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細海先輩と御森くん  作者: 紙屋川トカゲ
2章 本格始動
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第38話 細海先輩と御森くんと説明会への前奏曲

「おはようございます細海さん、就業前だけど今良いかな?」

「おはようございます、なんでしょうか」


いつものようにパソコン前で白湯を飲みながら今日の業務確認をしていた私に部長が声をかける


「打刻もまだなのにごめんね、そろそろ説明会に御森くんも行ってもらおうと思ってて…」

「……私が担当するのに着いてきてもらう流れでしょうか?」


〝説明会〟と聞いて顔が引き攣るのをなんとか堪え

どうか別の人に着いて行かせてくれ、と心の中で祈る私に現実は残酷で

「はい、細海さんにも久しぶりに行ってもらおうと思ってたから、一緒に連れて行ってあげてください」

そう言って、カレンダーを見ながらスケジュールの確認が始まった


説明会――それは、他社へ提供しているシステムについて定期的に行われる業務説明だ。

うちの部署はサポートを請け負っているため、持ち回りで説明会が定期的に回ってくる訳だが…


「(なんやかんや得意な人に指名が増えるから私に 

は最近来なかったのにっ!)」


御森くんはおそらくこの説明会業務特化型に育成されるだろうとは思っていたので絶対に自分以外の人が担当するとたかを括っていたのだ


「よりにもよって私ですか…」

「まぁまぁ、細海さんの説明会とっても評判が良いんですよ?」

「〝説明会〟の評判は良いかもですけど…」

苦虫を噛み潰したような表情の私を

「うんうん、仕事は全部地続きですもんね…でも細海さんの説明会の雰囲気は御森くんの良い糧になると思うので」


〝がんばってください!〟


サムズアップでキラキラの笑顔に照らされながら

「ハイ、イッショウケンメイガンバリマス」と死んだ魚の様な目で返す。


「……因みに、どちらのお会社ですか?」


決まったからにはしっかりやらねば

新規か、定期説明会か…

それによって揃える資料も〝自分〟も変わってくる


「あ、それなんだけどね」


申し訳なさそうに頬をかきながら


「若間さんのところへ、今期の新入社員への定期説明会です」

「わかまさんのとっ……承知、いたしましたっ…」

「あ、その代わりに金曜日に希望出してるから?ね?そのまま直帰しても良いようになってますから!」


部長が気を遣ってくださるのも無理もない

とても良い会社なのだ、だが社風ゆえあそこの社員の皆様は、悪い意味で元気が良い。

前回、お邪魔した際に私が真っ白になって帰ってきたのを部長は知っているのだ


「はい、いえ……任されたからにはしっかり取り組みますので!ご心配おかけして申し訳ありません!」

「細海さんは真面目だから全力じゃなくて8割くらいで大丈夫だよ!!あまり気負わないでね!!」


パァン!と自分の頬を叩き気合いを入れる私に「今回のメインは御森くんの研修だからね!!!ねっ!!!?」と念を押される


「おはようございます…今の破裂音、なんですか」

そんな異様な空気の中

出社してきた御森くんが怯えながら挨拶をしてきたことで

間もなく終業時間だと気づき慌てて打刻をした。


「あ、じゃあ細海さんまたあとでこの話は詰めましょう!御森くん〜!おはようございます、あのね、次回の説明会に細海さんと一緒に行ってほしいって話をしててね?曜日なんだけど…」


そう言いながら御森くんとひそひそ当日の話をし始めた2人をよそに私は小声で「よし、やりますよ」と気合いを入れて拳を握りしめた。

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