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細海先輩と御森くん  作者: 紙屋川トカゲ
2章 本格始動
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第49話 細海先輩と御森くんと部長と面談

「失礼します」

面談室の扉を開け、所定の椅子に座ると

「はーい、まずは初の新人教育お疲れ様です」

と部長からのねぎらいの言葉をいただき軽く会釈で返した。


「さてこの教育期間、細海さんから見た御森くんはどんな感じですか?」


真っすぐと私を見ながら、研修期間の成果について聞かれる。


今日は御森くんが入社して初めて私の新人教育の進捗面談だ

しっかり自分の考えを説明して、現時点での御森くんの業務状況を共有しなくては…


「正直、吸収も早いですし単独での業務を少しずつ任せて良いのではと思っています」

と、緊張しつつ答えた。


「えーそれは流石に御森くんには早すぎない?」

OJTシートを確認する部長に「期間だけ見ればそうなんですけど」


と続ける。


「正直、彼の性質上、私が専任の教育係を続けなくても“必ず助けてもらえる力”があります」


彼を見ていると、別の先輩方の交流がとてもスムーズだ

困っていれば誰かが自然と声をかけてくれる。

御森くんには“自分から関わりたくなる性質”があるのだと思う。


「私が彼に渡せるものは少ないですし、基礎を習得したこのタイミングで細かいところはその業務が得意な人に確認できる状況を作るべきかと」


彼の成長を見守ってきたこの数か月。

別に私が彼の教育係をするのが嫌という訳ではないが

それこそ説明会なんて、彼の長所に近い先輩と組んでもらえば

あっという間に独り立ちできるだろう

そう、別に私がお手本を意識した説明会が嫌という訳ではないのだが


「細海さんの言うことは的を射てるんですけど、もう少しだけ先を想像してみてください」

「先、ですか?」

「そう、確かに即戦力を短期間で育てるなら、彼みたいに素直でポテンシャルが高い子はそれで正解。でもね」


少し、視線を下げ

言葉を選ぶように「ん~」と顎に手を添え


「例えば、彼が何か大きなミスをした時。彼の周りが味方だらけだと、誰が御森くんに注意してあげられるかな」


突然、別視点からの問いかけに脳みそが動く感覚がする


「彼の愛嬌は素晴らしい“才能”です。でも、それでは有事の際に不均等が生まれます」


部長の指摘はもっともだと思った。

誰だって経験があるはずだ『なんであの人ばかり』と不満を持つ瞬間が


「御森くんは、確かに背も高いし清潔感があって見た目も整ってます。性格が人なつっこいうえ、身体能力も高い、完全に天性のたらしだと僕も思います」


「そんなことまでは言ってませんね、私」


御森くんのこと天性の人たらしだと思ってたんですね…

とはいえ

「(私が思っているより、部長は冷静に評価されているんだなぁ)」

自分が今日まで書き溜めたOJTシートと進捗コメントはまだまだ薄っぺらく感じる。


「まぁ、そんな訳で苦手分野もあると思いますが。引き続き、御森くんの教育係頑張ってください!僕は細海さんのミスのリカバリー上手だなって思って見てますから!」


御森くんもだけど、この面接で自分の課題も確認出来て良かった。


「はい、ありがとうございます」


全ての確認が終わり、居室へ向かうため面談室を後にする

言葉は聞き取れなかったが

閉じた扉の向こう側で、部長の声が聞こえた気がした。


「ポテンシャルが高い子は良くない先輩に付けば利用されてしまう可能性がある、しっかり細海さんの真面目さと謙虚さを1番近くで見せてあげてください」


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