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肉球の交差点 ~ツンデレ猫と忠犬の入れ替わり事件簿~  作者: 海野 さや
第1章. 入れ替わり・脱出編

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18/28

18話. 雨の日は憂鬱、晴れの日はあっぱれ

 ここ最近はいい天気か曇りの日が続いていたのに…

 アイツが外出禁止になって2日目の今日は雨だった。


『まだ色々調達できてないのに、明日は晴れてくれるかしら?残り1日しかないじゃない!アイツは脱出できたのに、私ができないなんて許せないわ!』


 小雨とはいえシトシトと地面を濡らす雨にイライラする。

 さすがに小屋の屋根に登る踏み台と、頑丈そうとはいえ2本の枝ではどうにもならないわ。


 犬の体の重さでは、あっという間にポキッと折れてしまうだろうし…だから、どうにかあと1本でいいから頑丈そうな木の枝が欲しいのよね。


 この2日間で私が考えた脱出方法はこう!

 小屋の屋根からこの家の壁へ枝をたてかけて、バラバラにならないようにアイツにかかえてもらう。

 そして私は壁の上へ華麗(かれい)に着地。

 そこからは、ゴミを入れる箱に降りて、地面に降りる。

 最後は、アイツが通ってきた穴を通ってお庭に行くのよ!


『やっぱり猫の私って天才じゃない!?こういう難しいことは、単純なアイツでは絶対に思い付かないはずよ!』


 体は犬でも頭脳は猫!どこかで聞いたようなキャッチコピーまで飛び出してきた。


『でも、帰りをどうしたらいいかが問題なのよねぇ。ゴミを入れる箱に登るときとか、壁まで登るときとか…。さすがに私でも、自分が元に戻れたらアイツは関係ないわ、なんてヒドイことは言いたくないし…』


 だけど外は雨。お散歩に行けないんじゃ物も拾えない!


 そんなことを考えていたら、また車が通って近くで一旦停まる。そして直ぐにまた走り出していった。


 今日は小屋の中から出てなかったし、屋根に登っていなかったから確認はできなかったけど、ずっと嫌な気持ちがする…このまま雨が強くなって続くと、道路に染みついたあの嫌な匂いも消えてしまうわ。

 なぜか消してはいけない、忘れてはいけない匂いの気がしていた。


 色々と課題が多すぎて、明日は天気にしてくださいと祈るしかなかった。


 ◇◆◇◆◇


『祈りが通じたわ!なんてキレイな青空。今日は脱出アイテム収集の最終日よ!何かしらの成果を残さないと』


 何としてでも良いものを見つけなくては!と固く決意する。


「おはよ~ハヤテ~今日は晴れて良かったねぇ~」


 晃樹(こうき)さんは出張らしく、朝日がのぼり始めた頃にバタバタと家を出ていったので、朝ごはんは仁美(ひとみ)さんが持ってきてくれた。


 私はご飯を急いでたいらげ、仁美(ひとみ)さんの周りをクルクルと回り、お散歩のアピールをした。


「あ~…昨日雨でずっと小屋の中だったもんね~。うーん…今日は少し早めにお昼過ぎにでも行こうか!」


 まるでテレパシーで通じ合っているかのように、お願いごとが叶い『ご主人様すごいにゃ!』と感動すらしてしまったわ。


「じゃあ、お昼ご飯食べたら迎えにくるから、良い子で待ってるんだよ~」


 仁美(ひとみ)さんはそう言って、空になった器を持って家の中に戻って行き、お日様が真上から少し傾き始めた頃、紐を持って出てきてくれた!


「キュン!キュン!キャン!キャン!」


 嬉しすぎて変な声が出てしまったわ…

 せっかく紐を付けようとしてくれてるのに、体の動きが止まらない!


「はいはい。ちょ、ちょっとぉ~ハヤテ~そんなに動いたら紐付けられないじゃん!」


 やっとの思いで紐を付けてくれた(私のせいじゃないわよ!犬の体のせいなんだから!)仁美(ひとみ)さんと、さっそく公園に向かうことにした。


 雨が乾き始めているものの、まだ少し湿っている草や土の上を歩き、キョロキョロと周りを見ながら良いものがないか物色する。


『あ!これは今までで最高の枝じゃないの!?』


 かなり咥えごたえのありそうな、長さも手頃の枝を発見!さっそくの収穫ですとばかりに咥えて、シッポをフリフリ次のアイテム探し…

 また枝なのねと、少し呆れたような匂いが仁美(ひとみ)さんからしてきたけど気づかないふりをした。


 今度は公園の中でも子供たちが遊ぶ遊具がある場所へとやってきた。

 天気は良いけど、まだ地面が少しぬかるんでいたり、遊具が湿っているせいか遊んでいる子供はほとんどいなかった。


『何か…何か…使えそうな物は…』


 砂がいっぱいある場所に黄色い何かが刺さっていた。固くなっている砂山から頑張ってそれを引き抜いてみたら、短いし先が細くていくつもに分かれてるし『使い物にならないわ』と判断。


「あー砂遊びのおもちゃね、それは置いといてあげなさいよ」


 仁美(ひとみ)さんにもそう言われた。


 滑り台のある奥の方に、何か青い丸いようなものが見えた。私は紐を引っ張りそちらへと誘導する。


 それは、青いボールで私の今の顔の大きさより少し大きい?くらいの物で、空気が少し抜けてペコペコしていて薄汚れていた。


『もしかしたら!これは使えるんじゃない!?』


 口に咥えていた枝はこの前同様に仁美(ひとみ)さんへバトンタッチ。

『はいはい、わかってますよ~』と言わんばかりに持ってくれた。


 青いボールを咥えてシッポをフリフリ、許可が出ることを祈りつつ仁美(ひとみ)さんの顔を期待とともに見上げる。


「まあ…それは空気も抜けてるし、捨てられていったものじゃないかな~ゴミ拾いだと思えば…いいか!」


 やったわ!許可がおりたわ!

 大きな収穫に満足すると、もうお散歩なんておしまいよ~!意気揚々と家路につこうとする私に、


「あれ?ハヤテ、今日はもうお散歩終わりでいいの~?」


 笑いながら後をついてくる仁美(ひとみ)さんがいた。

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