大問題
その日、昼のニュース番組、ニュースホットでは連日、報道されている西田航空と須賀航空の合併のニュースがトップで報道されていた。
「話し合いも大詰め、今月末には合併に向けて正式な発表があると見られていただけに、ここに来て白紙に戻すとは驚きですね」
女性のニュースキャスターが横の解説者に話しかけた。
解説者は頷くと渋い顔をして言った。
「全く、両社の経営陣は何を考えているのか理解に苦しみます」
「赤字経営で苦しんでいる両社が生き残る為に合併を選んだのに、それを白紙に戻すとは何があったのでしょうか?」
「実はある事がきっかけで両社の隔たりが大きくなり計画は頓挫したのです」
「そのきっかけとは何ですか?」
「社名ですよ、最初、西田航空のN、須賀航空のS、この二文字を使って社名を作ろうとしました。ですがそこで問題が起きた」
「何ですか」
「西田航空がどうしても自社の頭文字のNを上にしたいと言い出したのです」
「つまりNS航空にしたいと主張したのですね」
「ええ、それがあまりに意固地だった為に関係がこじれてしまった」
「それで合併話はなくなったのですね」
「ええ、ですが両社は共に背水の陣なわけです。いざこざがあっても水に流して歩み寄るべきでした」
「そうですよね。それにしても社名の事で合併話が無くなったのには驚きました」
「全くです。Nが上でも下でも、たいした問題じゃないのに」
その時だった。テレビ画面の上に速報のテロップが映し出された。
『アマゾンで日本人の乗客とパイロットが乗ったヘリコプターが墜落した模様、二人の安否は不明……』
同時刻、アマゾンでは……
ヘリコプターは大破したが二人はかすり傷一つ無く、無事であった。
だが、二人は絶望していた。
彼らの手にあったのは……
磁場の乱れで、N極が定まらない方位磁針であった。




