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細海先輩と御森くん  作者: 紙屋川トカゲ
2章 本格始動
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第42話 細海先輩と御森くんのメイクと料理の親和性

いつものように業務の合間の雑談をしていた時

「めっちゃ失礼な言い方になるんですけど」

御森くんがこちらの様子を見ながらそう言う


「細海先輩…ちゃんとお化粧するんですね」


確かに、髪型、メイク、服装自由のこの会社で

そのルールを逆手にとり

『だったら最低限清潔感がある髪型でノーメイク、服装も限りなくオフィスカジュアルに見えれば楽じゃないか』と言うスタンスのため、説明会の姿は衝撃だったのだろう


「私も社会人ですからね…メイクはマナーと言うルールに随分苦労しました…」


とはいえ、凝り性の私は一度興味を持ってしまえばズブズブと知識を増やしてしまうのでメイクを覚えてからは休日の1人時間のためにメイクを楽しんでいる


「ここではスッピンでもお咎めありませんけど、説明会の時は社会人としてのマナーはちゃんと守りますよ」


そう言うと、少し期待のこもった顔をしながら

「じゃあ、ちょっとメイクの話しても良いですか」

と確認される


「メンズメイクするんですか?」

「しっかりはしませんけど、前回の細海先輩見てて人前に出る時にちゃんと整えられる知識ほしいなぁって思いました!」

相変わらず好奇心と趣味の幅が広い

とはいえ

そもそも健康的でこの距離で毛穴一つ見当たらない御森くんにメイクが必要な時は来るんだろうか

眉毛もちゃんと整えてるし、髪の毛もちゃんと数か月に1回は整えに行っているように見える。

と思いつつ、後輩の意欲を失わせてはいけないと説明を始める


「個人的に、メイクって調理工程に似てるなぁー、と思うんですよ。例えばトンカツ」

「トンカツ…?」


「はい、トンカツです。最初の化粧水や乳液でスキンケアがお肉自体を底上げするためにブライン液に漬けるのと同じニュアンスです」

「え、ハイ」

「次にUVカットやベースを塗るのは小麦粉を叩いて肉に一枚ベールを纏わせるのと似てますし」

「……」

「ファンデーションとか、御森くんくらい肌が綺麗ならコンシーラーだけでも良いと思うんですけど、ここは小麦粉を叩いた豚肉を卵にくぐらせた感じです」

「…あとはパン粉つけるだけっすね」

「はい、最後にパウダーをはたいて完了、もし崩れやすければキープミストと言う商品もあります、衣をつけて揚げたところまで…」


「いや、なんでトンカツ!!!?俺トンカツじゃないっす!!」

「御森くんはトンカツじゃないです」


だけど手順を守れば料理もメイクも失敗することはない


「うぅ…もっと美容に特化した話ができるかもと思ったのにぃー」

「まぁ、豚肉も人間も大まかにはタンパク質ですから」

「いやな言い方しないでください!!」


そんなやり取りをした数日後


「コスメ見に行った時に細海先輩の説明がしっかり頭に残ってて商品探しがちょっと楽でした」

と、納得のいってない表情で報告してくれる御森くんに

「エピソード記憶ってやつです、これでトンカツも迷わず作れますね」

と悪い顔で言ってやれば「ぐっ、もっとオシャレな記憶と一緒が良かったぁ」と悔しそうに歯軋りをしていた。

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