【探偵#2】
俺の名前は煉城練斗。
「セレ国の交流勉強会、今年は誰が行くんだ?」
「瀬礼国際高等学校って校舎が近未来的で行ってみたいんだよね~」
所長である、金花メリーと事務所で暇をもてあそぶ、金花探偵事務所の用心棒。
この事務所のソファーが、俺とメリーを離さず、怠惰な世界へと引きずり込んでくる。
俺達金花探偵事務所はこの異界と現代が混じる瀬礼市で探偵をしている。
依頼は様々、異界のモンスターと戦うときもあれば、財閥とも真正面からやり合う。
正直、この事務所が始まって以来、探偵というより喧嘩屋みたいなことしかしていない。
ここ最近は、瀬礼市の海に浮かぶ異界への扉、ゲートを閉めるために暗躍していた白武財閥との闘いも落ち着き、現在は落ち着いている。
白武財閥雇われの暗殺者であり、俺が所属していた対異界組織の同僚、白虎。
そして白武付きの従者兼護衛のミゼ。
さらに多くの戦闘者が控えているとの情報もあったが…
「あぁ、そういえば練斗、やっぱり白武財閥は生徒会から手を引いたっぽいね」
「まぁ最初からそういう勝負だったしな、でもこれで終わるのか?」
そう、元々白武財閥の狙いは生徒会への進出、この日本トップの瀬礼文学園での肩書が、奴らの野望の重要なカギだったのだ。
「けど、さらに噂によれば、生徒会長である御影帝一は激怒、風雷一族を動かすことも検討してるらしいよ」
「まぁ、俺達の作戦は褒められるようなもんじゃなかったしな…ってマジか!」
御影財閥とその影、風雷一族はかつて金花探偵事務所と依頼でぶつかっている。
俺が戦ったのは風雷一族の最高戦力、疾風。忍びの暗器と風の異能、高い次元で融合されたまさに現代の忍びの精鋭。
「でも、まだ私達をって話じゃないみたい、異界派の動きが活発になってきて、学園が抑えられなくなった時の最終手段らしいよ」
メリーが黄色のパーカーの紐を引っ張り、わざとらしく怖がっている。
「ほんと、つぎからつぎに忙しい学校だな、まともな青春を俺に送らせてくれよ」
「一学期はまだこれから、テスト頑張らないとだね」
「テストかよ…もうやりたくねーよ…」
この学園の勉強ははっきり言って常軌を逸している、レベルが高すぎるのだ。
「また風香ちゃんにいっぱい勉強教えてもらおうよ、なんとかなるよ!」
「なんで俺よりも成績が悪い奴に励まされなきゃならないんだよ、おかしいだろ」
でも、俺はこの何もない、なのに充実しているこの時間が一番大切だ。
組織の時には抱けなかった、名前の付けられない感情。
だから、この時間を邪魔する奴は誰であろうと許さない。
どんな相手でも関係なく消し去る、それが煉液の存在理由なんだよ。
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「くそ!俺はただ歩いていただけだろ!!」
鬼人族のヤンチャそうな青年が、暗がりの路地で血まみれになっている。
「だめ、お前はハニーの顔を見た、だから許さない」
その鬼人族の前に立つのは、血に染まる斧を携えた忍び。
「ダーリン、こいつ、私の顔を見たあとにスマホみた、多分SNSで悪口書いてる、多分」
その横に並ぶのは、女の忍び、その手には怪しく光る謎の手甲鉤。
「お、お前ら、一体何なんだいきなり!!」
鬼人族の男は覚束ない足を引きずって、反対に走り出す。
「だから、痴漢は許さないんだって!」
斧の忍びは、すでに手裏剣を2枚飛ばしている。
「がぁあああ」
狙いは正確、男は頭を貫かれて死んだ。
「ハニー、ダーリンが必ず守ってあげるからね」
「ダーリン、森田財閥も轟流も関係ない!幸せになろうね」
黒を纏う狂気、この夫婦の忍びが瀬礼市を恐怖のどん底に引きずり込む、




