第四十一話 息ぴったり
「「あのっ」」
口を開いた直後、声が重なった。
「あっ、リコさんからどうぞ」
「い、いえ……セインさん、から……」
覚悟を決めたところでこんな偶然。これまでずっと何も話していなかったはずなのに、タイミングが良いのか悪いのか、どうにも話し出しにくくなってしまった。
「……では、俺の方から。……リコさん、名誉挽回の機会をくださいっ!」
「……え?」
セインさんの言葉の内容が、いまいち理解できない。
「今日は、お詫びのつもりで誘ったにもかかわらず、リコさんに嫌な思いをさせたり、体調に気づかずに倒れさせてしまったりと、不甲斐ないばかりで……ですから、ぜひとも次の機会をいただきたいのですっ」
「……っ……!?」
ゆっくりと、セインさんの言葉に対する理解が追いつく。
つまり、もう一度、セインさんに会える……?
そう理解してしまえば、返事は一つしかない。
「よ、ろしく、お願い、します」
嬉しい、嬉しい、嬉しい、と、心が歓喜を叫ぶ。
また会える。次の約束をしてもらえた。その事実が、たまらなく嬉しかった。
「良かった。これで断られたら、どうやってお詫びをしたものかと頭を悩ませるところでした」
もちろん、『お詫び』なのだということは理解している。それでも、セインさんに会えるということの方が大切だ。
次回は、私も、色々調べるべき……?
セインさんが楽しめるようなものをリサーチして、セインさんと一緒に回るのは楽しそうだ。そう考えたところで、セインさんは、私に話を振ってくる。
「そうだ。俺が話を遮ってしまいましたね。リコさんは、何を話そうとしていたのですか?」
その問いに、私は一瞬、何のことか分からずに固まって……すぐに、しっかり悩んで結論を出していたことだと思い出す。
「…………」
言うべきか、言わざるべきか。それを少しだけ悩んだ後、私はゆっくりと口を開く。
「……セインさんの、都合が良ければ、私、迷惑をかけた、お詫びを、と思って……」
それは、私なりの精一杯の誘い文句。こう言えば、私がそれなりの罪悪感を抱いていると思って、セインさんも誘いに乗ってくれるのではないだろうか、という考えだった。
「なるほど、俺達は、お互い、同じことを考えていたんですね」
そう言って微笑んだセインさんを見て、先程から私達、息ぴったりだなぁと思う。
「俺達、息ぴったりですね」
ふいに、今考えているのと同じことを言われて、ドキリとする。
「ですが……そうですね。せっかくなら、二日に分けましょう。俺が目一杯お詫びをする日と、リコさんにお詫びをしてもらう日。俺も、あまりモビア王国の観光をすることはありませんでしたし、リコさんにお詫びをしてもらう日は、色々と観光に行きましょう」
そして、セインさんからの思わぬ提案に、私は全力でうなずいた。




