43
あの日以降、私たちは学院に行くことをやめた。
授業の遅れは然程気にしていない。
私たちはマシェリア王国で十分な教育を受けていたから⋯⋯比べるのは申し訳ないけれど授業の進行は、この国よりもマシェリア王国の方が進んでいるからだ。
それに私は前回は王子妃教育を受けていたからね。
お父様には登校しない理由は言っていない。何か言いたげではあるけれど聞いてはこない。気になるなら自分で調べればいい。
学院の生徒たちが公爵令嬢である娘にどんなことを行っていたのか、そこでどんな噂が広まっているのか⋯⋯何も言ってこないのは既に理由を知っていて自由にさせているのか⋯⋯私が言うのを待っているのか⋯⋯
学院からも登校するようにと通達はあったが、今はそれどころではないのだ。
お父様もそれは十分わかっているからだ。
◇◇◇◇◇
もう、ひと月近く学院には行っていない。その間、何もしていなかった訳ではない。
リズベットが戻ってこないのだ。
私たちはマシェリア王国のリズベットの実家にも連絡を取った。リズベットは新学期に間に合うように国を出たと返事が来た。
国境の検問所にも確認してもらったら、確かにリズベットがこの国に入国した記録が残っていると報告があった。
⋯⋯この国に入ってからの消息が分からないのだ。
私たちに黙ってリズベットが姿を消すはずがない⋯⋯攫われた?何か事件に巻き込まれた?
リズベットは見た目が可愛くて、か弱そうに見えて実は剣も扱えれば体術も相当なものなのだ。
実際、男3人を倒して高笑いしていたリズベットが思い出される。
だから、攫われたとしたら相当な手練か、複数人に取り囲まれたかだと思っている。
事故なら身動きのできない状況なのか⋯⋯でも、そんな事故があった報告はなかった。
連絡のひとつもできない環境に置かれているのは間違いない。
リズベットが戻って来るのが遅れた時点で動けばよかった。一人で帰らせなければよかった。と、何度も頭の中で後悔の言葉が繰り返される。
でも、声には出さない。それはレイもマリエルも同じで、私たちはその言葉を出すよりも動くことを決めた。
リズベットの捜索には国も動いてくれた。
お父様が陛下に掛け合ってくれたのだ。留学生が理由もなくこの国で行方が分からなくなったのだから当然だ。
もちろんこの件に関しては公にはされていない。
クロイツ殿下にも連絡を入れた。
リズベットが今回一人でも帰国したのは『確認』したいことがあったからだ。今回の件にそれが関係しているのならばリズベットの捜査の手掛かりになるかもしれない。クロイツ殿下に『確認』の内容を探ってもらう事にしたのだ。
現在も手掛かりすら見つかっていない⋯⋯
リズベット⋯⋯何処にいるの?無事なの?
心配で不安で最近では食事も喉を通らなくなった。
そんな時、クロイツ殿下からの調査報告が届いた。
それは卒業式の前日だった。
リズベットのことですっかり頭から抜けていた。
そうか⋯⋯もう、明日なんだ⋯⋯
前回、私はその卒業式の日に殺された⋯⋯明日なんだ⋯⋯




