呪いの鎧獲得フラグ
領地に呼んだ刺客たちの所管如何によっては記憶を消すかと思っていたが、全員流石におかしいと思っており、俺が5股のモラルハザードだと勘違いしていなかったのがわかったのでやめた。
「昨日はすまんな。部下が張り切りすぎて暴走した」
「何、構わん。 私の方もお前に一声かけたいと思っていたことだ」
「ほう、それは何の用でしょうかな、殿下?」
ダリアーー姫騎士が辺境伯の俺に用か。
きな臭いな。
俺の記憶では皇国近辺には争いごとの種はもう残っていないはずだが。
「敬語はいい。貴君はもはや実質的に私以上の立場にいると言っても過言ではないからな」
「血が重んじられるこの国でそれは買い被りだな」
「血が重んじられるといえ、そんなものを度外視するような圧倒的な武力を貴君は持っている。今回のことも貴君の埒外の力からの期待ゆえだ」
ストーリーでは自分たちの血に驕り高ぶる皇族が多かっただけにちゃんと武力も尺度として見ている奴を見ると変に胡散臭く感じるな。
今まで見たこいつの人柄的にそういうわけではないのだろうが。
そういえば、前も武力を重んじる皇族がいたことを思い出した。
なんだかんだで色々と干渉してきたから、その影響で城内でも武力を無視できないものと捉え直しているのかもしれない。
皇族を脅かすものだと捉えているかは知らないが、熱を冷ますためにしばらくは大人しくしていた方がいいか。
「埒外の力か。また争いごとか?」
「いや、そうではない。皇国と神聖国との国境で鎧が発見された」
皇国と神聖国の国境の鎧ーー魔神器か。
ラスボスが騙し討ちをされ、国境に逃げ仰せた際に見つけるラスボス専用鎧だが、よくこんな秘境にあるものを見つけ出してくるものだ。
戦争で死ぬはずだった奴が死ななかったせいで、各領地で人材でも余らして未踏破領域の探索でも始めているのか何かか。
「それがどうしたんだ?」
「鎧から瘴気が漏れ出していてな。近くの木々や土壌を枯渇させていて、学者たちは皇都に向けて瘴気の汚染を広げるのではないかと危惧を募らせているのだが、誰もその鎧を動かせるものがおらず、その場から移動させることができない。近くの石碑には選ばれしものだけがこの鎧を動かせると記してあり、今現在はその選ばれしものを探している途上だ。選ばれしものという文言で安直だが埒外の力を持った英雄である貴君のことを私は想像した」
「俺にそいつが動かせるかどうか試せと言うことか」
よりにもよって嫌な頼みごとを持ってきたな。
魔神器はかつて人の世界で魔神が自分の体として動かしたと言われるもので、操縦するごとに操縦者の寿命を削っていく。
手持ちにあっても嬉しくない代物だし、決して自ら進んで乗りたいと思うようなものでもないが、王女を連れ出した上に頼まれごとを断るのもあじが悪い。
せめて現場で操縦しようとする素振りくらいは見せた方がいいだろう。
「わかった。その頼み、聞くことにしよう」




