表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
箱庭の異世界  作者: なお。のた。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/11

8


先生と話をしてみてわかったのは、やっぱり亀の存在を確かめる手段はわからないということだ。

そんなことはわかっていたはずだったが、それでもショックではあった。

もしかすると学校に通う意味もないかもしれない。

が、通う意味がなかったとしても通わないといけないのが学校だろう。



この狭い世界の中では特にそうだ。

どうやら先生は俺の両親がドラゴンに殺されたことを知っているらしい。

街が狭いと噂が回るのも早い。

俺としてはあんまり知られたくないことではあるのだが、知られてしまっている以上は仕方がない。

そういうものとして受け入れよう。


「いやー!ユキが学校に来てくれて嬉しいよ!これから、勉強で困ったところがあったらなんでも言ってくれよ?」

「ありがとうございます。でも、勉強に関しては問題なさそうです。問題があるとしたら」

「あるとしたら?」

「冒険者にまつわる知識はほとんどないので、そこの勉強をするようになったらちょっと質問が増えるかもしれないです」

「そうか!なんでも聞いてくれ!」


先生は明るい。

俺はその明るさがちょっと苦手ではあった。

今のこのテンションで受けとるには少し明るすぎた。

そこで、俺のメンタルはまだ治りかけであることを理解した。

どうやったらもっと元気になれるのだろうか。

もしかしたら俺が目指すべき目標はそこかもしれない。とも思った。



学校に来てしまったのは間違いだったかもしれない。

が、あのまま生活を送るわけにもいかなかっただろう。

どこかのタイミングでまともにならないといけなかった。

きっと、両親も俺がまともになることを望んでいる。



ユキは前までの生活が恋しくなっていた。

この世界でも学校というのは億劫なものだった。

二度目となる小学校にはワクワクすることもなかった。


ユキにとっては、この世界で生きていく意味があまりよくわからなくなっていた。これから先、どういう理由でこの世界を生きていけばいいのかわからなかった。



俺たちの会話は終わり、帰宅することになる。

家にいる親戚は俺のことを良くない風に思っている。

それもあって、逃げ込むように鐘の近くに行くことにした。

この教会が変な宗教ではないということはもうわかっている。だから、安心してそこに向かうことができるようにはなった。



小学校低学年ということもあり、今の時間はまだ昼だ。

正午を過ぎた頃ではあるので、ここに居てもクリーフさんはやってこない。一人で世界を眺めることができる。止めようとした生活に後ろ髪を引かれている。


ユキは図書館に行こうとも思った。

が、どうしても動くことができずに、ずっとそこにいた。

彼は自分が思っていたよりも、学校に行って疲れてしまった。だから、ある種の無気力がやってきて、何もできなくなってしまう。

ひたすらに狭い世界の全体を眺めることしかできないのだった。


「あ、今日はここに来たのですか?」

「クリーフさん……どうしてここに?」

「耳栓を落としてしまって。この辺りで見ませんでしたか?」


俺の元にシスターのクリーフさんがやってきた。

こうして話すのは数ヵ月ぶりだ。

本を読んでいた間はここに来なかった。

そうやって考えてみると、もう少しここへ遊びに来てもよかったかもしれない。


クリーフさんは耳栓を探す。

俺としても何もせずに座っている訳にはいかないので、一緒になってそれを探した。

すると、クリーフさんは俺に感謝をする。

不思議なことに、その時にも前に俺にやらせた祈りの手順をこなしていた。


目の前で不思議なことをするクリーフさん。

前よりもこの世界に詳しくなっているとはいえ、いきなりそれをやられるとビビるのだった。なんならちょっと笑いそうで、我慢するのに必死だった。


別にバカにしているわけではない。それでも、その仕草は嘘みたいであり、どこかおかしなことをされているとしか思えなくなるのだった。


笑いを我慢しながら耳栓を探すユキ。

そんな彼のことを肯定的に見ているクリーフ。

二人はあまりお互いのことを知らなかった。

が、知らないからこそ楽な関係でいられた。



「あ、ありましたよ」

「ありがとうございます。これもまた神様のご加護かもしれませんね」

「そうですか。そうだとしたらスゴいですね」

「どうでしたか?神様に祈ってから何かいいことはありましたか?」

「多少はありました」

「そうでしょうね。神様に祈ってから今日まで一度もここに来なかったということは、それは神様が貴方に何かを与えたということだと思ったんです。そして、その感謝をするために今日はここへとやってきたのですか?」


とんでもないほどの思い込みだ。

前にも似たようなことを言われた記憶があるが、それにしてもここまで直接的に言われると引いてしまう。


別に悪い人ではなさそうだが、それだけで片付けられる人でもなさそうだ。

やっぱり関係性は深めない方がいいのかもしれない。

とはいえ、せっかく話ができそうな相手ができたのであれば、そこにすがるのも悪くない。


俺はどうするべきか悩んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ