表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
箱庭の異世界  作者: なお。のた。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
7/11

7


何も連絡せずに、いきなり学校へ行くと、みんなから驚かれた。

普通の小学生だったら心が折れそうなところを、俺はなんとか必死に踏ん張る。

ここに来ると決めてしまった以上は、こうなることも予測できていた。

だから、こんなことで心を折っている場合ではないのだ。


ユキは休み時間になるとクラスの一部の人たちに囲まれた。

それは純粋な好奇心から来る会話をするためだった。 

とはいえ、やはり彼はそれを身構えてしまう。

悪いことを言われてしまうんじゃないかと思えて仕方がなかった。


「久しぶり!」

「ひ、久しぶり」

「なんで学校来たの?」


「なんで学校来たの?」と言われてしまった。

悪意はないんだろうけど、そんなことを言われるとやはり心が折れそうになる。

普通に行きたくなくて行ってなかっただけのような気もしてきた。 

普通の不登校と変わらない俺がいたような気もしてきた。


学校に来た理由はなんだったか。

俺自身もあんまりよくわかっていない。

子どもの純粋な疑問を前にして困ってしまう。

何かを言わないといけない。



「知ってる?」

「え?なにを?」

「この世界の下には巨大な亀がいるんだって。そういう話は聞いたことある?」

「あるよ!神様なんでしょ?」

「そう。俺はそれを確かめるために学校に来たの」

「え?学校来たら確かめられるの?」

「確かめられるはず。そう思ったから、俺はここに来ることにしたの」



俺は正直に言うことにした。

俺が正直にそれを言うと、目の前で話を聞いていた数名のクラスメイトが目をキラキラと輝かせたのがわかった。

この世界の神様が亀であることは子どもでも知っているらしい。

もしかして授業でそれを習う機会があったりしたのだろうか。


この世界ではあらゆる人が日常の中でそれを知るようになっている。

学校へ行かなかっただけではなくて、鐘の近くで時間を過ごしていたユキはそれを知らなかった。両親もそれを教えずにいた。


「でも、どうやって確かめる?」

「それはまだわからないけど、とりあえずここに来てみた」

「それじゃあ、わかんないじゃん」


これだとどっちが子どもだかわからないな。

正直な話をすると、このまま学校へ行ったところでそれがわかるわけではない。俺がここに来ているのは、普通に今までの生活に飽きたからというのもある。


どうせなら先生にも話を聞いてみようか。

そうしたら亀を見るための手がかりが手に入るかもしれない。

そんな簡単に亀を見る手段がわかるわけもないが、何もしないよりかはマシだろう。



それから先生が来るまでの間、俺はクラスメイトとコミュニケーションを取っていた。もちろん、俺にとってそれは楽しいものでもなかったが、そうした方がこれからの学校生活がやりやすくなるはずだからそうした。

やっぱり精神年齢が離れすぎていると友だちになることは難しい。

しかし、向こうは思っていたよりも俺のことを受け入れてくれているわけだから、これはちゃんと向き合わないといけないところだろう。


コナンくんとかどうやって小学校低学年の子どもたちと仲良くしてるんだろう。

俺にはそれが不思議だった。



「おはよー!それでは授業を始めるぞー!」

「「おはようございます!!」」

「……じゃあ、今日はどうしようかな?ちょっとだけこれまでの授業をおさらいするとしようか!」



クラスの担任である『ポルック』が教室に入ってきた。

挨拶をした後、普段はいないユキが居ることに気付き、少し考える。

そして、いきなり新しい事を教えるのではなくて、一度復習をしようと思った。そうすることでユキも勉強に着いていけるはずだと考えたのだ。

そんなささやかな優しさからもわかる通り、ポルックは優しかった。


彼は二十代後半で、元気な先生としてみんなの前では振る舞っていた。

プライベートはもう少し暗かったが、それでも、みんなの前ではそういう風に振る舞っていた。



俺はそれから授業を受けた。

どうやら授業はそこまで進んでいないらしく、俺としては容易に追い付くことができる内容だった。それはやはり退屈なものになりそうだったが、人生なんてこんなこともしないといけないものだ。


ただ、面白そうなこともいくつかあった。

どうやら最近になって魔法や剣術の練習を始めたらしい。

それなら俺は何も知らないから、みんなと同じような、純粋な気持ちで楽しむことができるかもしれない。それに、もしかしたら俺は冒険者になるかもしれない。


別に、ドラゴンに復讐したいと思っているわけではない。

シンプルに滝の下に行くためには、冒険者にならないといけない気がするからだ。



学校の授業が終わり、みんなが帰ろうとする中、ユキはポルックに話しかけた。話しかけられたポルックは意外そうな顔をしながらも、それを当然のように受け入れる。


「ちょっと話をしてもいいですか?」

「もちろん!なんでも話していいからね?」

「ありがとうございます」


俺は、この世界について知ったことを話してみることにした。

先生であれば俺よりも賢いだろうし、何かヒントのようなものがもらえるかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ