ハイロの出立
宜しくお願いします。以前書いていた話ですが、前の作者ページにログイン出来なくなってしまったので、推敲しながら再投稿。話が変わった部分もあります。
宜しくお願いします。
帝都は不気味な程静かだ。帝都を攻め落としたナハトラの息子のうち、ヒックスが帝都にいる他は、リリックが西の辺境に戻り、ライリーは南西の大都市である西都に拠った。帝とナハトラの死が公表され、次帝についたのは齢3歳の皇子であった。ヒックスが摂政となり各領主に新帝への挨拶を求めたが、力のある領主や距離のある土地の領主は動かない。命に背く領主に軍が派遣される様子もなく、1年が経過した。
ハイロは師のシカや共に学んだリュカがどうなったかを探る為に、何度となく父に帝都を訪う許しを得ようとしたが駄目であった。ある日、父の旧友で武人のマットが帝都の様子を見に行く事から遂に随行を許された。
「時代が変わろうとしている。そんな時に片田舎に逼塞すべきではない、今を見てくるが良い。ただ、街道ですら盗賊が出るというからな、無理をするな」
小さな都市の領主である父は、昔に帝都で学んでいた事があり、ハイロも同様に帝都で学ばせようとした。しかしハイロは名の知れた学問所に通わず、シカを師とした上に、投獄される等の問題を起こした。
「歳を取っても、これで間違わなかったと言えるか?」
大金を積んでハイロを戻した父であったが、戻ったハイロにかけた言葉はそれだけだったを
「南の上春に向かい、それから船に乗って南陵に入る。帝都に向かうのはそれからだな」
ハイロ達のいる土地から帝都は北西にあるが、一旦、南にくだり迂回していかなければならない。帝都の東側、ハイロ達の北側は戦の可能性があると言われている。帝都の東に位置する間留にはカイが拠り、その北東の大都市義陽の領主はヒックスを奸臣と呼び討伐を掲げている。
「上春でカレンを拾う。俺にそっくりで武にしか興味がない。道中で色々と教えてやってくれ」
道中でマットとは様々な事を話した。父の昔話や今の情勢の話が主であった。マットがただの武人でない事もわかった。ハイロがどのくらい使えるか知っておいた方が良いと稽古をつけられたが、全く歯が立たなかったからだ。
『お前の父よりは良いな。ただ頭で勝負した方が良い』というのがマットのハイロ評だ。
上春は活気のある都市だ。大陸を横断する大河に面しており、物資が盛んに往来している。向こう岸には南西の大都市である望業があり、どちらの都市も栄えている。
「カレンには手を出すなら、覚悟をして出せよ」
「会う前から言われても困ります。そうなりたいと思ったら覚悟の上でマットさんに言います」
マットが大きく手を振った。まだ小さい人影だがあれがカレンなのだろう、向こうでも大きく手が振られた。
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