表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王女殿下の補佐官は、ため息をつきたい。  作者: 桜の浜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/19

補佐官は、まだ、ため息をつかない ⑨

 またもやリッチモンドパーク。


「警備はあまりいないのですね」


「ええ、別に守るものもないですから」


 私とリア、そして近衛親衛隊の三人は、パーク内を歩いている。


 一人で来る予定だったが、当然のようにリアも一緒に来ている。

 私が一緒の方が話が早いでしょう、とのことだ。


 実際、助かった。

 余計な手続きもなく、パーク内に入ることができた。


 ペンブローク・ロッジ。


 事故、いや事件の場所。

 ここには警備もいない。

 もちろん王宮親衛隊も。


 静かだ。


 そういえば、あの時のアフタヌーンティーはもったいなかったな。

 機会があれば、もう一度食べたい。


「さて、入りますか」


 リアは、どこからか出した鍵でロッジの柵の門を開けた。


 この人、色々と手際が良いな。

 私が行くことを知っていたのかな。

 まさか。


 ロッジの庭。

 私たちが襲われた場所。


 確か、ここら辺かな。


 私は地面の土を掘る。

 大体の場所から、何か所か採取する。

 見た感じ、違いは分からない。


 そして、レオポルド王子殿下が襲われた場所にも向かう。

 同じように土を採取していく。


 リアは、私の作業を見ている。

 なんか楽しそうだな。


「王宮親衛隊は、土の採取なんてしてないですよね」


「ええ。ゴーレムなんて情報は上がっていませんでしたから」


「そうですか」


 よし、帰ろう。


 その時、嫌な気配を感じた。


 嘘でしょ。


 私たちの周りには、親衛隊がいた。

 数は、たぶん十人。


 リアの周りでは、近衛親衛隊が臨戦体制を取っている。

 どうやら仲間ではないみたいだ。


 私は、仲間である可能性も考える。

 少しでもあるかもしれない。


「リア、一応聞きますが、あれは本当の親衛隊ですか?」


「違いますね」


 やっぱり。


 ということは、これはゴーレム。


 まずい。

 あの時とは、親衛隊の数もゴーレムの数も違う。


 リアを逃がさないと。


 私は、ゆっくりとリアに近づく。


「リア、私が囮になります。逃げてください」


「え?」


「なにを言っているのです」


 私は、オーレリア警備主任に目で合図する。

 オーレリア警備主任は頷いた。


「行きます」


 私の掛け声で、親衛隊の一人がリアを担ぐ。


 私は魔導銃をゴーレム親衛隊に構える。

 半分を抑えられれば、あとは何とかなるだろう。


 甘い考えだ。


 親衛隊ゴーレムは剣を抜く。

 この前の動きを見る限り、そこまでではない。

 一対一なら勝てる。


 しかし、今は一対十。

 どんな強者でも、数の力には勝てない。


 唯一の利点は、魔導銃があることか。


 一応、言う。


「引きなさい。今なら不問にします」


 もちろん、聞いていない。

 むしろ剣の構えが攻撃的になっている。


 私は、少し疑問に思う。


 なぜ、リアを誰一人追わない。

 これでは、足止めされているのは私の方みたいだ。


 もしかして。


 私は魔導銃を撃つ。

 簡単に当たり、ゴーレムは崩れる。

 あっという間に砂の山になった。


 まずい。


 最初から、分散が目的だった。


 だからといって、目の前のゴーレムを放置することはできない。

 私は魔導銃を撃つ。


 全部を砂の山にした。


 どこへ向かっただろう?


 私は、先日の地図を思い出す。

 避難するなら、管理棟だ。


 走る。


 リア。


 私の判断ミスだ。

 より危険な状態だ。


 急がなきゃ。


 管理棟が見えた。


 リア。


 声が聞こえた。

 気のせいではない。


 どこだ。


 庭園の方だ。


 私は庭園に戻る。

 場所は、第四王子の庭園の方だ。


 そこは、白い石が敷き詰められた場所だった。

 枯山水という。

 異国の庭。


 私は、かなり好きな庭園だった。

 事件が終わったら、もう一度見たかった。

 リアと一緒に。


 しかし。


 白い石は、川を表している。

 そうリアは話してくれた。


 白い川が、赤くなっている。

 真っ赤に染まっている。


 赤い川が流れている。


 その先に、リアがいた。


 倒れている。


 え。


 うそ。


 その赤い川は、リアから流れていた。


 私は急いでリアに向かおうとする。


 誰かがリアの横にいる。

 気配がない親衛隊。


 突然、現れる。

 体を半分赤くして。


 何かが聞こえた。

 庭園の西側で、金属音がする。


 オーレリア警備主任とゴーレムが、剣をぶつけ合っている。

 あいつは別格に見える。

 あの主任とほぼ互角。


 他の二人は、砂ゴーレムの進撃を止めている。

 数が減っていない。


 ならば、赤いゴーレムは。


 私の方へ向かって駆けてくる。


 魔導銃を放つ。

 奴は、当然のように避ける。


 こいつ、人か。

 ゴーレムか。


 私の迷いを無視して、更に距離を詰めてくる。

 動きが速い。


 私は後ろに下がり、もう一度狙いを定める。

 奴は軽く横にぶれながら近づいてくる。


 リアの状況を見る限り、時間はかけられない。


 やるしかない。


 私は奴に近づく。


 魔導銃を放つ。

 この距離ですら、当たらない。


 こいつ、慣れてる。


 奴の武器はなんだ。

 ナイフ?

 いや、もう少し大きい。


 私は賭けに出る。


 奴は、私に近づきたい。

 私は、距離を取りたい。


 じゃあ、近づいてあげるよ。


 私は、奴に更に近づく。

 奴は焦りもしない。


 この間合いから、私の腹にナイフを刺す。


 私の腹には、奴のナイフの刃が見えた。


 奴の動きが止まった瞬間。


 奴の頭が吹き飛び、砂になった。


 危なかった。


 一応、お腹を触る。


 ある。


 良かった。


 ナイフを刺される時に、私は魔法を発動した。

 通常は対魔法用である、盾の魔法をお腹の前に張った。


 奴の武器も体も、魔法でできていると予想して。


 もしゴーレムではなかったら、私のお腹には今、穴が開いていた。


 私はリアに駆け寄る。


 嘘でしょ。


 いつの間にか、庭園の周りには百体以上のゴーレムがいた。


 これは、どっちの方だ。

 私がさっき戦った方だと、かなりまずい。


 リアも助けられない。


 私は天を見た。

 そこには、見たことがあるものがあった。


 あれは、リアの魔法実験。

 ドーナッツ。


 なんで、あれがまた上にあるのだろう。


 光った。


 リングから青い光が放たれる。


 綺麗だ。


 こんな状況なのに、そう思ってしまう。


 そして、リッチモンドパークが青い光に包まれた。


 光に触れた瞬間、ゴーレムの動きが止まる。

 そのうち一体が崩れ落ちる。


 次々と崩れ始める。


 そして、ゴーレムが全て崩れた。


 リア。


 私はリアに駆け寄る。


 リア。

 リア。


 私は傷口を探す。

 制服を脱がせて、赤い所を探す。


 あれ、ない?

 どこだ?


「もう、くすぐったいですよ。ステラ」


 え?


 あんな大量の血を流して、大丈夫なわけがない。


「これ、養育剤です」


 リアから流れているように見えたのは、彼女が持っていた養育剤だった。


 襲われる時に投げつけたらしい。

 何個か投げて、切られて、自分にかかって、バランスを崩したところに私が来たようだ。


 良かった。


 死んだふりをして、私を驚かそうとしたことは、とりあえず今は保留にしよう。


「何とか間に合ったようね」


 シャーロットさんが、どこからともなく現れる。


「もう大丈夫よ。ゴーレムは全て処理したわ。ここでは活動できない」


「助かりました。でも、どうしてシャーロットさんがいるのですか?」


「リアから緊急の連絡を受けたからよ」


 リアを見る。


 視線に気づいたのか、手を振っている。

 私も軽く手を振る。


 もしかして。


 危険があると知っていたのだろうか。

 そうなら、もっと親衛隊の数を増やすべきではないだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ