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細海先輩と御森くん  作者: 紙屋川トカゲ
1章 研修期間(仮)
11/35

第10.5話 細海先輩の休日

スマホから流れる電子音を片手で止めて薄目を開ける

時刻は午前7時、休みの日に起きるには早過ぎるが今日はドラッグストアがポイント倍の日だから生活用品のストックを買いに行きたい


「ぐっ……起きたく、ないっ」


優しい布団と言う包容力からの脱却は人類に課せられた試練である

睡眠以上の娯楽はこの世に存在しないとさえ思うが生きると言うことは生活が有るということ。

そして生活用品が必要という事だ


そもそもポイント倍の日とは言え私がこの時間に起きるのには訳がある


「本日のミッション…11時までに目的の駅に降り立つ、開始ぃ…」


ほぼ半泣きで布団から這いずり出ると、まだ少し肌寒い空気に挫けそうになるけど負ける訳にいかない

そう、11時、殆どの飲食店がオープンする時刻だ

個人的なこだわりで1人飯をする際はなるべく並ばずオープンと共に店に入りたい、というのがある


「体力さえ有ればなぁ…」


ゆっくり起きて、ゆっくり並んで…という一見余裕を持った行動は私のように脆弱な生き物には致命傷である

空腹で列に並んでる間に体力ゲージが虫の息に達するからだ

体力のあるうちにご飯を食べて体力が減り切る前に一日の用事を全て済まさなくてはいけない


胃に甘めのミルクティーを流し込み洗顔後のスキンケアをする


「今日は気温的に厚手のワンピースにしようかな」


冬から春に変わるような淡いくすみグリーンのワンピースをクローゼットから取り出して鏡の前で当ててみる

久しぶりのコンタクト越しの顔に「う゛ぇ」とカエルが潰れた様な声を上げると急いでコスメボックスを取り出した。


「すっぴんで可愛いワンピースと向き合える訳がないんだよ」


メイクは別に好きではないけど自分が好きだと思って買った服を着るのは好きだ

だから好きな服に見合う自分になるために、丁寧に顔も髪型も整えていく

私の場合は普段を極力清潔感を失わない程度に手を抜いているから、整えた後とのギャップで休日の特別感を得るのだ


「こんなもんでどうだろう」


ワンピースに合わせて淡い色合いのコスメで整えてみた

私は決して美人だったり綺麗だったり、ましてや可愛い容姿ではないけど、いつもと雰囲気が違う自分というだけでテンションが上がる


「よし、いいでしょういいでしょう!」


鏡に映る自分を見て身支度の出来に満足しながらカバンとスマホを持って部屋を出た


「買い出しの前に、今日は3駅向こうの喫茶店でナポリタンといちごミルクフロート!」


食べれそうなら固めのプリンも頼みたいな

今日の1人飯も全力で楽しめそうだ

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