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細海先輩と御森くん  作者: 紙屋川トカゲ
2章 本格始動
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第40.5話 鈴木さんと佐藤さん

僕の前を軽い足取りで歩く鈴木さんと佐藤さんは、細海さんに会えてご機嫌です。


「今日もお姉様は素敵だった」

「本当に、あの華奢な体からどうやって張りのある声を出してるのか」

佐藤くんがそう言った瞬間スパーン!!と凄いスピードで鈴木さんが「お姉様へのセクハラ発言!!」と言いながら佐藤さんのお尻を叩き上げました。


「いったぁ…尻かったぁ…」

「鈴木いい加減に学習しろ、鍛えてるから俺の尻はかたいんだよ」


叩いた手を庇いながら「だって!体型の話はセクハラよ!!」

キッ!と佐藤さんを睨みつける


「鈴木さん、残念ながら佐藤くんへのお尻タッチの方がセクハラ度は高いですよ?」


ニコニコとそう言うと「くっ、制裁のつもりでしたが若間先輩が仰るならセクハラと認めます」と歯を食いしばる鈴木さんを「(制裁もしてはいけません)」と心の中で呟いた。


「俺は細海さんの体格からは想像できないバイタリティを尊敬しているが、鈴木は細海さんのどこにそんな執心なんだよ」

「お姉様の?そうね…」

うーん、と佐藤くんから尋ねられた鈴木さんは「私って美しいじゃない?」と綺麗に揃えた指を胸に添えそう言う


「……自分で言うことじゃなっ」

「美しいじゃない?」

「あ、はい」


鈴木さんの圧に押されて無理やり答えさせられたようにも見えますが、実際鈴木さんは美しいです。


「前に〝もっと良いスーツを着たり、身振りを大きくしたりしたら良いのに〟とお姉様に言った事があるわ。上質に目立つのは1つの利点だと考えていたから」


髪の毛をかき揚げながら遠い目をする


「でもお姉様は〝ふふ、ありがとうございます、でも誰が見てもこの人になら勝てそうだな〜、と思わせるのが私の武器なんですよ!おかげで皆様のご意見を余すことなく吸い上げることができるんです!〟って言ったの」

鈴木さんの思い出話に僕も佐藤くんも「あぁ」と感心の声を上げる


「で、思ったの。私も今この人に言いたい事を言わされたんだ、って…確かに格闘家みたいな男性やキツそうな年上の女性相手なら言わなかったかもと思って反省した、と、同時に大好きになったってわけ!」


ニコッと笑う鈴木さんは

毛先まで手入れの行き届いた髪の毛

ツヤツヤと整えられたネイルに

隙の無いメイクの完璧なキャリアウーマンだ

これまでも「自分の質」を意識して生きてきた彼女に細海さんの武器は柔らかなトゲとして映ったのだろう


「成る程なぁ、言われてみれば細海さんは自分から距離を取るタイプなのに、こちらからは抵抗もなく声をかけやすい…あれって計算なのかカッコいいな!」


佐藤くんの言葉に「でしょー???」と鈴木さんは得意げに笑う


「まぁだからウチの子達がお姉様に不躾な態度を取らないように牽制もこめて説明会にいらっしゃる

際は必ずどれだけ私がお姉様が好きか主張するし当日は私から会いに行くし仲良しアピールも怠らなかったのに…まさかこんな突然担当の引き継ぎが行われるとは思わなかった…」


突然、早口でのお気持ち表明に佐藤くんはドン引きしているようですが、項垂れる同僚を見過ごせなかったようで


「まぁ…暫くは監督として御森くんといらっしゃるんじゃないか?」

「あのキューティフェイス印象良すぎボーイにウチの説明会が務まるかしら!!!きゅるんきゅるん人懐っこワンコがっ!!!お姉様の代わりになると思えない!!」


「褒めてるのか悪口かどっちだよ、でもまぁ2人で並んでると細海さんのボディガードみたいな体格差でバランスが良いし。もう鈴木が牽制しなくても良いんじゃないか?」

「『わたくしが尊敬するお姉様に突然大型ワンコ系後輩が現れボディガード気取りのようです!?』ってこと?」

「俺は偶に鈴木の言ってる言葉が分かるのに理解が出来ないことがある、今がそれだ」


そんな2人の話をニコニコと笑顔で聞きながら

次回の説明会までに御森くんには何か共有しておいてあげないと鈴木さんに絡まれちゃうな、と僕、若間は思いましたとさ。

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