新型量産鎧
「これが新型か」
スピアが若干肉厚になり,兵装が短槍から普通の槍に変わっている。
「はい。スピアは魔石による魔力の画一的な供給がなされないため,バランスを崩しやすく,操作性に難がありましたが,この新型ーースティンガーは魔核の改良により,全身に魔力を均一に送るアシストをするため,魔力供給によって生じる操作性の難を克服し,バランスを崩しにくいため重量のある武器を持つことも難なく行えます」
聞いた感じではスピアよりも操作性においてはまともなようだが,アシストが十全であることが前提なので,これがダメな場合は重い兵装のせいでさらにバランスの悪くなった劣化スピアになる。
「少し動かせてもらうぞ」
調子を確認するために,搭乗して手や足を動かしてみる。
言った通りでバランスを取ることに苦労することはないが,ギクシャクしている。
均一に力を込めているだけで,最適化はされていないのだろう。
「ど,どうでしょうか?」
「ゴミだ。バランスが取れているが,ギクシャクしすぎている。乱戦状態であれば5秒でスクラップだな。今回はこいつでも十分なのでこのまま出撃するが,現状維持では戦では使い物にならん。次の戦までに動きを最適化しておけ」
「は,はい!」
ーーー
作戦ポイントに辿り着き,岩石に紛れて寝息を立ってている黒岩の巨竜ーーサンイーターの姿を確認すると,皇家の紋章のついた鎧が近づいてきた。
『一番乗りとはさすがではないか,ヴィラン辺境伯! 数多の戦場で誉を刻む英雄であるだけはある! だが今回の作戦では極大魔法の使えるものーー皇族が誉を刻ませてもらう! 貴君はそこで羽を休めておれ!』
「そうなれば喜ばしいのですがね。骨はこちらで拾いましょう,閣下」
『ハハハ! 英雄となると冗談もパンチが効いておる!』
名乗らなかったため名前のわからないノンネームド皇族はそう言いながら去っていく。
冗談ではないのだが,実際に奴と戦って彼我の力の差がわかっていないのでしょうがないか。
サンイーターは設定上ラスボスがギリギリで倒せるほどで,全DLC中最強のボスとしてプレイヤーを奈落の底に突き落としてきた存在だが,実際にやってみない限りはわからないからな。




