爆発の正体…
「あーあ。またやってるよ」
俺が爆発した所へ向かっていると、上級生達が口々に話していた。
また…?
なんの事だろう?と思いながらも、俺は別室棟の扉の前に着いた。
扉を開けた途端視界が煙で溢れかえって咳き込んでしまった。
ハンカチを口に押し当て中に入ると、白衣を着た男が倒れていた。
「だ……大丈夫っ?!」
俺はすぐさま室内の窓を全開にし男の元へ駆け寄った。
脈は……あるようだ。
「今すぐ医務室へ!」
「……あ〜、大丈夫大丈夫〜」
俺が男を抱えようとすると、男は目を閉じたまま俺を止めた。
俺は男から手を離した後、少し離れた。
すると、男は瞼を開けた。翠色の瞳が凄く印象的だった。
男は水色の髪に付いた汚れを払った後俺の方を向いてニッコリと笑った。
「心配してくれて有難う〜。僕は全然大丈夫だよ〜。いつもの事だしねぇ〜」
男は大きめの白衣の袖をブラブラとしながらゆったりと喋っていた。
「そ、そうなんだね!良かった……」
倒れてるのに大丈夫なわけないと思うけどな。本人は本当に大丈夫そうだし気にしなくていいか……
よく見ると白衣の下に制服を着ていた。
同い年だったのか。失礼かもしれないが、実年齢より幼く見えるな……
「僕はシル・アウジストって言うんだ〜!同い年だよねぇ?よろしく〜。シルでいいよぉ〜!」
「えっと僕は――」
「あっ!ちょっと待って〜当てるから〜!」
俺も自己紹介をしようと口を開いたらシルに止められた。
……当てる?俺の名前を?
「――あっ!思い出した〜!君、ユウ・アルティス君でしょ〜!試験の時火属性の中級魔術を使ってた〜!」
シルは分かったのが嬉しいのかとてもニコニコしていた。
「……うん!そうだよ!よく知ってるね!」
俺は少し驚いた。実技試験の時、シルが居ただろうか…?
思い出せない……実技試験を一緒に受けた奴の顔と名前とその時やったことを覚えているなんて大した記憶力だな……
「僕はね〜覚えるのが得意なんだ〜!」
シルの周りに花でも咲いているような柔らかい笑顔だった。
「あと〜、昨日居なかったけど僕達同じクラスなんだよ〜!」
「ああ!そうだね!」
実技試験を見てたってことは受験番号が近いからクラス一緒ってことだもんな。
「そういえば、シルはここで何してたの?」
俺が聞くと、シルは真面目な表情になった。
……あれ?聞いちゃいけなかったか…?
「んー……薬の研究?って言うのかなぁ〜まあ〜趣味で薬作ってるんだよ〜!昨日もここに居たんだ〜!」
「薬を作る?」
薬剤師みたいなものか……?
シルは頷いた後、ポケットの中から錠剤のようなものを取り出した。
「例えば〜これを飲めば傷の治りが速くなるし〜これを飲むと眠くなったりするんだ〜!」
俺はシルから渡された錠剤を手に取って、見た。
……なるほどな。
前世でも売られていた睡眠薬みたいなものと同じ類のやつか。
「僕の作ってる薬はね〜まだ、一部の人たちにしか売られていないんだぁ…いつか大勢の人の手に渡る薬を開発することが僕の夢なんだ〜!」
「凄い良い夢だね!……って、えっ!寧ろ君の薬は商品になっているの?!」
俺が驚いて聞くとシルは頷いた。
「凄い……僕と同い年なのに、世に出せるような薬を作れるなんて……」
「そうかなぁ〜?有難う〜」
シルは少し悲しそうに笑っていた。
「でも〜時々失敗して爆発しちゃうんだよねぇ〜」
頬を恥ずかしそうにぽりぽりとかいていた。
「まあ【失敗は成功のもと】って言うしね」
「え〜?何それ?」
シルは不思議そうに首を傾げた。
あれ……この世界ではあまりこういうのは使われていないのか…?
「えっと……失敗を繰り返せば繰り返すほど成功に繋がる。って事だよ!」
「なるほど〜!覚えておくね〜!」
シルがそう言った後、急に外からチャイムが聞こえてきた。
「……?今のチャイムは何なんだろう?」
俺が首を傾げていると、シルは振り返って時計を見た。
「あ〜!お昼の時間だからだよ〜!この学園はね〜朝と昼と夜の食事の時間にもチャイムが鳴って、食堂でご飯が食べられるんだ〜!」
シルは嬉しそうに手を合わせていた。
なるほど。この学園には食堂まであるのか……
「お昼まだだったら一緒に食べに行かない〜?」
俺はシルからの誘いに快く受け入れた。
持っていた錠剤をシルに返すと、シルはポケットにその錠剤をしまい、立ち上がった。
「そういえば、この部屋……こんなに煙や煤だらけにしちゃって大丈夫なの?」
俺が聞くと、シルは少し考える素振りを見せながら答えた。
「ん〜まあ〜3年前から使ってるし多少は大丈夫だと思う〜」
ああ………だから上級生達の「またか」なのか。3年前から爆発が起こっていたんだな。
「取り敢えず行こっか〜!食堂はこっちだよ〜」
俺が考えている間に別室棟の外に出ていたシルは笑顔で向こうを指さしていたので俺はシルの後ろをついて行った。
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食堂には様々なメニューがあって、どれもとても美味しそうだった。
俺とシルは談笑しながら食事を摂った後それぞれ別れた。
「じゃあユウくん〜!また明日ね〜」
「うん!またね!シル!」
俺はシルに手を振り返した。
手を振りあって「またね」って言うのは何年ぶりだろうか…。
俺は自分の手を見つめていた。
俺は学園内を大体見回った後、自室で剣術と魔術の簡単な練習をした。
今度、出来ることなら思いっきり練習したいな……
何処かで出来ないだろうか?
俺はベッドの上でそう考えながら眠りについた。
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翌朝、早くに目が覚めた俺はランニングをしようと学園の外に出るために静かに学園内の下駄箱へ向かっていた。
歩いていると、突然肩に手を置かれ振り返るとそこには笑顔の奴がいた
「四、五日ぶりだね!ユウ!」
そう。奴だ。
そこに居たのはノアだ。
「……なっ?!!?」
俺は驚いて言葉を失っているとノアが口に手を添えてクスクスと笑っていた。
「いや〜!君が驚く顔を見たくて今日まで耐えたんだよねぇ〜」
「……なん……おま……ここの学園の教師だったのか……」
ノアは笑顔で頷いていた。
凄く満足気な笑顔だった。
まるで、俺にしてやった。というような…。
「……後で立たなくなるまでしばいてやろうか?」
「ひぇ……っ……ま、待ってくれ。君にとって得のすることを今から教えるし提供するよ。だから勘弁してくれないか……?」
「……分かった」
俺がそう返すとノアはほっとしたように胸をなでおろした。
……またやられたらしばくか。
俺が心の中でそう考えると、ノアはまた「ひぇっ……」と呟いていた。
「え、えっとだね。まず、外に出ようか。ここでする話じゃないし静かにしないといけないだろう?」
ノアにそう促され、俺達は外に出た。
これであまり俺にとって利がない話だったら本当にしばく……。




