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最初からここに私の居場所はなかった  作者: kana


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 気色の悪い動きをしていたべティーは、ジョシュアに引きずられて強引に食堂から退場させられた。


「め、珍しい生き物・・・・・・し、失礼。強烈な・・・・・・い、いえ、元気な令嬢がいるのですね」


 あらゆるタイプの女性を相手にしてきたミカエルですらべティーは物珍しかったようで上手く本音を隠せないようだ。間違いなくミカエルはべティーに目を付けられた。


 だいたい私たちが構わなくても甘え上手で人気者だったミカエルはこの学院でも上手く立ち回れると思うの。

 それに久しぶりに会えた従兄弟同士、仲良くすればいいよ。

 だからね、彼女に関わりたくない私は悪いけれどミカエルとも距離を置くわよ。

 我が身が可愛いもの!

 ゴメンね~ミカエル!

 彼女が卒業するまでグッバイだわ!


 頭の中でそんなことを考えていると午後の授業開始の予鈴が鳴ったので、ここで別れることにした。






◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 うん、分かっていたよ。いくら頭で拒絶していても、こうなる気がしていたよ。


「リリーシア姉様たちにお願いがあるんだ~」


「いや!」


 コテンと首を傾げお願いポーズをするミカエルの腕にはべティーが嬉しそうな顔でぶら下がっていた。嫌な予感しかしないお願いなんて問答無用でお断りだ! 昨日の今日だよ! 何処でぶら下がるほどべティーと距離を縮めたんだよ!

 それにべティー! ギリアン殿下はもういいのか!


「今度の休みにべティーさんからドドラー伯爵家のお茶会にお呼ばれしたんだ~」


「無理!」


「僕一人だと心細いから、ね? 一緒に行こうよ~」


「行かない!」


「え~あたしは~ミカエル君一人でもいいけどな~キャッ言っちゃった、恥ずかしぃ~」


 腕にぶら下がって腰をくねくねさせるなんて気持ち悪いが意外と器用だなべティー。


「うふふふ、わたくしはいいですわよ」


「そうね。わたしもいいよ」


 リズベットは何か企んでいるみたいだけれど、マリエルは素直に招待されたのを喜んでいるわね。


「いっ、一回だけならいいわ」


 断ろうと思えば断れたけれど、前回のことが頭に過ぎったんだよね。


 そう言えば前回、ビアンカが平日の昼間は何をしていたのか知らないけれど、休日になると学年も性別も問わず学院の生徒たちを招待していた。

 もちろん誘うのはべティーだったけれど、必ずと言っていいほどビアンカも顔を出しては『べティーをよろしくね』『べティーを守ってあげてね』なんて言っていたのを思い出した。

 


 前回と違って今回は伯爵令嬢だけど。

 言っちゃあなんだが下位貴族ならともかく、高位貴族の子息や令嬢が今のべティーに誘われて参加するだろうか? しないよね? 参加していないからこそ今回はべティーの腰巾着に高位貴族が居ないのでは? と、疑問が浮かんだ。


 前回を思えばビアンカに会いたくないし怖い。でも、逃げてもダメだとも思う。


 だからこそ、はっきりさせたい。なぜ私が殺されなければいけなかったのかが分かるかもしれないから・・・・・・







「やっぱり行きたくない」


「約束は守らなければダメですわ」


「諦めろリリーシア。ほら着いたみたいだぞ」


「本当だ。ミカエルが手を振っているよ」


 ふぅ~今さらね。さあ、覚悟を決めるのよ私!

 先に馬車から降りたレイがいつものように手を差し出してくれて順に降りる。


 ミカエルは今日もべティーがぶら下がっているわね。


「キャー本当に来てくれたのね! べティー嬉しい~」


 今のべティーは18歳だよね? 自分で自分の名前を呼ぶのは相変わらずだけど、義姉妹だった時はたいして変に思わなかった。(それもおかしな話よね?) 少し離れてみると痛い・・・・・・うん、痛い子だよ。


 残念だよ。華奢で顔だって可愛くて黙っていたら守ってあげたくなるような見た目なのに、一言話すたびに知性の無さが丸分かりなんだもん。


「「「お招き下さりありがとうございます」」」


「まあ! レイ君も来てくれたのね!」


 私たちの挨拶には返事もせず()()()かい!


「・・・・・・はい」


 親しくもないのに愛称呼び。レイの顔が引き攣っている。それに対してリズベットの目がキラリって光ったわ!

よく勘違いされるが、キツめ美人のマリエルは大人しく控えめな性格で、見た目は妖精さんなのに実は一番喧嘩早いのはこのリズベットなのだ。

 まだ玄関の入り口だよ、こんな場所で戦闘態勢に入るのはやめてね?


「ここでは何だし、早く案内してあげて欲しいな~」


 ナイス! ミカエル! 相変わらず場の空気を読むのが上手いね! そこは褒めてあげる! もちろん心の中でだけどね!






◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





 ええ〜と、私たち何しにここに来たんだっけ?


 ああ、ドドラー伯爵家のお茶会にご招待されたんだった。


 で? 招待してくれたべティーはレイとミカエルに挟まれてとっても嬉しそうにしているけれど、私たち女性陣には座った時から一度も話しかけてきていない。何なら目も合わせられず存在を居ない者とされている。

 レイはべティーに話し掛けられて不機嫌そう。でも無視はせず相槌を打つ程度は相手をしている。そしてチラチラと私たちに助けを求める視線を寄越している。

 それに比べてミカエル。貴方楽しそうね。べティーに話を合わせられるなんて流石ね! ここまでくると天晴れだわ!


 てか、私たち空気だよね? ここに居る意味ある?

 レイの態度を見る限りべティーに惹かれていることはなさそう。

 それに何かしているようにも見えない。ミカエルは・・・・・・うん、通常通りだわ。


 これ以上ここに居ても時間の無駄ね。目線でリズベットとマリエルに『帰るわよ』と合図を送る。


「ドドラー様。私たちそろそろ失礼しますわね?」


「ええ~もう帰るの~? まだ全然お話ができていないのに~」


 おっと~散々いない者扱いをしていたのに引き止めるのか?


「残念だわ。また来てね」


 ・・・・・・わかっていたわよ、アンタはそんな子だったわよ。

 家格が上の私たちに対する態度や言葉遣いなんてものは言っても無駄なのは知っている。だからリズベット、我慢しなさい!


「俺も一緒に帰る」


「レイ君はまだいいでしょう~?」


 レイは引き止めるんだね。

 もういいや、早く帰ろうと席を立ったところで、後ろから二度と聞きたくなかった声が聞こえた。


「あら、もうお帰りになりますの?」


 ビアンカだ。


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