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細海先輩と御森くん  作者: 紙屋川トカゲ
2章 本格始動
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第36話 細海先輩と御森くんHPとかMPとか

「細海先輩って昔から体力無かったんですか?」


本来、私がお弁当の後に食べようと思って持ってきたブラウニーを、美味しそうに頬張りながら御森くんがそう聞いてきた。


「学生時代は普通に生活してましたよ。ただ、社会人になってからストレス耐性の低さが顕著に出まして。食べる量が減って、食べないから弱体化していった感じです」


お腹をさすりながらそう答える。


「ん?じゃあ食べられる時にちゃんと食べたら体力戻るんじゃないですか!?」


閃いた!と言わんばかりの顔に、「う〜ん」と首を傾げた。


「そういう人もいると思いますけど、私の場合はそもそも“元の体力”自体が減少してるので、厳しいかと……」


「元の体力が減少……?」


さて、どう説明したものか。


「御森くんのイメージだと、10代の頃に100%あった体力が、年齢と共に回復しづらくなってるだけ、って感じですかね?」


「違うんですか?」


「実際は、100%あった体力が、歳や生活習慣で“70%が全力”みたいな状態になるんですよ。ゲージ自体が減るんです」


「こわい!!」


御森くんが思わず自分の腕をさする。


「え、でもやっぱり、ちゃんと食べて休めば70%は維持できるのでは??」


元気100倍な御森くんからしたら恐怖だろう。


「それがですね、現実世界の体力ってメンタルがかなり関わることが多くてですね……私みたいにストレス耐性が低い人間は、ストレスで食欲減退→HPゲージ減少→弱体化→更にストレス耐性が減っていく、という悪循環に入ります」


「そんな……回復魔法が無いと無理ゲーじゃないですか」


御森くんは真顔でそう言ったあと、ふと何かを思いついたように顔を上げた。


「あれ?でもストレスで食べちゃう人も居ますよね?そういう人って、食べる事でストレスを補えるから最強って事ですか?」


「良いところに気づきましたね」


私は頷く。


「ストレス耐性が低くても、“食べる”で解消できる人は、私みたいな弱り方はしません。ただし」


「ただし?」


「体力とかメンタルじゃなく、“脂肪”という形で身体に影響が出ます」


「ひぇ」


「人々はこの現象を、口を揃えてこう呼びます。“生活習慣病”と……」


その言葉に、御森くんは食べかけのブラウニーを握りしめ、ごくりと唾を飲み込んだ。


「まぁ、御森くんみたいに、休みの日はちゃんと太陽浴びて運動するタイプは、健康に歳を取ると思いますよ。気にしなくて大丈夫です」


「ですよね!」


その言葉に安心したのか、御森くんは残りのブラウニーをぱくりと食べ切った。


……が。


その日以降、気がつくと座ったままできるストレッチや筋トレをするようになっていた。


つくづく、健全な精神とは健全な肉体に宿るんだなぁ……と思った。

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