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第12話 「受け止める者」

第12話です。


御鏡と佳子の連携に対し、拝島が動き出します。


見えていても、避けられない攻撃。


その時、御鏡が選んだのは――。


ぜひ最後まで読んでください。

「さあ、反撃開始ですよ」


「左、前」


御鏡が敵の懐へ踏み込む。


左拳が、一人目の腹へ突き刺さった。


「がっ……!」


男が膝から崩れ落ちる。


「バック」


御鏡が一歩下がる。


空振りした二人目の腕を掴み、その勢いのまま地面へ投げた。


最後の男が、背後から鉄の棒を振り下ろす。


「ステイ」


御鏡は避けなかった。


動く左肩で攻撃を受ける。


鈍い音。


だが、御鏡の身体は僅かに揺れただけだった。


衝撃が、身体の中へ吸い込まれたように消える。


「なっ……」


御鏡が振り返る。


「跳ね返せなくても」


左拳を握る。


「受けることはできる」


拳が男の顔面へ突き刺さった。


三人目が地面へ倒れる。


前衛の三人は、全員動かなくなった。


残ったのは四人。


拝島。


卑弥。


一花。


そして、拝島の後ろに立つ小柄な少女。


「ある程度の連携は見せてもらった」


拝島がゆっくりと前へ出る。


倒れた三人には目も向けない。


「あの目を持つ女が、攻撃の流れを読む」


佳子を見る。


次に、その視線が俺へ向いた。


「根暗野郎の重力も厄介だ」


「だが」


拝島が口元を歪める。


「弱点はある」


右手から黒い鎖が現れた。


ジャラ……。


「リア」


小柄な少女が顔を上げる。


「はい」


「繋げ」


リアの背中から一本の糸が伸び、拝島の指へ繋がった。


拝島が指を動かす。


リアの身体が、糸に引かれて宙へ浮く。


同時に。


地面から何本もの鎖が現れた。


「来ます!」


佳子の右目が見開かれる。


「右!」


御鏡が右へ動く。


黒い鎖が左側を通過した。


「ダウン!」


身を屈める。


頭上をリアの糸が薙いだ。


「アップ!」


足元から伸びた鎖を跳んでかわす。


だが。


着地した先に、リアが待っていた。


細い足が御鏡の腹へ突き刺さる。


「ぐっ……!」


御鏡の身体が後方へ飛ばされた。


「御鏡さん!」


拝島が指を動かす。


リアが御鏡へ向かう。


その背後から、さらに鎖が迫っていた。


上。


下。


右。


左。


僅かにずれたタイミングで、攻撃が重なる。


御鏡が一つ目をかわす。


二つ目を受け流す。


三つ目。


鎖が右足へ絡みついた。


「捕まえた」


拝島が鎖を引く。


御鏡の身体が地面へ叩きつけられる。


「見えていても、身体が追いつかなきゃ意味がねぇ」


拝島の鎖が、周囲の瓦礫へ巻き付く。


一つ。


二つ。


三つ。


巨大な瓦礫が宙へ持ち上がった。


「これなら、どうする?」


拝島が腕を振り下ろす。


無数の瓦礫が、礫のように飛んでくる。


佳子の右目に、すべての軌道が映る。


避けられない。


御鏡だけじゃない。


俺も。


佳子も。


全員が射程に入っていた。


(落さんの力でも、この一瞬ですべてを止めるのは難しい……!)


佳子が叫ぶ。


「御鏡さん!」


「盾!」


御鏡が鎖を振りほどき、俺たちの前へ出る。


左手を突き出した。


拝島の眉が動く。


「反発しないのか?」


俺は目を見開いた。


「おい……」


あれをすべて受けるつもりなのか。


瓦礫が御鏡へ直撃した。


ドォォォォン!!


激しい衝撃。


砂煙が一帯を覆い尽くす。


「御鏡!!」


瓦礫が崩れる音だけが響く。


やがて、風が砂煙を運んでいく。


少しずつ視界が戻る。


瓦礫の中心に。


御鏡は立っていた。


左手を前へ突き出したまま。


足元には、力を失った瓦礫が積み重なっている。


一つも反発していない。


すべての力を、その場で受け止めていた。


拝島が初めて表情を変える。


「なぜ……立っている?」


御鏡は短く息を吐いた。


「受けただけだ」


その時。


御鏡が受け切れなかった小さな瓦礫が、後方の建物へ飛んだ。


建物の外階段へ激突する。


金属がひしゃげる音。


低い踊り場の床が、斜めに崩れた。


「きゃああっ!」


避難途中だった女性が滑り落ちる。


咄嗟に手すりを掴んだ。


地上までは数メートル。


だが、真下には砕けた瓦礫が積み重なっている。


一花が女性を見る。


ほんの一瞬、動きが止まった。


俺はもう走り出していた。


女性が掴んでいる手すりが。


嫌な音を立てて軋んだ。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


御鏡の力は「反発」だけではありません。


跳ね返すのではなく、逃げるのでもなく。


すべてを受け止める。


御鏡という人物の生き方が、少し見える回になりました。


そして、戦いの中で迷わず走り出した落。


その姿を見た一花が、次に何を選ぶのか。


次回、第13話「見極める」。

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