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王女殿下の補佐官は、ため息をつきたい。  作者: 桜の浜


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11/19

補佐官は、やっとため息をつける。

 久しぶりに家に帰れた。


 朝に、貴族塔のリアの部屋を出てきた。

 リアは、めちゃくちゃ寂しそうな顔をしていた。


「ステラの部屋は残しておきます。いつでも来てください」


 えっと、残さなくていいです。

 訪ねる用事はあるかもしれませんけど。


「だから、ステラの家にも私の部屋を作ってください」


 何を言っているのだろう。

 私の家は、この部屋よりも狭いですよ。

 場所などありません。

 相変わらず、王女様の言うことはよくわからない時がある。


 玄関の扉を開けた瞬間。

 モフモフが珍しく飛びついてきた。


 あったかい。

 落ち着く。


 昨日、エセリン監査官から連絡が来ていた。


 モフモフ、家で待ってるわよ、と。


 よし、今日からはずっと一緒だ。

 目に少しだけ嬉し涙が溜まった。


 窓を開けて、空気の入れ替えをする。

 洗濯も溜まっている。

 掃除もしなきゃ。


 気づくと寝ていました。


 ソファーで。

 モフモフも横で寝ていた。


 気持ちがいい。


 昼を過ぎていました。


 急いで、洗濯と掃除をする。

 部屋が片付くと、なぜか心が安らぐ気がする。


 モフモフも、なぜか私の後ろについてくる。

 掃除の邪魔だけど、心地がいい。


 やっとひと段落。


 よし、夜は美味しいものを食べよう。

 あとで買い物に行こう。

 モフモフ、行こうね。


 買い物をしていると、目の前から見たことのある美人さんが歩いてきた。


「あら、ステラ。買い物?」


「はい、ワトソンさん」


「大変だったわね」


「ええ。でも、まだ色々と残ってますけど」


「そうよね。これからの方が大変よね」


 まあ、それは後で考える。

 今日は仕事のことは考えない。


「あ、そうだ。これ食べて」


 そう言うと、ワトソンさんは持っていた紙袋から何かを取り出した。


「新しくできた屋台で売っていた、鶏肉の揚げ物なの。おいしいわよ。ついつい、いっぱい買っちゃって。お裾分けよ」


「ありがとうございます」


 私は、遠慮なくいただく。

 おいしそう。


「じゃあ、またね」


 そう言うと、ワトソンさんは来た道を戻って行った。


「わん」


 モフモフも、さよならを言う。


 もしかして、私の家にこれを持ってきてくれる途中だったのだろうか。


 ありがとうございます。

 美味しくいただきます。


 さあ、帰ろう。



 た、食べすぎた。

 お、お腹が苦しい。


 事件がひとまず片付いたから、ほっとしすぎた。


 く、苦しい。



 朝。

 今日は静かだ。


 ここ最近は、リアの声とおいしい香りで起こされていた。


 よし、起きよう。


 隣にいるモフモフを軽くなでる。


 久々の監視局。


 上司に報告が終わる。

 これから忙しくなりそうなことを言われた。


 私は席に戻る前に、周囲を探す。

 レストレード監査官はいない。

 エセリン監査官もいない。


 まあ、二人とも忙しいのだろう。


 周りの同僚に挨拶をして、自分の席に行く。


 私の机には、書類がないはず。


 そんなわけがなかった。


 いつもの倍。

 いや、それ以上ある。


 何で。

 私、しばらくいなかったよ。


「おはよう、ステラ。久しぶり」


「お、おはようございます。エドガー先輩」


 私は、隣にいるエドガー先輩に挨拶する。


「ああ、書類だろ。できるものは結構やっておいたけど、どうしてもレストレード監査官と学園関係は難しくてな」


「いえ、ありがとうございます」


 とても助かります。


 よし、頑張るか。


 気づくと、昼を過ぎていた。


 少し遅い昼を、カフェで食べる。


 久しぶりのカフェ。

 このコーヒーがおいしい。

 懐かしい味だ。


 新作の料理も色々あったけど。

 ここは、定番にいってしまう保守的な私。


「今日は遅いご飯ね」


 エセリン監査官だった。


「はい。モフモフを預かってもらって、ありがとうございます」


「いいのよ。私も楽しかったし、また一緒にいたいわ」


「はい」


 よかった。

 会えて、お礼が言えた。


「まさか、貴族の館事件がつながっていたとはね」


「はい。この件は、もっと深いです。私たちでどこまでできるか」


「そうよね。この前の四つの署名事件ですら、解決したとは言えないし」


 元東インド研究所の職員が起こした事件。

 多くの貴族が関わっていたようだが、証拠がないため公に捜査ができない。

 さらに、軍の関与もある。


 今のままでは、監視局は何もできない。

 被害を止めるだけで精いっぱいだ。


 そして、責任だけ取らされる。


 エセリン監査官も、この事件で悩まされていた。

 魔法省と軍と貴族の間で、話し合いがあったらしい。


 口外するなと。


 私のような下っ端ですら、腹が立っているのだ。

 きっと監査官たちは、もっとだろう。


「レストレードは何て言っているの?」


「はい」


 昨日の段階で、リアの警護と捜査は終了となった。

 ある程度、犯人の目星と目的がついたからだ。


 しかし、王族には手が出せない。

 ここが一番の問題だ。


 レストレード監査官とシャーロットさんが言うには、この事件を裏で糸を引いている者がいる。


 こんな都合の良い誤作動など起きない。

 起こしたい者が、あのタイミングで起こした。

 そうできる力と能力がある。


 そして、尻尾はつかめても、頭まではたどり着かない。

 何をしようとしているのかが、まだわからない。


「マリア」


「はい?」


「四つの署名の事件でも、彼女の名前が現れたのよ」


「あのベリルの王冠の事件の首謀者ですよね」


「ええ」


「彼女のやり方は、かき回すだけかき回して、そして解決させるの。被害もあまりないのよ。もっと被害を拡大させることができるはずなのに。嫌なやり方よね。まるで、我々の技量を測っているみたい」


 あなたたちは、きっとここまでなら調べられますよね。


 そう言われているようだ。


 そんなことはないと思う。

 私たち監査局だけでなく、様々な部署が捜査している。

 シャーロットさんも助けてくれていた。


「とりあえず、今度みんなでまた女子会しましょう。ステラがいないから、みんな我慢していたのよ」


 ありがたいです。

 楽しみができた。


 私は、報告書に負けない。


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