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細海先輩と御森くん  作者: 紙屋川トカゲ
1章 研修期間(仮)
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第16話 細海先輩と御森くんと部長

身長178センチ。

40代前半、笑顔が優しい愛妻家。

我が部署の部長はとってもお茶目で素敵な人である。


俺も背は高い方だけど、はじめて部長に会った時の印象は「デカくね?」だった


そんな部長から入社初日の説明を受けている時、細海先輩についてこんな事を言われたのを覚えている


「後輩教育が初めての女性についてもらおうかと思ってるんだけど、もし御森くんが異性の先輩につくのに抵抗があるなら、今〝いや〟って言ってくれれば別の人にするよ」


最近のコンプライアンスの関係か、異性で良いかの確認か、はたまた後輩教育が初めての人に対する抵抗がないか――もしかしたら全部ひっくるめての確認なのかもしれなかったけど、俺は「特にいやではありません」と答えた。


そりゃ、できれば後輩教育の経験豊富な同性の人に教えてほしいというのが本音ではあったけど、第一希望の会社に入ってすぐにイメージを悪くしたくないという打算もあった。


「良かったぁ〜。僕としても、2人揃って成長が見られたらいいなと思っての人選だったから、御森くんからOKが出て安心したよ」


さっきまでの説明はとても真剣な空気を纏っていたのに、ニコリと胸を撫で下ろす姿で一気に場の雰囲気を柔らかくしてしまう。

それが最高にカッコよくて〝この人が選んだ先輩ならきっと大丈夫だ〟と自然と思えた。


居室に向かう途中に受けた細海先輩に対する説明は「最初は少しとっつき難いかもしれないけど、慣れればきっと面白いと思うよ」で、気難しそうな人だったらどうしようと思ったけど


「ほっそみさーんっ」


と、軽快にかけられた声に


「なぁんでぇすかぁっ?」


と、精一杯同じテンションで返事をする姿に「慣れればきっと面白いと思うよ」と言うのが詰まっていて、絶対この先輩と仲良くなってやろうと思ったのが最初の目標になった。




「お、御森くん!おはよう」

「部長!おはようございます!!」


出社してエレベーター待ちをしていた時に後ろから声をかけられる


「部長がこの時間に出社って珍しいですね?」


俺が聞くと


「そーなの、ウチの王子様とお姫様が靴下でぐずってねぇ」


双子さんのパパと聞いていたが、どうも今日は絶対に履きたい靴下が見つからないと2人揃って主張したので奥様と一緒に探して遅くなったらしい


「大変そうだけどめっちゃ可愛いですね」

「かわいいよぉ〜、見てて飽きない」


スマホの画面に映し出された家族の写真を見て俺も思わず笑顔になる


「そう言えば、研修はどうですか?細海さんとはうまくやれてる?」

チラリと俺を見上げる表情は、もう〝部長〟の顔でやっぱり最高にカッコイイと思う

「はい、部長の言うとおり…面白い人で毎日楽しいです」

俺の答えに「そっか、良かった」とあの日と同じように目尻を下げて笑ってくれた


「ところで、なんで細海先輩を教育係に選んだか聞いても良いですか」


細海先輩は確かにとても良い人だけど、決して後輩教育に向いてるタイプじゃないとおもう

1人で黙々と作業をこなす方が絶対に合っている人だろう


「あぁ、それはね」


乗り込んだ2人きりのエレベーターで、部長はクスクス笑いながら


「御森くんを面接した時、細海さんと正反対の子が来た!って思ったんです」


と、子供のような顔で言った


「だからね、お互いの良いところに気付いて成長してくれたら理想的だなって思って選びました」


その言葉がとても納得のいく回答過ぎて「確かに真逆ですね!」と笑ってしまう


「今、御森くんも研修中だけど、細海さんも成長してる途中なんです。お互い、尊重し合って成長するところを見せてください」


そんな事を言う部長の顔は少しだけ〝お父さん〟みがあって、本当にこの人はズルい、素敵な大人すぎる


「頑張ります!」


いつか、部長みたいな大人になりたい

この会社での目標がまた1つ決まった


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