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12話 精霊チーチと角

きょうはオオカミさんの巣で寝てた。おはよーってしたらオオカミさんがペロってお顔をしたからくすぐったくて笑っちゃった。


「なにしてあそぶ?」

「ワン!」


オオカミさんとぼくは森をおさんぽすることにした。

ゴワゴワだけど大きい背中にのせてもらって、オオカミさんはトットトットってお馬さんみたいに歩く。ゆれるの楽しいな♪


「あっオオカミさん、魔石がおちてるよ」

「ワン!」


湖の近くまできたら魔石がおちてた。たまに見つけられるキレイな石でオオカミさんの大好物だ。オオカミさんにおしえたらちょっとだけ早歩きで近づいて、くんくん、パクンと食べちゃう。


「おいしい?」

「ワワワゥ」

「よかったねー」


他にもないかな?

オオカミさんからよいしょと降りて、湖のまわりをふたりで探したらあとふたつ見つけられた。こんなに見つかるなんてめずらしいんだよ! オオカミさんもよろこんでて、手のひらに乗せてどうぞってしたら優しくパクンて食べてくれた。


「わうわう?」

「うん♪ イアスのお家にいくよ」


オオカミさんがくふんと鼻をならして伏せをしてくれた。ぼくでも乗れる高さにしてもらった背中にのったら、今度はビュンビュン走ってあっという間にイアスの家に到着!

オオカミさんとばいばいして、いつでも開いてる扉からおじゃまします♪

手をグーにして奥の扉を二回トントンするとイアスが扉をあけた。ノックのやり方もイアスから教えてもらったんだ。


「おはようチーチ」

「おはようイアス!」


あいさつしたらすぐに抱っこしてくれる。

ぼくも手を伸ばしてイアスのほっぺに頭をこすりつけた。さいきん頭のちいちゃい角がむずむずかゆい。イアスが頭とおでこをなでなでしてくれると、ちょっとおさまるんだ。


「うぅーかゆい……」

「伸びてきているのかな」

「ウゥー……」


気持ちよくて唸り声がでちゃう。イアスがふふふと笑いながら、しばらく角のまわりをかいてくれた。


「今日は? 畑はみてきたか?」

「あっ! まだだよ。イアスいっしょに見に行こう♪」


イアスの腕に座るみたいな抱っこのまま、家のそとにでる。イアスは背がたかくてかっこいい!

畑に着いたらおろしてもらって、様子をしっかり観察するんだよ。うんうん、リンゴの木と畑はみどりの葉っぱがいっぱい伸びてて元気そう!


ぼくは両手をたたいて笛をだす。今日も元気に育ってね♪


プープカップー♪プープープー♪


ニョキニョキ……ポン!


「わあっお花が咲いた!」


白くてかわいいお花が弾けるみたいに咲いた。

ぼくはうれしくなって、もっともっと楽しい音を吹くんだ♪


プープッカプープー♪

プッカプッカプー♪


スキップしてるぼくの周りに妖精さんたちもあつまってきた。


「朝からステキなダンスパーティーね〜」

「生命に満ちてるわ〜」


イアスが作ってくれた畑をぐるりと一周したら、たくさんのお花が咲いていた。ぼくは笛をぎゅっとにぎって最初に咲いた白いお花のところにしゃがみこんだ。妖精さんたちも好きなお花に寝ころがってる。

しゃがんだぼくより少し高いところでお花がふわふわ揺れてる。


「ふわあ……いいにおい」

「カモミールの花だな。癒やしの効果があるといわれている」

「いやし?」

「側にいると安心するということだ。安らぐともいうかな」

「ぼくはイアスといると安心するよ!いやしだね♪」

「フフ、私もだよ」


イアスをみあげてニコッとしたら抱っこしてくれた。いつもみたいに頭をなでなでしてくれると、とっても安心するんだよ。これがいやしだよね。


「………ん?」

「どうしたの?」


イアスが首をかしげたから、ぼくもいっしょにコテンと頭をたおす。


「……チーチ、角がないぞ」

「???」


ツノ? 角ってぼくのおでこのとんがり?

ぼくは両手でおでこをぺたんと触ってみる。あれ?いつもツンてするのになにもない。


「???」

「………」


イアスがゴクリと喉を鳴らした。

だんだんおめめが痛くなって、のどがヒュってなって……


「……っうわぁぁあん! ぼくの角なくなっちゃったあ〜!」


すごくびっくりしたから涙がでてきた。

ぼくの角なくなっちゃったの?


「チーチ、チーチ大丈夫だ、落ち着きなさい」

「ああぁーん!うー!ぁー……」


イアスの首にしがみついて泣いてたら、イアスがとんとんと背中をなでなでしてくれた。そしたらちょっとだけ、びっくりした気持ちがなくなってきた。


「ひっく……ぅく……ぼくのお角……」

「大丈夫、大丈夫だ。通常の鹿も角は生え替わるものだから、きっとチーチの角もそうなのだ。ほら……ああ、ほら、ここが硬くなってる」

「っくふ……ここ?」


イアスがなでてくれてるところをぼくも両手でさわってみる。

ちょっとだけ、おでこよりかたいところがあった。


「そう、そこから新しい角が生えてくるのだろう」

「あたらしいの……?」

「ああ、きっとかっこいい角だ」


涙でぐしょぐしょのほっぺをイアスが指でなでてくれた。

あたらしい角はかっこいい!イアスがそう言うならきっとすごくかっこいいのが生えるんだね!


ぼくは安心してニコッてできた♪


「ありがとうイアス!」

「ああ。楽しみにしていようか」

「うん!」


イアスがおでこをコツンと合わせてきた。

ふふふっ角がないからコツンもできるんだね!

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― 新着の感想 ―
[一言] は〜可愛い。 のんびりホワホワした日常をもっと見てみたいです。 気長にお待ちしてます。 ムーンの方も楽しく読ませていただいてます!
[良い点] 絵本みたいで優しく癒されました [気になる点] 続きが読みたいです! でも無理はして欲しく無くて 悩み所です [一言] 大好きな作品が増えました ありがとうございます
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