まずい状況
更新が遅れてしまいすみません。
明日からは通常通り毎日更新を目指して行きます。
「ぐっ……」
俺は風の咆哮で押し出され壁に体を強く打ち付けた後、うつ伏せに倒れた。
まずい……まずいまずい……!!
こんな傷は何とでもなるがこの戦いに2人を巻き込んでしまう上に、俺が力を隠していたことがバレてしまう……!!!
「土壁……!!」
俺は小さく唱え、廊下にいる2人の道を塞ぐように土の壁を隔てた。
「油断するなんて馬鹿ね……全く……手間取らせやがって……」
アーミラはそう言いながらコツコツと足音を鳴らし、こちらに向かって歩いてきた。
「私の魔術を食らって、もう動けないでしょ?」
そういうアーミラの顔は微かに微笑んでいた。
アーミラには2人の存在や土壁は気付かれていなさそうだ。良かった
「安心して。一瞬でトドメを刺してあげるから……」
アーミラがそう呟いて俺の首に向かって短剣を振りかざそうとした瞬間、俺はその手を掴み立ち上がった。
「……えっ?!」
「悪いけど、もう終わりにしようか」
俺のその声色と目付きで殺気を全身に感じ取ったアーミラは驚きながらも恐怖した。
このままじゃ本当に殺られる。そう思ったアーミラは俺の手を振りほどこうにも、全く動かなかった。
「風の咆哮」
俺が静かにそう唱えるとアーミラは風の魔力を前方に集中して放たれた風の咆哮をくらい、パリーンと大きな音を立てて窓を突き破り、遠くへと吹き飛ばされた。
「……ふう、これでいいか。」
割れた窓から吹く夜風が、破れたカーテンをゆらゆらと揺らす中……俺は自身に治癒魔術をかけていた。
「あばら数本もってかれたなあ……」
不意打ちも防げるようにならないとダメだな。これは……
治癒をし終えた俺は立ち上がった後、服に付いた汚れを払い落とした。
「……さてと、どうするか……」
そう呟いた瞬間、扉の外から大きな音がした。
……まさか2人は土壁を破壊しようとして――――いや、破壊しようとするのは当然だな。
壁が突然現れた。ということは、その先に何かがある。ということと同じだからな……
問題は、バレないようにするにはどうするか。だ。
「……土壁を解除した隙に隠密と脚力で移動して、2つ先の教室にでも逃げるか……」
土壁を解除すると、崩れる際に大きな音と土埃が起こるから、スッと行けばバレずに移動出来るはずだ。
俺は大きく息を吐いて「解除」と呟いた後教室を飛び出し、2つ先の教室に飛び込んだ。
予想通り、大きな音と大量の土埃のおかげで俺が移動したことは気付かれていなさそうだ。
後は、隙を見計らって2人の前に何も知らない風を装って出ていけば完璧だな。
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「……なあ……土の壁が突然現れたけど、どうする? これ」
ハルは当然目の前に現れた土の壁を指さして、シルに尋ねた。
「う〜ん……敵の罠かもしれないけど、来る時一本道だったよね〜? 」
「ああ……というか、絶対この先に何かあるだろ……壁が道を塞ぐように現れたってことはそういう事だよな?」
「うん。僕もそう思う〜……他に道はないし、やる〜?」
2人は目を合わせた後頷いて、息を深く吐いた。
そして2人は土の壁から少し離れてから詠唱を始め、全力の魔術をぶつけた。
だが、土の壁は壊れるどころかビクともしなかった……それよりも――
「……この校舎が先に壊れそうだな……」
ハルは冷や汗を流しながら辺りを見渡し、呟いた。
2人が魔術を放った瞬間、魔術と壁がぶつかりあった衝撃で強烈な暴風が吹いた。
ボロボロの校舎にもダメージが行き、パラパラとコンクリートが落ちてきたのだ。
「……ん〜別の属性の魔術を当ててもう一回だけ試してみよう〜! 多分、この校舎ももう1発ぐらいは耐えられると思うよ〜」
「そうだな! ダメだったら、いっそ校舎ぶっ壊すか? ……なんて――」
「あり〜!!!!」
「ありなのか?!」
ハルが冗談交じりに言った言葉を、シルは笑顔で賛成した。
シルも冗談で言ったんだろうな。と思って笑ったハルだった。
すると突然、窓が割れる音が聞こえた。
「……っ?! 今のは、ガラスが割れる音?!」
ハルは動揺を隠せなかった。
もし、この土の壁の向こうにユウが居て、何かに巻き込まれたのだとしたら……と、最悪の事態を考えていた。
「焦ったらダメだよ〜 早く壁を壊そう〜」
シルはハルの肩を叩き、優しく微笑んだ。
「ああ!」
ハルは気を取り直した後一度深く息を吐き、シルと一緒に別の属性の魔術の全力を土の壁にぶつけた。
すると、土の壁は大きな音と共に崩れた。
「……! よかった! 壁を壊せたぞ……!!」
「……まさか、本当に壊れるなんて〜……校舎破壊することばかり考えてたよ〜」
「……えっ……あれ、マジだったのか……」
ハルの言葉に、当然でしょ?と言わんばかりに首を傾げた。
「ま、まあ取り敢えず……先に進もう。」
ハルは前を向き、シルよりも先に進んだ。
シルはハルの後を追おうと思い駆け出すが、土の壁の瓦礫を見てすぐに足を止めた。
……あんなに硬くてビクともしなかった土の壁が属性を変えただけで、容易く破壊出来るのだろうか〜?
これは、多分中級魔術の土壁。使用者の魔力量に応じて強度が変わり、使用者の実力が出やすい魔術だな〜
土壁の、弱点属性は風……でも、最初に使った時は壊れなかったよね〜……
もしかしてこれは、使用者本人が解除して――
「――シル〜! 何やってるんだ〜? 早く行くぞー!」
「あ〜ごめん〜! 今行く〜」
ハルに急かされたシルは、ハッとしてすぐにハルの元へと走って行った。
教室の扉を開けると、冷たい夜風が割れた窓から破れたカーテンを揺らすように吹いていた。
「……ここがさっきの窓の割れた音がした場所か……」
ハルは周りを警戒した後窓の方へと近寄り、下を覗いた。
下には人の姿が無く、落ちてはいない。と思ったハルは一瞬安堵したが、すぐに窓のレールに違和感を覚えた。
「……なあ。シル……なんかレールが何かが通ったように擦れて壊れてないか?」
シルはハルに呼ばれ、レールの様子を見ると確かに何かが……魔術が通ったように擦れて壊れていた。
「……まさか……」
シルは顔を青ざめさせながら呟いた。
ハルも同じことを考えていたのだろう。ユウが魔術で押し出され窓を突き破り、外に投げ出されたのではないか……と。
すると、不意に後ろの扉が開く音がした。
2人は血相を変えながら振り返ると、そこにはユウの姿があった。
「ど、どうしたの? 二人とも……」
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「大きな音がしたから来てみたんだけど……何があっ――」
「 「ユウ!!!!」」
2人は声を揃え、血相を変えながら俺の元へ駆け寄ってきてベタベタと触った。
……あの割れた窓を見ていた上に、この血相の変わりよう……俺が窓から投げ出されたと思ったのだろうか……?
「2人とも大丈夫……?」
俺が心配そうに声をかけると、2人は頷いた。
「俺達も大きな音がしたから様子を見に来たんだ。ユウ、どこに行ってたんだ……?」
「僕が起きた時、2人はまだ起きてなかったから出口を探そうと思って散策してたんだ。」
「なるほどな。無事でよかった……」
ハルは安堵した様子で俺を見ていた。
2人にも何かあった訳じゃ無さそうで何よりだ。
「じゃあ〜3人揃ったことだし、出口を探そか〜!」
「うん! そうだね!」
俺はそう言って後ろに振り返ると、遠くの方から何者かがこちらへ向かってくるように足音が聞こえた。




