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第10話「隊」

統一戦が始まり、一日。

能力者たちは、それぞれの思惑を胸に動き始める。

リンクの力。

新たな出会い。

そして、敵同士が手を組む理由とは。


あの日から一日。


能力者同士の戦いは全国へ広がっていた。


街のあちこちから爆発音が響く。


避難する人々。


能力者を探す能力者。


昨日までの日常は、もう残っていなかった。


俺たちは街を移動しながら情報を集めていた。


佳子が静かに目を閉じる。


「昨日より能力者の反応が増えています。」


「リンクを組んで行動している人も増えています。」


俺は街を見渡す。


「やっぱり凪の放送のせいか。」


御鏡は頷いた。


「能力者全員の目的が一つになった。」


「能力者は能力者を探し始めた。」


佳子も続ける。


「以前は孤立していた能力者同士が、一緒に行動しています。」


俺は疑問を口にした。


「でも、おかしくないか?」


「潰し合いをさせたいなら、一人の方が効率いいだろ。」


御鏡も腕を組む。


「俺もそこが引っ掛かっている。」


「わざわざ仲間を作らせる理由。」


佳子が静かに呟く。


「能力者同士を繋げること自体に意味があるのでしょうか。」


御鏡は首を横に振る。


「まだ分からない。」


「だが、そこに狙いがある気がする。」


遠くで爆発音が響く。


俺は黒煙を見つめた。


「あいつは……何を考えてる。」


---



同時刻。


一花は拝島たちと行動を共にして一日が経っていた。


リアは相変わらず無言のまま歩いている。


一花はその隣へ並ぶ。


「腕……まだ痛む?」


「問題ありません。」


「昨日から血が止まってないよ?」


「問題ありません。」


それ以上、リアは何も話さなかった。


一花は小さく息を吐く。


(本当に……大丈夫なのかな。)


その時だった。


建物の陰から三人組の能力者が姿を現す。


全員がリンク済み。


互いに武器を構える。


「見つけたぞ!」


「四人だ!」


「やるぞ!」


三人が一斉に飛び出す。


拝島はその場から一歩も動かない。


「リア。糸を出して繋げろ。」


「はい。」


リアの背中から一本の糸が伸びる。


その先は拝島の右手へ繋がっていた。


一花は目を見開く。


(操ってる……。)


リアは糸に引かれるように敵へ飛び込む。


敵の攻撃が肩を裂く。


血が流れる。


それでも止まらない。


拝島が指を動かす。


リアも同じように動く。


敵の懐へ潜り込み、糸が首へ巻き付く。


そのまま地面へ叩きつけた。


一人が気を失う。


その瞬間。


残る二人の表情が変わる。


「しまった!」


「リンク切れが!」


一花は思わず声を上げる。


「リンク切れ……?」


残る二人の動きが乱れる。


さっきまで息の合っていた連携が崩れた。


リーダーの男が必死に最後の攻撃を仕掛けた。


敵の攻撃が拝島へ向かう。


拝島は糸を強く引いた。


リアが前へ引き寄せられる。


攻撃はリアへ直撃した。


「リア!」


一花が叫ぶ。


リアは膝をつきながらも立ち上がる。


拝島は表情一つ変えない。


「身代わりにはちょうどいい。」


一花の表情が曇る。


(そんな……。)


(人じゃない。)


(まるで道具みたい……。)


その頃。


卑弥と一花も残る二人へ向かっていた。


リンクを失った二人は明らかに動きが鈍い。


「くそっ!」


「リンクが切れただけでここまで動けねぇのか!」


一花と卑弥の連携で二人を追い詰める。


数分後。


三人とも地面へ倒れ込んだ。


静寂が戻る。


一花は倒れた能力者たちを見る。


「今の……何だったんですか?」


拝島は静かに答える。


「リンクは万能じゃねぇ。」


「チームの誰か一人でも戦闘不能になれば、その後はリンクが強制解除される。」


「一度切れたリンクは再接続できねぇ。」


一花は驚く。


「そんな……。」


拝島は倒れた三人を見下ろした。


「だから弱い奴は足を引っ張る。」


「一人潰せば全部崩れる。」


三人は悔しそうに立ち上がる。


武器はまだ捨てていない。


拝島は静かに歩み寄った。


「お前ら三人。」


「負け犬のお前らにも利用価値がある。」


男が睨み返す。


「……何だと。」


「俺の隊に入れ。」


「残ってる能力者を殲滅する。」


「最後に決着をつければいい。」


男は鼻で笑う。


「信用できると思うか。」


拝島は静かに近付いた。


「耳を貸せ。」


二人は数歩離れる。


一花には聞こえない。


聞こえたのは、一言だけだった。


「……大津凪。」


男の表情が変わる。


「本当か……?」


拝島は静かに頷く。


「極力、隊を増やせ。」


それだけが、一花の耳にも届いた。


男は仲間を見る。


少し考え、小さく笑った。


「いいだろう。」


「乗る。」


拝島も笑う。


「賢い判断だ。」


七人。


新たな隊が結成された。


一花だけが、その光景を理解できず立ち尽くしていた。


(敵同士なのに……。)


(どうして、手を組むの……?)

第10話を読んでいただき、ありがとうございました。

今回は戦闘よりも、世界のルールや敵側の動きを描く回になりました。

「リンク」や「隊」という新たな要素が、今後の物語に大きく関わってきます。

一花が見た拝島たちの姿は、本当に悪なのか。

次回から、物語はさらに大きく動き始めます。

感想や評価、ブックマークをいただけると、とても励みになります。

次回もよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
「前を向け」という言葉が、落の性格や成長とちゃんと結びついていて、物語の軸が分かりやすかったです。 能力バトルも、Beginningが「強い願い」から生まれるという設定のおかげで、ただ能力をぶつけ合う…
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