爆発。機体の燃料と弾薬が誘爆し、巨大な火柱を上げた。 その熱風と衝撃波が、未だ展開中だったパラシュートを襲う。

バシュンッ!

開いたばかりの傘布が破れ、空中のパイロットの身体が強制的に弾かれる。

制御不能な回転――落下――衝撃。 黒海の闇に、小さな音もなく沈んだ。 HUDに表示される赤い×印。1機、完全消滅。

カイの視線が一瞬、その場所を見下ろす。 だが彼はすでに次の敵機へと舵を切っていた。

《……α4が……撃墜された……!?》

《パラシュート……あれ、破れたぞ……!?……クソッ!》

《誰だ、あの機体……あのパイロットは……!?》

敵編隊が崩れ始めた。α4の撃墜によって形成されていた三角隊列は一気に緊張を増し、残された5機が次の一手を見出そうと混線状態に陥っている。

その中央――α2は最も判断力に優れた副隊長格のパイロットだった。

《各機、散開! 旋回ラインをずらして一気に取り囲め!》

《“黒い機体”を中心に三方向から挟む――こちらで牽制する!》

α2の戦闘機は、他の機よりもわずかに機体構造が異なる。 高機動性能を追求した可変ノズルと、増設されたセンサーマスト。 同時処理能力に優れ、接近戦・中距離戦の両方に対応できるオールラウンダーだった。

だがそんな機体でもカイの前では関係なかった。

カイは視線をわずかに動かしただけで、α2の迎撃軌道を完全に把握した。 HUDに示された赤いエッジが半周、滑らかに角度を変える。

“下から来る――右にフェイント、そして真上へ跳ぶか減速。

α2のセンサーパッケージは、Λがわざと減速したことを“熱量低下”で察知する。

《今だ! 急上昇して――上から仕留め――》

言い終わる前に、それは罠だと知る。 Λは、瞬間機動反転を行った。

――その瞬間、空気そのものが逆巻いた。 ゴォッ!!! Λはα2の機首に向かって真正面から飛び込んだ。 およそ、戦術としては“禁じ手”とすら言える――超至近でのヘッドオン。

両機が交錯した瞬間、Λの左翼下から機関砲が咆哮が上がった。

α2のコックピット左側が砕けた。防弾キャノピーが粉砕され、左腕部に着弾した衝撃でパイロットが操縦桿を一瞬離す。

《グッ……が、ァッ……!!》

血が吹き出しコックピット内に赤く染まった。

しかしα2は耐えた。脱出はまだ考えていない。

Λの真下を抜けるように旋回し、**“死角に潜る”**という本能的行動に出る。

――その判断は、悪くなかった。

だが、それはカイにとって“誘導の成功”を意味した。

Λの翼がひねり、瞬間ループ旋回。 ブラックアウト寸前のGを受けながらも、カイは微動だにしない。 Λがα2の背後に再度食いつく。 照準、補正、捕捉完了。

機関砲が噴き出した。 α2のセンサーは一瞬でその軌道を予測したが――回避は間に合わない。

《回避軌道を……ッ――》

機体後部に命中。尾翼と推力配分ノズルが火花を上げながら千切れ、α2は空中で爆散した。

誘爆が、α2の全身を炎に包む。 キャノピーは吹き飛ぶ間もなく、機体ごと膨張した火球の中に消える。

パイロットの手は、まだ操縦桿にあった。

《脱出……してない? あいつ、間に合わな――っ》

α2は、パラシュート脱出すら試みることなく、 そのまま――空で、消滅した。

《嘘……だろ……副隊長まで――!?》

夜の海上空、破壊されたα2の残骸が未だ火の尾を引いて落下する中―― 次の標的は、編隊中央を保持していたα1

《落ち着け……冷静に状況を見ろ。敵は1機。数は我々が上だ》

自らに言い聞かせるように呟いた声には、微かな震えが混じっていた。

パイロットの瞳孔は大きく開かれ、HUDをなぞる視線は神経質に細かく動く。 Λは現在、上空1,000フィートを超音速で通過中。だが、回頭は――すでに始まっていた。

《やるならこっちの死角を取るはず。下から来る……否、次は逆を突くか?》

α1は操縦桿を倒し、横Gをかけて旋回軌道へ入る。

だが、その瞬間だった“目の前”にいた。 カイは、α1が軌道を変えるその直前で大きく機動を変え後ろに回り込んでいた。

《っな!?》

次の瞬間にはΛの機関砲が1度だけ火を吹く。 精密なトリガーワーク。α1の左側エンジンが丸ごと吹き飛んだ。

《隊長!》

α1のパイロットは思考を止めなかった。 左手で火災警報を黙殺し、右手で失速防止をかける。

しかし、カイはすでに2の手を打っていた。唯一の逃亡経路を塞ぎ今度は胴体真下を抉るように弾丸を撃ち込んだ

キャノピーの下から内側に爆炎が走る。 ―― パイロットの反応はない。 シート脱出信号も上がらず、ノイズだけが無線に走る。

無音に近い高度で、α1は姿勢を崩しながらも宙を舞う。 片方のエンジンを失い、胴体中央に火を噛んだα3は、空力制御すらままならぬまま、重力に引かれて落ちていく

レーダーには、まだ機体アイコンが残っている。 だが――搭乗員の生体信号は既に失われている。HUDにそう表示された時点で、カイは次の獲物へ目を向けた

爆炎が、海面を照らす。 遠ざかっていくその機体に、再度の追い撃ちは不要だった。 すでに致命の一撃が深く、正確に決まっていたからだ。

《うそ...だろ》

《クソ隊長までやられた》

α1が、ついに海面へ墜ちた。 火の玉が、黒海に重く砕け散る。 周囲に飛び散る破片が夜光に照らされ、一瞬だけ花火のように輝くが、それは虚しく沈んでいく。 F-15Λはすでに水平飛行へ戻り、左斜め上方へと角度を変えていた。 次は誰だ。 その問いは、敵全機の心中に同時に落ちた。

《落ち着け、距離を取り、連携で対処するんだ。単機じゃ勝てない》

《そんなことわかってる!》

視界の中でカイは、“すでに1機を選んでいる”ようだった。 カイの目が、HUDの四角形を追い越し、直接視界で次の目標へ視線を定める。

カイの放つ冷たい殺意がこの空域を満たしていた。

《来るぞ》

《散開急げ》

α3が、不意に僅かな舵を切る。 レーダー情報と機体感覚から、**「自分が狙われている」**ことを察したのだ。

《……ッ、来る。今度は、俺だ》

カイが動いたのは、その直後。 超音速域にはまだ乗っていないが、機体の推力を最大近くまで上げ、角度を変えて突入コースへ入った。 Λの操縦桿がわずかに引かれ、機体は左にロール。α4の上面に回り込む動きだ。 α3のパイロットは、即座にスロットルを振り切った。 誘導回避機動――ではなく、離脱のための急加速。 だが、それすらも読み切ったように、Λの加速は先んじている。 夜空の中で、α4の排気光が照準内に収まり始める。

カイの右手がトリガーから離れない。 一度の追撃、一度の反転で決めるためにカイは速度差と角度差をわずかに詰め、超至近距離”へ突入した。 α4の背後・下方25度、距離1800m。 F-15Λのミサイルロックが鳴った。

《IR誘導、ハードロック完了。》

引き金が、引かれ 一発の短距離空対空ミサイルが放たれた。まるでレーザーのように直線を描き、α4の赤熱したノズルへ一直線に吸い寄せられていく。

《ぐわぁ》

回避機動を取るよりも先に、α3の右エンジンがミサイルに抉られた。 機体が半回転しながら左へ傾き、主翼が破損。 慌てて緊急姿勢制御を入力するが、反応しない。

《く、くそっ……死ぬ、殺される》

その悲鳴にも似た叫びの直後、Λの本体が、α3の真横――死角位置まで到達する。 そして。 ガトリングの銃口が、口を開いた。

Λは旋回を抑え、あえて速度差を縮めないまま、完璧なガンレンジに入っていた。

α1のパイロットはもはや反転不能。ミサイル被弾によるエンジン損壊、制御系統の半壊で姿勢保持すら困難。

彼はコクピット内で必死にHUDに視線を走らせ、操縦桿を引いたが、機体は応じない。

《……操縦でき、な、い……クソ、逃げ……られ、ない》

カイは主翼基部・尾翼・機体中央を正確に撃ち抜いた

その瞬間α3は機体としての形を保てなくなった。 主翼がもぎ取られるように左右に裂け 尾翼が切断され、空中で跳ねながら千切れ飛び コクピット後部のキャノピーが破裂音と共に吹き飛んだ だが脱出装置は作動しない。 なぜなら、電源系統も制御信号も既に失われていたからだ。

《……あ、あああ》

悲鳴すら、乱気流の奥へ溶けた。 そしてそのまま、α4の残骸はほぼ無音のまま空中分解し、幾つもの金属片となって落下していった。 爆発は――なかった。 火薬も燃料も、すでに引火できないほどに破壊されていたからだ。

レーダーに残る2つの反応が、微かに震えている。

まだ撃墜されていないが、戦意があるかどうかは別だった。

レーダーには反応が残っていても、通信は沈黙したまま。 それが何より、“死”を知らせていた。

α5の機体は一度大きく右に旋回した。 一見すると、回避のための横滑り回避か、あるいは編隊再編の動き―― だが、カイの目にはそうは映らなかった。 「迷っている」――それが、機体の動きから読み取れた。 一度、速度を緩めて様子を見ようとしたが、カイはスロットルを押し込み加速した。 理由は不要。相手が“ためらい”を見せたなら、それは“死角”。 カイは機首をα5の方向へ向ける。 速度差を維持しながら、斜め後方へ滑り込むようにしてポジションを取り直す。 α5のパイロットは気づいていた。 いや、気づいていないはずがなかった。

《来る……奴が、また――!》

突然、α5が反転した。 上昇旋回とロールを混ぜた“高速ブレイク”―― 逃げるのではない。迎え撃つ構え。

二機の機体は、夜の空で鋭く交差する。 一瞬、ふたりのパイロットの視線が交わったかのような錯覚が走る。 一瞬の静寂を破るように、Λは旋回し、再び後方へ回り込んだ。

α5は機動力で劣ってはいない。 ヴェルテクス連邦空軍の最新鋭第6世代戦闘機。 AESAレーダー、RAM塗装、ベクタード・スラスト機構――全て備えている。 その後方を完全に取られたまま、たった1秒の“判断遅れ”が命取りとなる。

α5の機体が急上昇する。 背面飛行のまま、180度回頭。Gを浴びながら機首をΛへ向ける。

カイはそれに合わせて逆ロール旋回、追尾をかわす。

α5の動きは迷いの中にあったが、ここにきてようやく本気を出した。

《化け物め……!人間の反応速度じゃ、ない……っ!》 視界にΛが映った瞬間、α5のパイロットは、脊髄反射でバレルロールを仕掛ける。 同時にチャフを散布し、フェイントを挟む。 Λはそれに応じて、エレベーターを抜き、急減速。 後方に回り込むタイミングを、一瞬だけ見送った。

α5のパイロットは息を荒げながら、グラフィックHUDに映る機影を見つめる。 AESAレーダーは一瞬だけΛを捕捉するが、次の瞬間にはその影は消えている。

《……ステルス特化、じゃない。電子妨害か? ECMも?》

反応がない。ロックもできない。

《クソ、こんなときに何なんだ》

このときカイはわざと動線をずらし、α5のセンサー類が最も盲になる角度で回り込んでいた。

これが“戦術”。 だが、α5にとっては“悪夢”だった。

再度の交差。 カイが背後に回ると、α5はコブラ機動を仕掛け、上方への急制動を行う。 カイは回避機動へ入ると見せかけ、逆にその下へ潜り込む。 重力加速度を利用して滑り込み、α5の真下から上昇をかける。 視界の端に黒い影――Λが浮かび上がるように出現した。

《速いっ……っ!?なんでそこに――!》

α5のパイロットは、咄嗟にエルロンを振って方向を逸らす。 だが、その動きすら読まれていた。 Λの進行方向はすでにα5の回避行動に合わせて計算されている。

ロックオン音を刻む直前、カイの瞳はすでに撃墜位置を定めていた。

この時α5のパイロットは、Λの動きを完全に見失う。

HUDにロックオン警告が鳴る。 チャフ・フレアをばら撒く。 左へスナップロール。右へロールバック。だが―― Λの姿は、再び真後ろにいた。

《――もう、無理だ。……いや、まだだ、まだ――!》

《落ち着け……逃げ切れ……あの距離を広げて、仲間と――いや、もう……いない……?》

《俺しか――残ってない……!?》

ここにきて、α5は“孤独”に気づいた。 仲間を失い、戦況は把握できず、 見えぬ敵は真後ろに付き続け、 レーダーも、通信も、頼れるものは何もない。 だが、それでもパイロットは最後の機動を試みる。 操縦桿を強く引き、 逆ロールしながら高度を下げる――海面スレスレの低空機動。 Λがついてくるかどうかを試す、賭けだった。 だがΛは、それすら読んでいた。 高度100メートルを切るその速度域でも、Λは微塵も動きを乱さず追尾されα5の最後の選択肢が、ひとつずつ潰されていく

《……嘘だろ……なんで、まだ……ついてくる……!?》

α5のパイロットは、必死に操縦桿を握りしめ、 あらゆる機動を繰り返してはΛを振り払おうとする。 だが、それらはどれも全て

「読まれていた」カイの動きに乱れはない。

重力を利用した加速、機体の重心を利用した斜め旋回、 時折、加減速を絶妙に挟むことで、α5に追われている錯覚を与えていた。 それが罠だと気づいた時には、もう遅かった。 ΛのFCSが、完全ロックオンを告げる。 警告音―― 否、それは死の鐘だった。

カイの右手が、武装セレクターを切り替える。 選択されたのは、赤外線誘導型中距離ミサイル。 α5の熱源は、低空飛行と機体の急加速によって極めて明瞭になっていた。

空気を切り裂くような鋭い音が、Λの機体から響いた。 発射されたミサイルは、即座に機体左舷から離脱し、海面ギリギリの軌道で突進する。 その飛行は直線ではなかった。 僅かな上下の揺れを加えることで、迎撃・回避を許さないアルゴリズムが組み込まれていた。

警告灯が一斉に点滅し、コンピュータが回避行動を要求する。

《っく》

α5の機体から閃光とアルミ箔がばら撒かれる。 同時に機体は左右にスナップロール、急旋回し、ミサイルの追尾を逃れようとする。 だがミサイルはそれに見向きもせず目標に突っ込んでいく。

《クソッタレがー!》

α5のパイロットは、咄嗟に背面飛行のまま緊急上昇を選択。

海面との距離を取り、ミサイルの進路を逸らそうとする。

しかし、ミサイルは、上下動で機体の進行角に強引に合わせて軌道を変える。 ロックオンは解除されず、熱源補足は維持。 次の瞬間ミサイルが、右エンジンに命中した。

機体後方が一瞬にして炎に包まれエンジンは爆裂し、爆風で垂直尾翼が吹き飛んだ。 右旋回方向へ機体は制御不能に陥り、火球を撒きながら海面へと落ちていく。 コックピットの中―― α5のパイロットは脱出レバーに手を伸ばす暇すらなかった。 Gに押し潰され、システムの警告音が無意味に鳴り響く。 彼の意識は、速度計がゼロを示すより先に、消えていた。 海面への激突。

単機で飛ぶα6のパイロットは、レーダーに映る光点が次々に消えるのを見つめていた。いや、光点だけではない。彼の目には、夜間光学システムに焼きつくように、同僚たちが一瞬にして空から「抹消」されるその瞬間が、鮮明に映っていた。

《 ちょっと待て……おい、応答しろ、頼む返事を誰かしてくれ...》

通信は何も返さない。ノイズすらない。まるで最初からいなかったかのような“沈黙”。

それが、あの漆黒の戦闘機の仕業だった。

α6の胸を、氷の爪が這うような恐怖が貫くすぐ目の前まで死が近づいていることがわかる。

《……ば、化け物かよ……なんで、こんな……!》

その戦いは「戦闘」とすら呼べないそれは「一方的な虐殺」だった。

真っ黒な機影が、一撃のもとに仲間を、精鋭を、次々と打ち落とす。 機動すら封じられ、回避も許されず、反撃の機会すら与えられない。

α5――彼とは同期だった。彼の冷静で正確な射撃を、α6はいつも見上げていた。そんな男が、手も足も出ずに一瞬で撃ち落とされるのを、彼は見た。

《……殺される……こんな場所にいたら、俺も、殺される!》

気がつけばα6は、操縦桿を左へ倒しきっていた。機体は急旋回し、戦域から一気に南東へ――戦場離脱。速度はフルスロットルを超えて、アフターバーナー全開。彼の所属する艦隊がいる海域まで、一刻も早く逃げなければ――。 この瞬間、α6の行動は「勝手な離脱」であり「作戦放棄」であり「敵前逃亡」とも言える。だが彼はそんなことを気にする余裕などなかった。ただ、命が惜しい。ただ、あの黒い化け物から一刻も早く逃げなければ。

《追ってくるな、追ってくるな、お願いだから来るな……ッ!》

機体の速度はマッハを超えていた。視界の周囲が滲み、機体は振動を訴える。α6の視神経は白く焼けるような負荷を受け、冷や汗がヘルメット内に垂れる。 ――その時、彼の通信機がノイズを拾った。

《……な……キ……ガ……イ、アレハ……シロクナ……》

α3の最後の通信記録。断末魔のような断片。 それがスピーカーから流れたとき、彼の指は震え、酸素マスクの奥で嗚咽が漏れた。

《やめろ……やめてくれ……聞きたくねぇ……!》

α6は操縦桿を握る手を強く握り直す。手袋越しに感触はなく、指の関節が痺れている。それでも飛び続けた。命を繋ぐために。報告を届けるために。 そしてこの時、彼の脳裏には強烈に焼きついたひとつのシルエットがあった―― 漆黒の機体、無音で殺す悪魔、死神

逃げなければ、それしか、α6の頭にはなかった。 眼下には漆黒の海。月光を受けた波面が、刃のように冷たく煌めいている。

彼の機体はスロットルを限界まで押し込まれアフターバーナーを付けながら今や限界速度で飛行中だった。燃料計は急速に減少している。制御システムは、数秒ごとに警告音を鳴らし続けていた。 ――戦闘記録の自動送信開始。 機内のサブAIが、戦闘記録を空母に送信していた。

だが、圧縮された高密度データの送信は、通信リンクを使用する以上、敵に自機の位置を知られる危険性もあった。

「あの戦闘記録は、絶対に残さなきゃいけない……」 震える指で、送信スイッチを押した

同時に、通信チャンネルを限定開放。

≪こちらα6、緊急通信! 本隊は応答せよ! 本隊は応答せよッ!≫

ノイズまじりの応答が、返ってくる。

≪……こちら空母スヴァルティア、α6、帰投ルートを送信中。応答願います。≫

スロットルを一度戻し、海抜30mまで一気に急降下した。レーダー波の反射を最小限に抑えるため水面ギリギリを掠めるように飛ぶ

アイツが追ってきているかどうか――分からない。だが、いないとも言い切れない。 「くるな……頼む……来るな……!」 彼の恐怖は、もはや幻覚を呼び起こし始めていた。HUDの片隅に、見えるはずのないΛのシルエットが何度もチラついた。 そのたびに、彼は右へ左へ機体を大きく傾け、回避行動を取った。 それでも、アイツの姿は見えない。追尾音もない。ミサイルアラートも出ていない。 だが、それが逆におかしい。 Λは、視界に映ったときにはすでに射線上。ミサイルが飛んでくるときには、すでに回避不能の間合い。α6はそれを5機分、間近で見ていた。

「やっぱり……来てる。奴は、俺を逃がさない気だ……!」

突然、背後に一瞬だけ“影”が落ちた。 ミサイル警報は鳴らない。だが、赤外線センサーが一瞬だけ熱反応を捉えた。 ――何かが、後方上空に“いた”。

α6は直感的に急上昇、左へロールしながらバレルロールをかける。海面が視界を駆け上がり、機体が激しく横滑りする。Gスーツが締まり、意識が薄れる。

「クソッ、いまの……幻覚か……!?」

後方モニターに何も映らない。だがα6の心は休まらない。 そのとき、ようやく前方に艦隊の姿が見えた。

そのとき、ようやく前方に艦隊の姿が見えた。 6隻の艦艇。その中央、赤い艦灯と誘導光が、彼の空母〈スヴァルティア〉が見える。

≪こちらスヴァルティア、レーダーに未確認機影なし。貴機を確認中。着艦を許可する≫

彼は、答えずに黙って機体を旋回させ、着艦進入コースへ入った。 その手元、震えていた。 着艦速度まで落とし、フックを下ろす。 そのときだった。 警報――ロックオン警告音。

「ッ!!」

背後から赤外線誘導の追尾音が鳴る。アイツだ、間違いない。

α6は咄嗟にエンジンを吹かし、左へ急激に機体をスライドさせる。爆風が空母の艦橋を揺らし、護衛艦の警報が鳴り響く。 そしてその直後――何も起きなかった。 ミサイルは、撃たれなかった。 代わりに、α6の横を、真っ黒な影が通過した。

一切の音を立てずに、Λが旋回していた。彼の進入ラインを“確認するかのように”見送っていた。 Λは、撃たなかった。 逃がしたのか、興味を失ったのか、あるいは――。 その瞬間、α6の目から大粒の涙が流れた。

甲板の上では、クルーたちが一様に凍りついた表情で、帰還機の姿を見つめていた。 α6機は、着艦態勢を乱しながらも何とかアレスティング・フックを引っ掛け、衝撃音を響かせながら甲板に叩きつけられるように停止した。 尾翼には無数の焦げ跡、左翼は燃えたままのように煤けていた。

「どうして一機だけなんだ......」

観測士のひとりが呟くと同時に、機体キャノピーが、油と硝煙にまみれながらゆっくりと開く。 コクピットから這い出るようにして現れたα6のパイロット――若いが老兵のような眼をしていた。 額に貼りついた汗は冷たく、震える手が酸素マスクを外すのにさえ手間取っていた。 甲板に駆け寄った整備員が声をかける。 「何があった!? 他の五機は!?」

だが彼は何も答えなっかた。ただ、コクピットに無造作に置かれた戦闘記録データのメモリユニットを握りしめたまま、足取りもおぼつかずに艦橋へと向かう。 その途中、何度も立ち止まり、虚空を見つめ、何かを言いかけては飲み込む。

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