表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王女殿下の補佐官は、ため息をつきたい。  作者: 桜の浜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
18/19

補佐官は、休暇をとる。③

「あれは?」


 嫌な予感がした。

 プライベートビーチ。

 所有者しか入れないその場所。

 唯一入れる場所がある。


 海から。


 目の前にいるのは、防護服を着たレジナルド准教授。

 しかも、何かを持ってきている。

 なんだろう。


「失礼します」


 私の隣には、いつの間にかエディスさんがいた。

 リアの近くにいる近衛隊が驚いている。

 誰も気づかない。

 この人。

 すご過ぎる。


「エディスさん。あれは何ですか?」


「はい。レジナルド様がやっと見つけた実験試作品です」


 それは、嫌な言葉を聞いた。


 実験試作品。


 やっぱり何かをしていた。

 関わりたくない。

 そんな私の気持ちを無視して、エディスさんは話し始める。

 もう聞きたくないです。


「これは、海中を探索するために作ったものです」


 海中を探索?

 何をするの?

 魚でも捕まえるのですか?


「海中には、まだ見ぬ鉱石や物質があります。それを確認するため、海底を探査していました。しかし、海中で動かしてから行方不明になりました。ただ、最近この一帯に不審物が現れたとの情報を得たので、確認に来ました」


 もしかしてさっき見たあれか。


「もちろん、レジナルド様には昼夜問わず捜索してもらいました」


 たまに、レジナルド准教授に冷たいな。

 何か嫌なことでもされたのですか?

 それとも、エディスさんは海が苦手なのだろうか。

 あんな水着を着ていると十分満喫しているように見える。


「私、今休暇中なので」


 私と同じだった。

 そうですよね。

 休みは休みですよね。

 わかります。


「それで、あれがそうなのですか?」


「はい。そうです」


 大きさ的には、私より小さい。

 レジナルド准教授は、頭にかぶっているものを取った。


「ステラ君。やあ、久しぶりだね。こんなところで会うとは、釣りかい?」


「こんにちは、レジナルドさん。お元気そうで」


「ああ、あれ。ここは、私が入った海岸じゃないね。間違えたかな」


「ここはプライベートビーチです」


「そうか。君は意外にお金持ちなんだね」


 そんなわけないでしょう。

 一介の補佐官にそんな収入ありません。

 後ろにいるリアとクラリーは、不思議そうに見ている。

 近衛隊は警戒態勢を解いていない。

 レジナルド准教授とエディスさんは気にしていない。


「さて、ちょっとここを借りるよ」


 私に言われても困りますけど。

 レジナルド准教授は、海中で捕まえたものを砂浜に置いた。

 魚の形に似ている。

 イルカとかかな。


「よし。さて、行ってくるか」


 なぜか、少し慌てた顔をしている。


「えっと、どこに?」


「ああ、これ、まだあるんだ」


 そう言うと、また頭にかぶり物をして、急いで海の中に戻っていった。


 エディスさんの方を見るが、もういない。

 私の前には、イルカ型の魔導機械が放置されたまま。


「ステラ、あれはもしかして」


「はい。レジナルド准教授です」


「仕事ですか?」


「はい。実験みたいです」


「そう。でも、海での実験なんて禁止されていなかったかしら」


 そうだった。

 いつものことで忘れていた。

 川や海での実験は、基本禁止なのだ。

 海に囲まれているこの国は、海上事故があるだけでも大変である。

 資源や商品の輸入、輸出は船で行う。

 そのため、海上や海岸の警備は穴がないようにしている。

 それは防衛にもつながる。

 だからこそ、魔法省や魔導学園も海での実験には手続きが厳しい。


 それをやっている。

 そういえば、リアを見た瞬間、レジナルド准教授は急いで海に戻った気がする。

 そして、エディスさんも消えた。

 それなら、この証拠品も一緒に持っていってほしい。

 そうしていると、クラリーが一度別荘に戻りましょうと提案してくれた。


 これ、どうしよう。


 放置するか。

 仕方がない。

 私はイルカ型魔導器具を両手に抱えた。


「ステラ、持っていくのですか?」


 リアが聞いてきた。


「はい。一応、放置もできないので」


「そうよね」


「危ないものではないみたいなので」


 本当はわからないけど。


 その日の夕食も素晴らしかった。

 昨日よりも上品な味と量だった。

 リアがいるせいかもしれない。

 しかし、これはこれでいい。

 食べたことがない味付けと見栄えである。


「おいしいですか?」


 リアはいつも、私が食べていると聞いてくる。

 私の答えはいつも一つだ。


「はい。美味しいです」


 最高です。

 美味しいものを食べている時が一番幸せだな。

 リアとクラリーは食欲がないのか、こちらを見てほほ笑んでいる。

 そして、自分の分を少し私にくれる。

 ありがたい。

 これは、私がモフモフにご飯をあげている時の気持ちに近いかもしれない。


 疲れた。


 いい疲れだ。

 さて、モフモフ、寝ようか。

 寝室に戻ると、ベッドに誰かいた。

 リアだった。


 そうか。

 今日はこちらをリアが使うのだな。

 そうだよね。

 一番大きいベッドだからね。


「ステラ、待って」


 私が出ようとすると、リアに呼び止められた。


「いいのですよ。こちらで」


「えっと、何がですか?」


「一緒に寝ましょう」


 リアの提案に、私は答える。


「お断りします」


 私は部屋を出て、扉を閉めた。

 別に一緒に寝るのはいいのだが、リアには一つ欠点がある。

 寝相が悪い。

 私に抱き着いてくる。

 かなりべったりと抱き着かれる。

 モフモフでも、そんなにくっつかない。

 それで、朝起きると少し体が疲れる。

 もしかして、寂しがりなのかもしれない。


 でも、今日は体を動かして疲れています。

 ゆっくり寝たい。


 お休みなさい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ