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細海先輩と御森くん  作者: 紙屋川トカゲ
2章 本格始動
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第26話 細海先輩と御森くんと優しさのお供え

出社して目に飛び込んできた光景に、思わず「えっ?」と声が出た


「おはようございます御森くん、申し訳ないんですけど今日はコンスタントに間食をしますが気にしないでください」


そう言いながらゼリー飲料を飲む細海先輩の横には栄養補助食品が積まれている


「全然良いですけど…間食苦手なのにどうしたんですか?」

細海先輩が仕事中に何かを口にするのは、これまで一度も見たことがない。


飲み終わったゼリー飲料の容器をゴミ箱に捨てマスクをしながら俺の方を向くと


「病気になる前兆が分かるって言ったら信じますか?」

と、神妙な目つきで言った。


前兆とは…?


「体調、悪いんですか?」


回りくどい言い方だな、心配しつつ問い返す。


「〝まだ〟悪くないんですよ、でもおそらく何らかのウィルスの侵入は許したっぽいといいますか…」

「どうしよう、言ってることは分かるけど理解が追い付かないです」


この人はとにかくフワッとした体調不良を体調不良として認識しない性質がある、今回もそのケースか?


困惑する俺を横目に〝1日分のビタミン!〟と書かれたペットボトルを飲み干すと再びマスクをして話しはじめた。


「私は病気になる前兆でとにかく四六時中お腹が空くというフェーズを通ります。この時に食べれるだけ食べて栄養やカロリーを摂取し続けると病気が発症する前に踏みとどまれます」


「……食べ足りなかったら、どうなるんですか?」


いつもは白湯をタンブラーで飲んでいる細海先輩が、今日はペットボトルを一気に空けている。

それだけで、妙に不安になった。


「経験上、熱が出てそこから一気に食欲がなくなります。こうなると薬を飲んで寝る以外に回復する手立てがないんですよ、消化器官から弱るので無理に食べると十中八九嘔吐します」


きゅるるる、と話終えたタイミングで細海先輩のお腹の音が聞こえ驚いた、細海先輩ってちゃんとお腹すくんだ…


「まぁ、そんな訳でまだ病気にもなってない、表面上ただの食いしん坊のような状態なので御森くんは気にせずいつも通り分からない事は聞いてください、多分免疫が凄く頑張ってくれてる分エネルギーの消費が激しいだけなので」


新しい栄養補助食品の箱を開けてモソモソ食べながら業務をスタートする細海先輩に「ウィッス…今日もよろしくお願いします」と言って業務を始めて約1時間

次々に細海先輩の前にお菓子が置かれていくのが不思議な感じである。


「細海ちゃんガチで体調崩すと一週間は出社できない状態になるのに、2日目あたりから動けるとかいう理由でリモートワーク強行するんだよね…なんとしてもここで食い止めなきゃなんだよね〜」


休憩時間、物部先輩にこっそり教えてもらい天を仰ぐ


「なんっっで自分以外には細やかなのに自分の事は雑なんすかぁ…」


休憩終わりデスクに戻ると

更にお菓子が積まれてお供え物のようになっており「ぐぅ、申し訳ないです…ありがとうございます」と言いながらもりもり食べる細海先輩に、早くいつもの食欲に戻れば良いな、という願いを込めてそっとポカリスエットを差し入れした。


その三日後

「なんとか免疫たちが乗り切ってくれたようです」と、お礼のお菓子を配る細海先輩。

「おかげで胃腸も、通常営業に戻りました」

そう言って、いつもの白湯を啜る姿に

食べる量が減って安心することもあるんだなともらったお菓子を食べながら少し笑ってしまった。

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