貰った種は摩訶不思議
他の葉からも次第に水滴が生まれ土に落ちていく。
ポタ…………ポタ………
ポタ……ポタ…
その水滴は落ちる速度をあげて。
「摩訶不思議?この木なんの木気になる木?…なんて言っている場合じゃなかった…本…本」
作業室から植物入門の本を持ってきて該当しそうな項目を探すも見当たらず、再び作業室に戻り探すとようやく希少類を取り扱った項目から探し出すことができた。
「なになに…『ウーターリーツは太古の昔からそこにある大きな木でその根は地下奥底から水を吸い上げ葉から水滴をこぼし枝から地上に伸びた根のような触手から地上に降り注ぐといわれている。ウーターリーツがあれば砂漠の地でも一帯をオアシスに変えてしまうといわれている。その水は無色透明でどんものをも美味に変えるといわれている。ウーターリーツは単体で生息しておりどのように増えていくのかなどは不明』…え?私種植えちゃったけど?…この本だいぶ古そうだし、新事実が発見されているかも知れないから深く考えるのやめよう」
再び外に出るとウモがもう庭の右側の1/3を食べ終えていた。
「なんという食欲だ…さすが大食漢」
あっけにとられ足を踏み出すとムチャっと音がして足をとられ体制を崩す。驚いて足元を見ると泥濘ができており、ウーターリーツを中心に水たまりができていた。ウーターリーツは40cmまで成長しており枝からは一本触手が伸びていた。
「わーーーーーこれじゃあ家が沈没するーーーー」
家に入る前に靴を脱ぎ、階段下の物置からスコップをとりだす。再び靴をはき、足元に気をつけながらウーターリーツのそばまで寄り、触手の近くに穴を掘る。水を含み掘りやすくなっているが土が重い。掛け声を出しながら掘り進めるも特に根に当たることなく三日月型に1Mほど掘れた。暖炉用の木を底と手前側が崩壊しない様敷き詰める。
「このままだとあふれちゃうから…」
やや小山になっている土地を生かし20㎝程の大きさの水路を引き最後に三日月の水溜めとつなげる。洋服や靴をあまり汚さない様気をつけながら行うも葉から落ちてくる水で濡れてしまっていた。もうすっかり日も傾き明の体温を奪っていく。
「寒い」
干しておいた洋服を一式とり家に入り、物置からバケツを取り出しその中に濡れたしまった洋服を入れ予備のシーツで身体を拭き一緒に放り込む。動きやすいシャツとズボンだが長い為裾を何度か折り調整する。
布団や洋服を取り込み、濡れた靴を外に立て掛け、ベッドメイクを終えるころには外は真っ暗になっていた。
「この世界に来てから夜空、見てなかったけどこんなにきれいだったんだ…」
見上げるとそこにはいつかテレビで見たウユニ塩湖のような数の星々が瞬いていた。
「地球みたいに周囲が明るくないし、月もないからこんなに良く見える」
【光】のボタンを押し部屋に光を灯す。鍋に水を再沸騰させ乾パンと共に食べる。
「三食同じはきついな…いや住めるところがあるだけめっけもんだ!!…カップラーメンでも袋麺でもいいから食べたい」
力仕事をしてすっかり疲れた明はおひさまの匂いがする布団に横になったとたん夢の住人になっていた。




