表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
細海先輩と御森くん  作者: 紙屋川トカゲ
2章 本格始動
25/36

第23話 細海先輩と御森くんと献血

就業20分前。

いつも通りに準備を済ませ、

ふと、さっき見た光景が気になって窓から外を見ていた。


「あれ、細海先輩おはようございます」


出社してきた御森くんが、驚いたように挨拶をする。


「この時間にパソコン前いないの、珍しいですね?」

「おはようございます御森くん、ちょっと昔のことを思い出してました」


苦々しい顔をしていた私を見て、御森くんが不思議そうに同じ窓を覗き込むと、

「あっ、献血車ここから見下ろせるんですね」と声を上げた。

弊社には定期的に献血車が来る。


「はい、業務時間内であれば社会貢献活動の一環で献血ができます。スポーツドリンクとかチョコレートもらえるので、結構人気ですよ」

「へぇー…そんな険しい顔するような献血車で思い出す昔のことって、なんなんですか…」


眉間に皺を寄せ、ちらりと御森くんを見上げて、重い口を開く。


「O型の血は、全血液型の人に輸血ができると言われています」

「あー、俺も聞いたことがあります!」

「正確には、Rh-O型の赤血球が最も安全に輸血できる血液型だそうです」

「へぇ、O型なら全部大丈夫ってわけじゃないんですね?」

「私はO型なので、数年前、思い立って献血ルームに行ってみたことがあるんですが……血を取る直前に断られてしまったんですよ」

「その日、気圧でも低かったんですか?」

御森くんの言葉に気まずさを感じつつ、


「血管が見つからないと言われまして……」


服の上から腕をさする。


「いや、血管はあるでしょ」

正しいツッコミだけど、そうじゃない。


「血管はあります。でも、針が刺せる血管が表面に浮いてこないんです」

と落ち込みながら言葉を続けた。

「普通は血を取るのに適した血管が、指で押すと分かるそうなんですけど、私の場合どこにも見つからなかったらしくて」

一拍置いて続ける。

「手の甲からならとれるけど、そこまでする必要ないと言われて…その日、私はスポーツドリンクとお菓子をもらって帰っただけの人になりました」

その日の無力感と情けなさを思い出しながら肩を落とす。

「えー、血管って外からでも意外と見えません?」


そう言って御森くんが袖をめくって見せてくれた腕は、見ただけで血が取りやすそうだと思った。


「くっ、私はっ、体力も無ければっ!満足に血管すら主張できないポンコツだ……!」


歯を食いしばってそう言うと、


「じゃあ俺が細海先輩の分まで献血してきますから。そろそろ居室戻りましょう、打刻しないと俺が遅刻扱いになっちゃいます!」

そう言って歩き出す御森くんの後ろから

「因みに、御森くんの血液型はなんですか?」

と聞いてみた。

「俺、AB型です!」

「レアな血液型じゃないですか…つくづく君は人の役に立つ素晴らしい人間だな!」

そんな私に振り返りながらピースをする御森くんが羨まし過ぎて、思わず歯軋りを堪えた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ