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細海先輩と御森くん  作者: 紙屋川トカゲ
2章 本格始動
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第34話 細海先輩と御森くんとイメージの問題

「細海先輩、ちょっとご相談なんですけどぉ」


手を後ろに組み

〝あざとい〟と言われそうな角度で首を傾げながら御森くんが声をかけてきた


「……なんですか」


基本的にこの子は常識的かつ性善なので信頼している。

だが、明らかに私とは見ている世界が違うので身構えた。


「人狼しませんか?」

「しません」

「そこをなんとか!!」


突然のゲームの誘いに即答するも食い下がられ首を横に振り続ける


「そもそも私はゲーム神経が皆無です!!メンバーを探してるなら他を当たってくださいっ!」

「違うんですぅー!会社の人達と人狼の話になった時に細海先輩強そうだなって流れになってぇ!」


彼の話を要約すると、普段交流のある社内の人達とリモート人狼をネット上ですることになったらしい

その際、先ほどの〝細海さん強そうなので一度人狼の世界へ引きずり込んでみたい〟と言う会話になったそうだ


「わかりみが深い、自分の好きなものって布教したいし、才能のありそうな人は自分の沼に引きずりこみたくなる」


うんうん、と後ろで聞いていた物部が腕を組みながら頷く


「ね?ねっ?そうですよね物部せーんぱい?細海先輩一回で良いので参加してみませんか!?」


物部と言う後ろ盾を得たことで勢いを増した御森くんに懇願され「ぐぅ………」という情けない声と共に承諾することとなった。


とはいえ、参加を表明したからには誘ってくださった皆さんの期待を裏切らないようにしなくてはいけない

その日から、参戦する日に向けて人狼のセルフ勉強会が私の生活に組み込まれた。


まずは役職と呼ばれるプレイヤーに割り当てられる役割と能力を覚えるところから始めた。

成る程、参加人数によっては村人と人狼以外にも

狂人・妖狐・恋人…なんて言うのもあると知った。


占い師や猟師は知っていたが、他にも役職がある事に純粋に驚く

「人狼…なかなか奥が深いじゃないですか」


そこからは毎日ひたすら人狼ゲームの動画を見漁った。

電車の中、家でご飯を食べる時、寝る前

とにかく暇さえあれば見れるだけ動画で勉強をした。

どんなシーンで、どの役職で、人を陥れる言葉や雰囲気を頭に叩き込んだ。

そして、遂に人狼初参加の日を迎えた訳ですが…



「で?昨日のリモート人狼はどうだったの細海ちゃんっ」


ニコニコと物部に話しかけられ「えーっと…」と口がごもる

「え、どうしたの?面白くなかった?でも気さくな人達が集まってたイメージだし、初心者的にはやりやすかったんじゃない?」


頭に疑問符を浮かべた物部に御森くんが気まずそうに口を開く


「いやぁ…実は細海先輩、初っ端から声や喋り方だけで強者感が凄くて…」


チラッと私の方を申し訳なそうに見ながら

「なんの根拠も無いのに、残ってたら厄介そう、って理由で真っ先に吊られ続けちゃったんですよ、ね?細海先輩?」

「あぁ〜…そうか、そうだねぇ、細海ちゃんって不思議と強者オーラあるもんね」

「や、そうなんですよ!細海先輩が敵だったらどうしよう!って思ったら…自然と…」


そんな御森くんと物部の会話を聞きながら遠くを見つめた


「もっとちゃんと活躍したかったですっ…」

「まぁまぁ、ちなみに昨日のMVP誰だったのかな?」


という物部の問いに、御森くんが苦笑する。


「……細海先輩です」

「なんでですか!?ずっと吊られ続けたのに!?」

「“存在が怖かった”って理由で、村が一致団結したので…細海先輩、“私は村人です”って言う時だけ妙に声が低くて本当に怖かったです」

「ただ緊張してただけなんですが!?」


ははは、と面白そうに笑う物部に「うぅ〜」と唇を噛んだ


「人狼動画100本も見たのに!!」

「そう言うところが怖いんですって!!」


次回、誘われた時のために

“弱そうな喋り方”を研究しよう、そう心に誓ったのだった。

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