1-2.最弱ステータス判明!
ぼくらは家族全員で神殿の前に来ていた。
「ねぇパパ!わたし火魔法の適性が50もあったの!!」
「そうか、パーネはきっと将来魔法使いさんだな!」
「お母様、ぼくは水魔法適性が100に、体術適性も4つもありました。」
「そう、良かったわ。神様に感謝しないとね。」
周りからはそんな嬉々とした会話が漏れ聞こえてくる。
きっとみんないいギフトがあったのだろう。
「ナツ…きっとあなたなら大丈夫。神様もあなたのことが大好きなはずよ。」
「あぁ、おれもルミエルも、お前のことが大好きだぞ。おれたちと神様が付いてるんだ、気負わず行ってこい!」
父と母の温かい言葉に送られて、ぼくは神殿へ続く階段を昇った。
緊張していないと言ったら嘘になる。不安に思っていないと言っても嘘になる。当然だ。ぼくという人間の価値が数字になって現れるのだ。しかし同時にワクワクもしている。偉大な冒険者である父と、彼をも尻に敷く母の子だ。きっと大丈夫。
そんなことを考えていると、階段は終わり、神殿の入り口までたどり着いた。
神殿に足を踏み入れると空気が少し冷たく感じる。ステンドグラスから差し込む日が青や黄色など様々な色に変わっていてなんとも幻想的だ。赤いカーペットの道を奥に進んでいくと、大きな祭壇が現れた。ここにぼくの出生届を置くと、そこにパラメータが印字されるらしい。父と母が今まで大切に保管していた出生届。ぼくの証し。不安と期待が半分ずつ、ぼくは祭壇に紙を置いた。
その途端、祭壇の両脇のトーチに火が灯り、祭壇には透き通った水がサァッと溢れてきた。と思ったらスッと火が消え、水も引いてしまった。何だったのだろう、今のは。
ぼくは祭壇から紙を持ち上げ、印字されたパラメータを恐る恐る見た。
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名前 ナツ
年齢 10歳と0日
体力 16
体術適性 無
魔法適性 無
魔力量 0/0
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それはあまりに残酷であった。
体力は成長期である以上、これから伸びていくだろう。だからさほど問題は無い。
しかしながら、体術適性と魔法適性だ。
無。
まるでぼく自身の存在価値が無いと言われているような感覚だ。
適性が無いということは、今後伸びることもない。
1から10にはなり得ても、0から1にはなり得ないのだ。
適性とは、そういうものである。
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ぼくは神殿を出て、待っている両親の元へ歩いた。
両親は笑顔で迎えてくれる。
「父さん、母さん、ごめん。
ぼくは何も持ってなかった。」
言葉を零すと、涙がジンワリと滲んでくる。
情けなくて情けなくて、ただただ彼らに申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「いい?
ギフトはあくまでギフトなの。神様から貰うものなのよ。ナツには今まで自分で積み上げてきたものがあるはず。パラメータに現れないものもあるでしょう。それがあなたの宝なの。だから、気にし過ぎることは無いわ。」
「あぁ」
父と母はずっと笑顔だ。きっとぼくには期待していただろうに。
「さ、帰るか!今日はナツの誕生日祝いでケーキ作ってあるぞ!」
「ちょっと!あなたが作ったの?!買っといてって言ったのに!」
「いいだろいいだろ、会心の出来なんだよ!」
そしてぼくたち3人は手を繋いで家路に着いたのだった。




