side カミラ
なんで私がこんな事をしなきゃならないのよ!
手渡された布を投げ捨てる。
ホンの十日前まで、子爵令嬢として王宮にさえ上がっていたというのに。
どうしてこんな事になったの?
サリィ様やオルド様はあんなに愛して下さっていたというのに。
私は、私が虐められてたって証言しただけなのに。
嘘じゃないわ。本当に虐められていたのよ。
だって、だって。
ちゃんと、挨拶だって頑張ったわ。
パパが用意してくれた教師は言ったもの。
目上の人からの挨拶は、きちんときくこと。
自分から挨拶をしていいのは、自分より目下のもの。
だから、年下のレティ様には、こちらから挨拶に行ったし、ちゃんと礼儀も守ったもの。
『カミラティアラン・スルバートと申します。よろしくおねがいしますね。レティさま』
様ってつけて、敬ったし、きちんと礼をしたもの。
そりゃ、手を差し出して握手を求めたのはやり過ぎかもしれないけど。
パパがたくさんお金を国に納めたから、準男爵、男爵、子爵って
爵位もあがったんでしょ?
もう、平民じゃないんだもの。
何が悪かったの?
いきなりパパも怒るし、ワケがわかんないっ。
なんで、おうちを追い出されちゃったの?
どうして、私が働かなきゃならないの?
もうもうもぉーっ
でも……
働かないとお茶も飲めないのよ。
お金ももう無くなったってパパが言ってたの。
こんな布切れ一枚で部屋なんか綺麗にならないわっ。