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人の王、魔の王  作者: 金色の沼
1.はじめての【魔物創造】
4/17

1-3.オリジナルギフト

ーーーーーーーーーー


「おい、神様」

「ぬぉお!なんじゃ!驚いたのぉ!!」


紙に書かれたパラメータを見た瞬間、ぼくは神様を呼んだ。

「お前さん、急に話しかけるのは辞めてくれ。10年間一度も音沙汰が無かったというのに。」

「そりゃあ、なるべく神様の力を借りずに生きようと決めていたからね。でも今回は別だ。

なんですかこの最低値のステータスは。」

「ふむ、それは仕方なかったのじゃ。

転生するとき、わしからお前さんにオリジナルギフトを授けたじゃろ?

その力があまりに大きかったので、どうしても肉体的なステータスは最低値になってしまったのじゃ。何事もゲームバランスは大切じゃからな。」


神様は笑いながらゲームバランスなどとのたまった。まったく、殴れるものなら殴ってるぞ。


「分かりました、無理矢理にでも納得はしてみます。では、その特別なオリジナルギフトとはどんな力なのですか?」

「聞きたいか?聞きたいのか?お前さん、聞きた」

「早よ言え」

「ぬぅ、もう少し勿体ぶらせてくれても良かろうに。まぁ良い、では教えよう、お前さんの持つオリジナルギフトを…」


「それはーー【魔物創造】。」


「【魔物創造】…?」

「そうじゃ。それがお前さんの持つオリジナルギフトの名。」


【魔物創造】…

ぼくは人間だ。

それなのに、ギフトに魔物という言葉が入っている…。


「ふぉっふぉっふぉ、どうじゃ、驚いたか?あまりの驚きに開いた口もふさ」

「おい、神様」

「お前さん!神の言葉を遮るでない!」

「ぼくは人間です。魔物じゃない。」

「そうじゃ、だからこそ、“特別”なのじゃ。」

「特別…」

「まぁ焦るでない。オリジナルギフト【魔物創造】の説明はしっかりじっくりしてやるからの。」


そう言って、神様はオリジナルギフト【魔物創造】が何たるかを語り始めた。


【魔物創造】。

それは、そのギフトを持つ人間が、新たに魔物を創造することができるというもの。

魔物は、その人間の生命力(体力)を糧に創造され、その後は自ら魔素を取り込むことで自立した生命体として存在し続ける。魔素は人間や魔物の魔力が留まってできた結晶で、村の近くでも時々見ることが出来た。

また、魔物はギフト持ちの人間のイメージを具現化したものとして創造され、その存在に際限はない。しかしながら、生まれた魔物に対するギフト持ちの持つ権限はほとんど無いため、魔物によっては、というか全ての魔物は、そのギフト持ちの“力”によって制御しなければならない。つまり、生み出した魔物は勝手に従属出来る訳ではなく、生み出した魔物はただただ魔物でしかないのだ。


言葉も倫理観も持たない魔物を、どうすれば従わせることができるんだ…。


「ま、一度そのギフトを使ってみるのもありじゃろ。きっとお前さんの持つ考えも、少しは変わるじゃろうし。」

「使ってみるったって、どうやって使えばいいんですか」

「魔素が多いところで「【魔物創造】」と唱えてみよ。さすれば、お前さんは新たな出会いに恵まれるであろー…あろー…ぁろーー…」


神様はセルフエコーを効かせながらぼくの意識外へと消えていった。


この【魔物創造】というギフトについて、ぼくは両親に伝えるべきなのだろうか…。

幸い、オリジナルギフトはパラメータとして表示されない。が故に、隠すことは簡単でも、説明して明かすことはとても難しいのだ。


いや、明かすことは簡単か。

魔物を創造し、それを見せれば良いのだ。

あまりに単純明快であった。


そうしてぼくは悲しげな顔を作り、神殿を出て父と母の元へ向かったのだった。


ーーーーーーーーーー


その日の夜は、とても不思議な誕生会だった。

あまりに低い、低すぎるステータスだった息子を慰めようとする父と母。

オリジナルギフトの存在を知りつつ、悲しげな顔を作っているぼく。

明らかに雰囲気だけ空回りしているケーキや豪勢な料理。


きっと母が今日という日を楽しみに、手間暇かけて作ってくれたのであろう。

母、ごめん。


「…ナツ、美味しい?」

「…うん、美味しいよ、母さん。ありがとう…」

「そう…良かったわ…」


度々沈黙が訪れる。

気まずい、とても気まずい…。


そんな中、父が真剣な面持ちで口を開いた。


「ナツ。

おれはお前に、冒険者になってほしいと思っていた。おれは剣を振るうことしか出来なくて、それでも努力して自分の才能の限界まで伸ばしてきたつもりだ。辛いことも沢山あったが、それでも剣の道を進み続けたからこそ、こうして母さんと出会えて、お前とも出会うことが出来たんだ。」

「うん…」


「だから、自然とお前にも冒険者になってほしいという願いを押し付けてしまっていたのかもしれない。すまないな。」

「そんなことない!実際、ぼくも冒険者になりたかったんだ。だから父さんに剣の稽古を頼んでいたし、母さんの言いつけを無視してまで強くなろうとしたんだ。」


「そうか…。

だが、神殿で受けた神様の宣託は絶対だ。お前はこと戦闘において力を持っていない。いや、これから持つことも無い。無力なんだ。才能が無いということは、つまり、そういうことなんだ。」

「あなた!」


「いや、あえて言わなきゃならないことなんだ!これはナツ、お前のために言ってる。言わなきゃきっと無理にでも冒険者になろうとするだろう。それは絶対に止めなければならない。おれはお前に、死んでほしくないんだ。これもまた親のエゴかもしれない。押し付けかもしれない。だが…頼む、お前はこの村で大人しく暮らすべきなんだ。」

「…母さんもそう思うわ。ナツには普通に生きてほしい。」


ガタッ


「ナツ!!」


気付いたらぼくは、外套を手に取り、家の外へ駆け出していた。


「少し言い過ぎたかしら…」

「いや、あいつのためだ…」


そんな会話をうっすら聞きながら、ぼくは裏手の森へと駆けたのであった。

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