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細海先輩と御森くん  作者: 紙屋川トカゲ
1章 研修期間(仮)
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第14話 細海先輩と御森くんと限界突破

朝から至急案件の電話が複数入った。

次に先週から確認待ちだった案件の回答が立て続けに来てしまい、1日が始まったばかりだというのに気の早い私の脳みそが既に終業時の疲労を想像し始めた


「(今日はこういう日か)」


なぜ、なぜ、示し合わせたように依頼が固まってのしかかって来る日が定期的に発生するんだろう…


「細海先輩、大丈夫ですか?」


さすがに異常事態だと気付いた御森くんが心配そうに声をかけてくれる

「大丈夫じゃないんですけど、ここまで私が対応してる案件だと手伝ってもらえる部分が無いんですよね…声をかけてくれてありがとう」

「大丈夫じゃないんですか!?」

驚く御森くんを宥めるため言葉を選ぶ


「〝大丈夫ですよ〟と言ってあげたかったんですけど、シンプルに量がちょっと多いんです」

内容自体は普通の業務だけど

1日に詰め込まなくてはいけない仕事の密度が高くて既に気力が疲れてる状態だ


とは言え、御森くんが業務につまったら教えるのも私の業務である

業務という言葉がゲシュタルト崩壊しそうになりながら

「御森くん、とりあえず私の事は気にせず分からない事があったら聞いてください、私がダメそうな時は他の先輩にヘルプを出しますから」

と伝えた


まだまだ研修期間の彼を完全フリーにする訳にいかない


「はい、分かりました!」

「ぜっったいに気を使って1人で解決しようと思っちゃダメです、必ずなんらかの対応をします、何事も初動が肝心です」

少し強めにクギを刺してそれぞれの仕事に取り掛かる

ありがたい事に、この素直な後輩は言ったことをきちんと守って分からないところは聞いてくれた


彼の仕事を確認しつつ、たくさんの案件をこなすのは大変で、自分の時にもしっかり対応してくれた先輩に改めて感謝をするきっかけになった


お昼も持ってきたお弁当を食べる時間が惜しくてゼリー飲料を飲みながらパソコンを打ち続ける。

フル回転してる脳へ栄養を届けるなか、固形物が入らない胃袋から〝カロリーをよこせ〟と抗議の声が聞こえる気がする

「(食べられなかったお弁当と…

お肉……お肉が食べたい……焼いたやつ……

脂が…

むしろ脂のみたい…

今なら飲める)」


画面の文字を目で追いながら頭の隅で食べたい料理のラインナップが出来上がっていき空腹感が辛い。でも昼を全て投げうったおかげで完了させなくてはいけない業務がめでたく終わって溜め息をついた。

今日やるはずだった残りは、明日の私に任せる。


「お疲れ様です細海先輩、大丈夫ですか?」


朝と同じく心配そうに聞いてきた御森くんの方に顔を向け


「……さっき飲み物を買いに行った時にリフレッシュルームの文字がマッシュルームに見えるくらいには大丈夫じゃないです」

ガクッとデスクにこうべを垂れた私の耳に「細海せんぱーーーーい!!!」という小声の叫び声が聞こえたが、限界を超えた私の脳は晩ご飯何を食べようという事でいっぱいで、リアクションを返せる余力はなかった。

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