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細海先輩と御森くん  作者: 紙屋川トカゲ
2章 本格始動
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第41話 細海先輩と御森くんと処理能力の暴走

「御森くんおはようございます、説明会どうでしたか?」

「部長ぉー!おはようございます!」


駅から会社までの朝の時間

後ろから部長に声をかけられ横並びで歩きだす


「今まで教えてもらった事の総集編、って感じでした!次は俺が利用者さんに説明するんだなぁ〜って思いながら見てました。」

「そう、本当にそれなんですよ、お会社によっては一癖も二癖もある方々に説明する事もあるから、しっかり基礎を固めてください、ところで」


少し声のトーンを落とした部長に

「細海さん、大丈夫でしたか?」

と部長に聞かれ、〝ムフー〟っとドヤ顔をする。


「はいっ!鈴木さんと佐藤さんが沢山いらっしゃったので、帰り道はしっかり荷物待ちをして細海先輩の体力を守りました!」

「え、やだ、待って、鈴木さんと佐藤さんって1人ずつじゃ無いの?」

予想外の返答に「沢山いらっしゃいました、皆さん細海先輩にめちゃくちゃ質問してたので帰りの荷物待ち頑張りました」

と答えると「細海さん…今日大丈夫かなぁ…」と小声で聞こえた気がするが細海先輩本人から「ファインプレー」とご褒美のチョコをもらったのでミッションはコンプリートしてるはずだ


心配する部長を不思議に思いながら居室に着き

細海先輩に「おはようございます」と挨拶をした時

異変に気づく


「おはようございます御森くん、ちょっと昨日からずっと考えてることがあるので聞いてくれますか」

と、思い悩んだように呟いたのだ

「なんですか、なんでも聞きますよ」


説明会終わりの初出社だ、何か俺の行動に良く無いところがあったのだろうか…


「わかめの味噌汁を飲みながらコーンスープを想像すると一瞬コーンスープになると思いませんか」

「朝から何を言ってるんですか?」


それはそれは真っ直ぐと俺を見つめて言うので少し怖い


「説明会から帰って晩御飯にお味噌汁を飲んだ時にふとコーンスープが飲みたいと思った瞬間、脳がバグった感覚がありましてね…調べてみると脳の仕組みの観点から、人間の「味覚」というのは、実は舌だけで感じているのではなくーーー」

「どうしたんです細海先輩、ワカメの味噌汁は、コーンスープになりません!!」


心配する俺を他所に部長から

「良かったぁ〜、今回は真っ白じゃなくていつものやつですね」

と嬉しそうな声が聞こえた。

そして、そのまま自分の席へ行ってしまう。

待って部長!!俺のこと置いていかないで!!


「人間の脳は、効率よく世界を認識するために「次に何が来るか」を常に予測するらしく、これをトップダウン処理と呼ぶそうです。味噌汁を口に含むという実際の刺激に対して、脳裏に強くコーンスープを浮かべたことで、「今からコーンスープが来るぞ」という強い予測が脳内で走りその結果、脳の味覚野が一瞬騙されて、予測通りの味覚のネットワークを起動させると…」


「細海先輩っ、何言ってるか何っっっも分かりません!!」


「いや、でも似たような現象として、料理の世界でも「プリンに醤油をかけるとウニの味になる」「アボカドに醤油で大トロ」というのがあるじゃないですか?」


ダメだ、会話が成立してない

俺はなんて無力なんだ…

悲しみを背負いながら、とりあえず打刻をした時だ


「細海ちゃん、後輩に理不尽な詰め方しないよ?御森くん、ごめんねぇ…説明会後の細海ちゃんは緊張の糸が切れて突拍子もない理論を言い出すんだよ」


物部先輩が〝ほーら細海ちゃんお白湯だよぉ〜〟と言って差し出した白湯をゆっくり飲み干すと

「説明会…疲れました…」と通常モードに切り替わったっぽい細海先輩が息を吐く


〝前は真っ白になって帰ってきたけど、今回は突拍子もない理論を唱えるレベルで帰ってきて良かった良かった。御森くんミッションコンプリートだね!お疲れ様です!〟


社内チャットを開くと部長からメッセージが届いていたが


なんとしても俺がしっかり成長して細海先輩を説明会から解放しなくては、と心に誓ったのであった。

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