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【探偵#21】

「さんざん殺して傷つけて今更都合のいいこと言ってんじゃねんーぞ」


「だまれ、こっちの事情も知らないくせに」


両者盛大に血まみれ、豪太と椿の体には数えきれない斬り傷。


煉城の胸にも豪太の斧による痛々しい深手。


「死ね死ね死ね死ね死ね」


そして、突然豪太が煉城に突っ込んでいく…そこにはコンビネーションもない、ただの特攻。



そこからこの戦闘で何度目かもわからない刀と斧のぶつかり合い。


「ハニーをいじめたんだ…死ぬしかない」


「自称じゃなくて他称不死身の男なんだわ」


悪魔の強化を以てしても、一対一で煉城練斗を攻略するのは不可能。


「ハニー愛してる!ハニー愛してる!ハニー愛してる!」


当然、豪太が斬られ続ける…だが想定外が起きる。


「旦那…お前何が起きた…?」


なんと…あの煉城の斬撃を押し返し始めた、体がさらに一回り大きくなる。



「ハニー可愛い!ハニー可愛い!」


「金花探偵事務所の歴史に敗北の文字が刻まれたことはないんだよ!」


戦う男たちの間は瞬く間に斬撃が飛び交う。


愛する人のために、狂気に染まる…いや、それしか自己を表現する方法を知らないのかもしれない…


「パパになりたい!パパパパパぁ!」


そしてその狂気をあえて爆発させることで自分の生き方を証明してるかのよう。


そして…煉城練斗がさらに引き出しを開ける…


「威力調節が難しいから普段使わねーけど、今日は遠慮は無しだ」


そうして手に纏うのは全てを燃やす煉獄の炎…


「跡形もなくなれ」


放たれたのは、紅蓮に染まる煉獄の火球!!


「これが…本来の力…」


「ダーリン!!」


椿の叫び声…それが届くよりも先に市民ホールに裏道に爆破音が響きわたる!!



「相変わらず使い時がムズイな」



だが…次の瞬間、煉獄が燃え盛る煙の中から、手裏剣が飛んでくる!



「くそったれ!」


それは能力の隙を狙う完璧な軌道、ぎりぎりで頭をそらしたが、煉城の額が削れていた。


(煉獄の力の間のスライムの能力が弱まる隙を…こいつら絶対に見逃さねー)



この夫婦、底なしに強い。異界にまで轟く実力は正真正銘の暗殺者。


「はやくじいじに認めてもらって、盛大に結婚式上げる」


「生首だけなら参加してもいいよ」


悪魔の力は異界基準とは言え単なる身体強化、魔力体制や様々な恩恵はあるだろうが、この二人の戦闘力の大半は極限まで磨かれた轟流の暗殺術。



私が思考を巡らしていた一瞬、煉獄が燃える煙から凄まじい速度で影が飛び出す。



「ハニー、今度こそ決着…つけようか」


「ダーリン、そうだね、もう森田も轟流もどうでもいい…このガキ殺してハグしよう」



お互い斬られ、燃やされ、限界に近い椿と豪太、だがその狂気は衰えない。



「そうだな…このイベントを邪魔した経緯を詳しく聞かなきゃいけねーからな!」


だが金花探偵の用心棒も一切怯まない。



そして、お互いまるで申し合わせたかのような正面衝突!


「これで決着にしようか!!」


ここにきて椿と豪太も全力。



「ダーリンは強くなきゃいけないんだ!!」


豪太の斧のスピードとパワーが見違えるほど上がっている!ここに来て悪魔の出力を上げてきた。



叩きつけるような理解不能のパワーを前に、煉城練斗は何も変わらない。


(こいつの悪魔の力は強烈な身体強化…魔法や爆破諸々は防げる恩恵もありそうだが、本質は命削ってバカ力を出しているだけ、対処方はある)


「ドーピングしてもな、最強の俺には遠く及ばないんだよ」



「ががががががががががが!!!!」



斧を抜けた刀が豪太をさらに削る、用心棒、まだギアが上がるのか…


けど、この暗殺者にはこれがある。音もなく横の陰から黒い羽。



「ダーリンを傷つけるな!!」


椿の手に握られていたのは、先ほどから使用している苦無と手裏剣。悪魔の力で羽を得た椿の速度、視認することが難しい。



ここで煉城の鼻腔が異変を捉える。


(火薬の匂い…?暗器から?)


これに気付くのは一流の暗殺者でも反応に遅れる。


けれど…この忍びの頭にはもう頭にないのだろう。


(もう私は回復してる!!)


同時…”それ”の違和感を体感してる私は気づいていた。



些細な殺気を感じた豪太が反応!


「ハニー!!苦無を捨てて!!!」


遅い、狙いはその苦無!!



その瞬間!私が火の魔力を込めたナイフを投擲。


殺気を極限まで消し去ったその刃は正確な軌道。



「いきなりなんだそりゃ!!」


煉城はバネのようにバックステップ。



刃が苦無に当たると同時。


「やばばば!!!」



金色に輝く爆風が当たりを一瞬にして包む、爆破の威力が先ほどと違う…



(やったのか…?)


物陰から煙に包まれた戦場を見渡す、爆風の威力的に他の火薬にも引火したのだろう、これを耐えられる人間なんか存在しない。


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