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第6話 「始まりの願い(後編)」

Beginningとは何なのか。その片鱗が見え始める回になっています。


ぜひ最後までお楽しみください。

「やっぱり……。」


佳子が俺を見つめる。


その瞳だけが、俺には見えない何かを映していた。


「落さん。」


「……なんだ。」


「最近、一番強く願ったり、想ったことはありますか?」


「一番……強く。」


そんなもの。


急に言われても思い浮かばない。


「落さん。」


「ほんの些細なことでも構いません。」


「忘れられないくらい、強く願ったことです。」


その言葉を聞いた瞬間。


一つの景色が頭をよぎった。


高い場所。


陽菜と笑いながら歩いていた日。


足元が崩れた。


体が宙へ投げ出される。


景色が反転する。


地面が、ものすごい速さで迫ってくる。


怖い。


死ぬ。


その時、頭の中はたった一つの言葉だけだった。


「落ちるな……。」


「止まれ……!」


ドクン。


胸の奥が大きく脈打つ。


全身を熱い何かが駆け抜けた。


「それです!」


佳子の声が響く。


「その強い願いが、Beginningの発現です!」


俺は男を見た。


そして無意識に右手を伸ばす。


何も起きない。


「……あれ。」


男は笑った。


「終わりか?」


佳子は首を横に振る。


「違います。」


「能力は、もう出ています。」


「え……?」


「でも、広がりすぎているんです。」


佳子は両手を大きく広げた。


「今の落さんの力は、このくらい広がっています。」


続けて、ゆっくりと両手を閉じていく。


「これを狭めるイメージです。」


「狭める……。」


「一点だけを見るんです。」


「一点だけ。」


俺は男を見る。


鎖を操る男。


俺の自由を奪った男。


あいつだけを見る。


「そのままです。」


佳子が静かに頷く。


「そこへ集めるイメージをしてください。」


息を吸う。


視界から男以外を消す。


鎖も。


周りの背景も。


佳子の声さえ。


あいつだけを!


ドクン。


胸がもう一度鳴った。


その瞬間。


ズンッ!!


「がっ……!?」


男の体が突然沈む。


片膝が地面へ叩きつけられた。


「なんだ……これは!」


男は必死に立ち上がろうとする。


しかし体は持ち上がらない。


鎖の力が緩む。


「今です!」


佳子の声と同時に、俺は全身の力で鎖を振りほどいた。


ジャラァン!!


鎖が床へ散らばる。


男はなおも俺を睨みつける。


「お前……何をした。」


「知らねぇよ。」


俺自身にも分からない。


ただ一つ分かるのは。


さっきまで何もできなかった俺が、初めてこの力を使えたということだけだった。


束の間だった。


タタタタタッ


足音が聞こえてくる


「死ね。」


女が俺の背後から襲い来る。


間髪で交わした反動で男に向けて放った力が抜けた。


男が立ち上がり


「想像以上だな。」


「次は本気で自由を奪ってやる。」


そう言い残し、二人組が闇の中に消えてった。


もう一人の足音が聞こえる。


「佳子、落!」


御鏡だった。


「すまない。女の方が急に逃げて方に」


陽菜も無事だ


「落、大丈夫?!」


「あ、ああ…」


俺は御鏡がやられたのかと思ってしまったが安心した。


佳子も安堵したように胸へ手を当て、小さく息を吐く。


俺は自分の手を見つめる。


さっきまで何も持っていなかったはずなのに。


この手の中には、確かに何かが宿っていた。


佳子が言う。


「落さんの力は恐らく重力に関係してそうです。」


俺は自分の手を見つめる。


この力が何なのか。


これから何が始まるのか。


その答えを、まだ俺は知らない。

ついに落のBeginningが発現しました。

ただ、まだ本人も佳子も分かっていないことばかりです。

今後、いろんな展開が待ち構えています!


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https://x.com/otiaiam

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― 新着の感想 ―
落が陽奈との思い出をきっかけに能力に目覚めるところが良かったです。
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