偶然の出会い
宮殿は、大理石と金、そして囁き声で満ちた迷宮だった。
リアナは東棟の脇の廊下を歩いていた。アデルに頼まれてローラの部屋に届けるハーブティーのトレイを持っていた。
メイドの制服姿は、まだどこか場違いに感じていた。濃紺のドレスに真っ白なエプロン、銀のヘアピンで留めた髪。
エレノア夫人が何度も繰り返し言っていたように、一歩一歩優雅に歩こうと努めた。
今朝のレッスン(トレイを揺らさずに持つ方法、従順に見えないように視線を下げる方法)に気を取られていたリアナは、角を曲がる際に急にぶつかってしまった。
誰かに正面からぶつかった。
トレイがぐらついた。
カップが危なっかしくぶつかり合った。
熱いお茶が少し床にこぼれた。
リアナは恐怖に顔を上げた。
目の前には、金糸の刺繍が施されたシンプルながらも優雅な白いドレスを身にまとったローラ王女が立っていた。
黒髪が肩に柔らかな波を描き、大きな瞳には驚きの色が浮かんでいた。
王女の傍らには二人の侍女が立ち、リアナを非難するような目で見ていた。
「申し訳ございません、殿下!」リアナは慌てて深々と頭を下げ、お辞儀をした。
手に持ったお盆が震えていた。
「見えませんでした!私の不注意です!どうかお許しください…」
ローラ王女はまだ驚きながらも瞬きをしたが、やがて表情は温かく、心からの微笑みに変わった。
「リアナ…あなたなの?」
ローラ王女はリアナの顎を二本の指でそっと持ち上げ、顔を上げさせた。
「二人きりの時は、そんなに深くお辞儀をする必要はないわ。
それに、あなたのせいじゃない。
私もぼんやりしていたのよ。」
リアナはゆっくりと背筋を伸ばし、恥ずかしさで頬を赤らめた。
「でも…床にこぼしてしまって…危うくあなたに全部かけてしまうところでした…」ローラは大理石についた小さな茶染みに目をやり、軽やかで心地よい笑い声を漏らした。
「大丈夫よ。侍女たちが片付けてくれるわ。さあ、こちらへ。」
王女はさりげなくリアナの手からトレイを受け取り、侍女の一人に手渡した。
「私の部屋へ行かれるのですか?」ローラは廊下を歩きながら尋ねた。
「ええ…アデルが私の緊張をほぐすために特別なお茶を入れてくれたの。エレノア様とのレッスンの後には必要だと言っていたわ。」
ローラは意味ありげに微笑んだ。
「あの女はまるで化け物ね。私もちょっと怖いわ。」
リアナはローラの言葉に少し安心した。
「アレクシアは昨日、フォークを投げつけそうになったのよ。」ローラは心から笑った。「想像できるわ。
来てくれて嬉しい。
宮殿は広くて、でも本当に冷たいの。誰も話せる人がいないとね。」
二人は王女の部屋に到着した。
ローラはドアを開けてリアナを招き入れた。
「もう少しいて。
そんなに早く帰ってほしくないの。」
リアナは少し躊躇したが、部屋に入った。
ローラの部屋は美しかった。白い絹のカーテン、大きな四柱式ベッド、王家の庭園を見下ろすバルコニー、そして本や手紙が山積みになった机。
ローラはソファに腰を下ろし、隣の席を指さした。
「座って。
それで…どう感じているの?」
リアナは姿勢を気にしながら、ゆっくりと腰を下ろした。
「…以前とは違うわ。
エレノア様はとても要求が厳しいの。
時々、全部を覚えるのは無理だと思う。」
ローラは理解を示すようにリアナを見つめた。「私も若い頃はそう感じたわ。
でもあなたは強い。
あの盗賊たちに立ち向かう姿を見たわ。
思っているより早く慣れるわよ。」
ローラは少し間を置いて、優しい声で付け加えた。
「もしあなたが圧倒されそうになったら…私に相談して。
お姫様としてじゃなくて。
ただのローラとして。」
リアナは胸が温かくなるのを感じた。
「ありがとう…ローラ。」
お姫様は微笑んだ。
「ありがとう…私を助けてくれて。
そして、そばにいてくれて。」
リアナの心の中では、女神たちが静かに見守っていた。
(フレイヤ ― 母性的)
「この子は…優しい心を持っているわ。」
(ヘラ ― 冷徹)
「油断してはいけないわ。
お姫様だって危険な存在になり得るのよ。」
しかし、リアナは初めて、もしかしたら、自分の力とこの新しい人生とのバランスを見つけられるかもしれないと感じた。
ここまでリアナの物語を読んでくださり、ありがとうございました。
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