結局いつもと変らない
木刀の重さを 30kg→10kgに変えました。
流石に30kgの木刀を振り回してたらマッチョになってしまうので……ユウはマッチョではないですし、なる予定もないです。
外に出ても、まだ日は登っておらず街灯が灯っているが少々暗い。
「それで、話ってなんだ?」
足を止め俺が聞くとノアは振り返り笑顔になった。
「君は、力を隠さず練習を出来る場所を探している。そうだろう?」
いつ聞いた?それとも予測か……
俺はノアの言葉を聞きそう思い悩んだが、頷いた。
「僕が君の練習出来るところを提供しようじゃないか。絶対にバレない秘密の場所が外にあるんだ」
「……学園生は許可なく王都の外に出ることは出来ないぞ」
ノアは首を振ったあと地面をさした。
俺はノアの意図がわからず首を傾げ地面を見た後、目を見開いた。
「……まさか……地下?」
俺が聞くとノアは頷いた。
地下を通って外に出る……って事か?
「そうとも。僕の家にその地下道を作ったんだ!君と森で待ち合わせする時は毎回そこを通っていたんだよ」
「なるほどな……」
ノアは割と簡単に言っているが、地面を掘って地下道を作るなんて正直そんな簡単に出来ることじゃないぞ……
「いや〜照れるなあ〜」
ノアは照れながら頭をかいた。
いや、褒めてない。
ノアはしゅん。とした後「…時間が無いし行こっか!こっちだよ!」と言い、走っていったので俺は追いかけた。
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「ここが僕の家だよ〜!」
嬉しそうにノアが指をさした先を見るとそこには、何処にでもありそうな青系統の煉瓦の家があった。
「こっちこっち!」
俺はノアに連れられ家の庭へ行った。
心なしかノアが弾みながら歩いているように感じる。何かいい事でもあったのだろうか……
「隠密解除」
ノアが地面に向かってそう唱えると、穴扉が現れた。
隠密とは補助魔術の一種で、姿を消すことが出来る。俺が森に行くために街を抜け出す時もこの隠密を使っていた。
まさか、物体にも隠密をかけることが出来るとは思わなかったな。
扉を開けると梯子が付いていた。
「この梯子を降りると地下道だよ。朝食まで多少時間があるし森に行ってみない?」
「……そうだな。気になるし行ってみようかな。」
そう答えるとノアは笑顔になった。
「じゃあ、僕についてきてね!」
ノアが梯子を降り始めたので、俺はそれについて行った。
地下道は案外広く、石で一部補強されていた。それに加え、転ばないようにするためか床一面石で作られていた。
長い地下道を脚力を使い、速く抜けた後梯子を登ると小屋の中に出た。
「あれ……?」
ここって……俺が三年前くらいに来たとこじゃないか…?
「ここは僕の仮住居だよ!……そういえば、三年前扉が大破してたんだけど…君のせいかい…?」
「いや、前な……」
俺は三年前起こったことをノアに隠さず話した。
「――盗賊が……人が魔人化?!」
「ああ。やっぱりおかしいよな?」
ノアは信じられないと言った表情だった。
「僕が生きてきた中でそんな話聞いたこともないよ……その時に持ち出した瓶ってまだあるかい?」
「ああ。寮で厳重に保管してあるが…」
「今度持ってきてくれないか?」
「分かった。」
ノアの表情が今までにないほどかたかった。
やはり、大変なことだったんだな……あの時はあまり深く考えてはいなかったが……
「大変なことさ。魔人は人間とは違うからね。その粉のせいで人間が魔人になれる。って、魔人が知ったら粉を量産させてこの世界の全ての人間を魔人化させて人間を滅ぼす可能性だって有り得るさ」
流石にそんなことをされたらヤバいな……
「ああ。君が粉を少しでも回収しててくれてよかったよ。そのおかげで、粉がどういうものかも分かるし、魔人の手に渡らなくなりそうだしね」
ノアは安堵した様子で笑っていた。
「……取り敢えず粉の話は次回にして、少しトレーニングでもしようか!」
俺は頷き、2時間ほどノアと一緒にトレーニングをした。
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「ふう……!おつかれさま!もうだいぶ日が出てきた頃だしそろそろ戻ろうか!」
俺は手に持っていた剣をノアに返した。
「……そう だな」
呼吸を整えながら答えた。正直言うとめちゃくちゃ疲れた。
魔力を魔石に少しずつ込めながら、10kgの木刀をいつものように素振りをし、膝を曲げたり伸ばしたりしていたからだ。
これを100回。休憩を挟みながらだが、計10セット行った。
木刀は真っ直ぐ振らなければならないし、魔力を込める量は一定でなければならない。
その後はノアと模擬戦を行った。
ノアは防御がめちゃくちゃ硬いが、攻撃の隙が多いので負けることは無いが勝つことも出来ない。
まあ、長期戦だ。
防御が硬く攻撃が浅い相手でも、隙を見せればすぐやられてしまうため気が抜けない。
だから、凄く疲れた。風呂に入りたい。
「そうだね!まだ時間もあるし、戻ったらお風呂に浸かるといいよ」
「ああ。じゃあ俺は帰る」
「うん!また後でね〜!僕は片付けてから戻るよ〜!」
ノアに手を振り返した後、俺は寮まで戻り風呂に浸かった後制服に着替えた。
「……風呂に入ってだいぶ疲れは取れたな」
やはり風呂は大事だ。長く入ると話は別だが、凄く疲れがとれる。
そう考えていると、チャイムが鳴った。
「朝食の時間だな」
俺は鞄に荷物を詰め、扉の外に出るともう何人か食堂に向かっていた。
「はよ!ユウ!」
俺も食堂に向かおうと歩いていると後ろから声をかけられた。
振り返るとそこにはハルがいた。
「ハル!おはよう!今日から授業だね……!昨日は良く眠れた?」
「ああ!割とちゃんと眠れたよ。お前の方はどうなんだ?」
「うーん……緊張してあんまり眠れなかったよ」
「そうかそうか!初日から授業中に寝ちまわないよう気をつけないとな!」
ハルに肩をポンと叩かれ、俺は頷いた。
「そうだね……気をつけるよ!」
初日から寝てしまえば目立つからな……流石に居眠りで目立ちたくはない。
俺はハルと一緒に食堂で朝食を摂った後教室に向かった。
教室に着くと、何人かの生徒が既に教室の中にいて雑談をしていた。その中には、シルの姿もあった。
俺がシルの存在に気付くと向こうも気付いたようで、こちらに向かってきた。
「おはよう〜!ユウくん〜」
「シル!おはよう〜!」
「お!ユウ、お前の友達か?」
ハルは不思議そうにこちらを見ていた。
そう言えばまだ、ハルには紹介していなかったな。
「うん!昨日友達になったんだ!」
俺が笑顔でハルにそう言うとシルはハルの近くに行った。
「シル・アウジストだよ〜!よろしくね〜!ハル・ターナスくん!」
「お、おう!よく俺の名前分かったな!」
ハルは少し動揺していた。当然だな…俺も、自分が名前言う前に言われた時はめちゃくちゃ動揺した……。
「覚えるのが得意なんだ〜!それに君の魔術は特に印象に残ったよ〜!凄いね〜あの威力と速度!」
「そうか?ありがとな!」
ハルは嬉しそうに照れていた。
俺は2人と雑談をしながら朝のHRを迎えることになった。
「昨日は紹介できなかったが、このクラスだけ副担任がいるぞ!」
ジーン先生は教団の上でそう言っていた。
副担任……?
「――まさか……」
みんなが扉に注目していると扉が開いた。俺も扉に注目していたら予想していた通り、見覚えのある顔がそこにはあった。
「えーっ!イケメンじゃない?!」
「ほんとー!かっこいー!」
女子が小声で口々に話していた。
「副担任のノア・D・アグリです!皆さんよろしく!」
ノアがそう言って笑うと女子が黄色い歓声を上げていた。
そうだ。こいつイケメンだったんだ。
「ちぇっ……男かよ〜」
「いや……でも顔は割と可愛くね?俺いけるわ。」
おい、ちょっとまてそこの男子。小声とは言えその発言はヤバいぞ。
目が合うと、ノアは俺に向かって手を振った。
「えっ?!今私に向かって手を振ったんじゃない?!」
「そんなわけないでしょー!」
女子が顔を赤らめながら騒いでいた。
「……今お前に向かって手を振ってなかったか?」
ハルは振り返り俺にそう聞いたが俺はすっとぼけた。
巻き込まれて目立ちたくない。
「はいはい静かにー!」
ジーン先生は生徒達を静かにさせた後続けた。
「1年間副担任になるそうだ。みんな。仲良くしてやってくれ」
ノアはそれに合わせてお辞儀をすると、生徒達から拍手が上がった。
こうして黄色い歓声に包まれたノアの紹介は終わった。
HRが終わり、俺はトイレに向かうために教室を抜けるとノアが追いかけてきた。
「……ノア。お前仕組んだだろ」
「えっ……えっ?な、なんのことかなぁ?」
ノアは口笛を拭きながら右上を見てすっとぼけた。
分かりやすすぎる。
「だ、だって君が驚く顔を見れると思ったから頑張れたんだよ」
……なんだその嬉しくない頑張りは。
まあ、もういいや。なんかもう、ノアはこういうやつなんだと区切りをつけよう……
「じゃあね。」
俺はノアを置いて、トイレへと向かった。
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教室に戻り、ハル達と雑談を楽しんでいたらチャイムが鳴ったため席に戻ると扉からノアが出てきた。
……早速か。
確か今は魔術の基本授業の時間で2時間あったよな……。
「じゃあ、早速授業を始めます!みんな。よろしくね!」
ノアはめちゃくちゃ笑顔だった。
あの時、森でノアに別れを告げた意味が無くなるくらいいつもと変わらない日々が続くのだった……。
腹黒ノアめ……
俺がそう思ったのが聞こえたのか授業中直ぐに俺を当ててきた。しかも、めちゃくちゃ難しい問題を……
当然俺はわからない風に装っておいた。
難しい問題も答えられるやつっていう風に目立ちたくはないしな。1回ぐらいは大丈夫なんだろうけど、極力答えたくはない。
そういえば、三年前…俺は複数ある内のたった1つの割れていない瓶を1つ拝借しただけだったが残りの割れた瓶はどうなったのか。
俺はその時、呑気だった。
そんな簡単なことにも気付かなかったのだから。




