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【探偵#11】

金花探偵事務所、応接室。


ビルの2階。


錆びたネームプレートに、白いテプラで貼られた「金花探偵事務所」の文字。


ソファのある応接スペース。壁際には電子機器が並び、窓からは柔らかい光が差し込んでいた。



「金花探偵事務所さんに、今回のイベントの警備をお願いしたいんです!」



この日訪れていたのは、メンバーの三人が通うエリート学校、瀬礼文学園の演劇部部長、3年生の綾小路。


見た目はザ、優等生の文学少年。かっちり着込んだ制服がその性格を表している。


「イベントって演劇部主催でやる瀬礼文演劇祭!?見に行きたいと思ってたの!!うれしい!!」


テンションが上がっているのは黄色パーカの少女、金花探偵事務所の所長であり、金花財閥の愛娘、金花メリー。


「メリー、いつも言うけど仕事は遊びじゃないのよ、所長でしょ?真面目に取り組む姿勢を見せて」


ぴしゃりと冷たく言い放つのは金花探偵事務所の探偵、星都風香。


凛とした声。整った顔立ちに、知性の光を宿した瞳。

上に羽織るスモーキーブルーのブルゾンが、彼女のクールな雰囲気をさらに際立たせている。


「瀬礼文学園の依頼は断るわけにはいかないよな、当日は俺たちが必ず守って見せる」


力強く話すのは金花探偵事務所の用心棒、煉城練斗。


赤と青のメッシュが入り一部スライムのような髪。白いパーカーの上から羽織った赤のジャケット。額から伸びる、左右対称の赤い龍ツノ。

全身から感じる強者のオーラ。


「こんなあっさり受けてくれるんですか??助かります」


綾小路は眼鏡が落ちそうになるほどまでに頭を下げた、その姿勢から今回のイベントを成功させようとしている意気込みを感じる。


「今回のイベントは僕ら演劇部にとって年に一度あるビックイベントなんです!周りの学校の生徒とも一緒に協力してこの瀬礼市に恩返しがしたいんです!」


綾小路から感じるのは、このイベントにかける熱い思い。

そして、瀬礼市を思うのは金花探偵事務所も同じ。


「今回の依頼、受けさせていただきます。」


「私も頑張る!!イベント楽しみ!!」


「瀬礼市に恩返しがしたいのは俺たちも一緒だからな」



そのとき、遠くの廃墟ビルから望遠鏡で事務所を覗く影が二つ、そう…椿と豪太。


「ハニー、唇を読むって疲れるね、癒しのハグがしたい」


「ダーリン、仕事が終わればいっぱい愛し合おうね」


この二人は素行に問題がある…なんてレベルではないが一族の中でも上位の暗殺者。ふざけてるようにみえてその所作は全て一流。


ゴミが散乱し、カビが生えた廃墟ビルの3階。


金花探偵事務所を監視するためにこのビルに滑り込む。


「へぇイベントの警備ね…いつかはデートもいいけど演劇は子供と見たいよね」


「私は子供なんていなくてもダーリンがいれば…いや、かっこいい父親してるダーリンがみたいかも…」


この二人…イチャついてるように見えて重要な情報を簡単に抜き取る。


「じゃぁ狙い時はここにする?エルフも来るみたいだし、どうせ横っ面叩かれるし」


椿が持つのは、渡されていたフィリア達の行動パターン。


「そうだね、じゃ記念日のデートは私のセンスでディナーを予約しとくね」


「でも…意外と厄介かもよハニー、3日前で分かったでしょ?」


「そうだねダーリン、でも龍とスライムの奴を倒せば何とかなるよ」


そう…この二人は3日から、金花探偵事務所を観察していた。

何ならすでに一度奇襲していたのだ。

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