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細海先輩と御森くん  作者: 紙屋川トカゲ
2章 本格始動
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第25話 細海先輩と御森くんと現在位置

「来週、内部研修の参加予約を入れようと思うのですが、御森くん予定どうですか?」


細海先輩からの問いに

「はい、大丈夫ですけど……内部研修ってなんですか?」

と返した先週の水曜日。


現在。

俺は〝内部研修のお知らせ〟と書かれた紙を片手に、研修センターへ来ていた。


『基本どの支店でも同じ業務を行いますが、どうしても支店支店のローカルルールが発生します。弊社では、業務をフラットに認識できるように定期的に〝内部研修〟が開催されるんですよ』


細海先輩の説明を思い出しながら社員証を首から下げて研修センターの門を潜る


どうやら、この研修は全社員参加できて

他支店の人と交流目的で来てる人もいるらしい


「おはようございます、支店名と名前をお願いします」


簡単な受付を済ませて指定された席に着き

既に置かれていた資料をペラペラとめくりながら様子を伺う


「(緊張してるの俺だけじゃなさそう、よかったぁ〜)」


時期的に若手や新人が多いのか、周りを見れば皆んな年齢が近そうな感じで少し安心する


前半は自己紹介と簡単な交流で幕を開け

持ち前の愛嬌でそこそこ居心地の良いスタートをきれたと思った、いや、ちゃんと良いスタートはきれてたんだけど…


「……」


後半、進む研修と配られた〝全社共通マニュアル〟にカルチャーショックを起こす


「(書いてる事は細海先輩に教えてもらった事なのは分かるけど、なんか、凄く分かりづらい?)」


業務について流れを書いたマニュアルは

ある程度の知識がついた今ならなんとか追いかけられるけど

何も知らない状態だったら絶対無理だろ…という代物で


「(えぇっ、待って待って、俺めっちゃ自分ができてるつもりだったけど全然着いていけてない気がする、マジか!?)」


メモをとりながら、自分が随分と恵まれた環境で仕事をしていた事に気付けたのは大きかった。


「お疲れ様、入社数ヶ月でここまで理解できて凄いね!」

その日、隣の席になった他支店の先輩に褒められつつ

なんとか一日を終え

近くの席の人達と連絡先を交換して解散になった帰り道


「そっかぁ…今の俺の位置ってこんな感じかぁ」

普段、細海先輩のセルフケアの雑さと斜め上のテンションで忘れがちだけど

やっぱり新人教育を任されるくらい優秀な人なんだなぁ


そして翌日――

渡された報告書の雛形に内部研修で学んだことを書き込みながらボソボソと細海先輩に研修で思ったことを伝える


「全社共通マニュアルめっちゃ分かりづらくて焦りました、いつも俺が見てるマニュアルって凄く整頓された情報なんですね」

そんな俺に「あぁ…」と細海先輩が口を開く


「御森くんが見てるのは新人の頃のメモと共通マニュアルを元に顧客の質問やエラーが多い項目を逆算して作った特別仕様です。全社共通マニュアルは記載の流れが事務的で見にくかったのかもしれませんね」


さらりと言われた言葉に「えっ!?」と声が出た


「いつものやつって細海先輩が作ったマニュアルなんですか!?」


そんな俺に、少し口の端を上げて笑いながら


「そうですよ、凡そのマニュアルは手順書ですけど、それではその業務の何に躓くとか分からないですからね…小さな成功体験を積み重ねられる様になるべく注意事項は丁寧にまとめた物を御森くんには渡してます。」


眼鏡にワザとらしく指を添えて言う細海先輩を見ながら

柔らかな悔しさと再確認した尊敬がせり上がってくるような感覚に、自然と口が尖る


「細海先輩…自分の事に無頓着で意外と繁忙期は無理のゴリ押ししてるから脳筋タイプなんだと錯覚してたの、改めようと思います」

「こんな分かりやすく脆弱で理知的な見た目の私相手に脳筋って、どう言うことですか!?」


細海先輩の主張に笑いつつ

俺は随分とこの人に守られて安全な道を歩かせてもらっている事に改めて感謝しようと思った。

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