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【82】南北会議③


うにょーんポイント下がっとるΣ(゜Д゜)!


……ところで話は変わりますが、わたくし最近になって「とある」に

ハマり初めてしまいまして。旧約の長い壁に四苦八苦しております!



「――あの戦場で、ホカリは失態を犯した。

わけの分からない能書きをたれ、一人で勝手に突撃し、

仲間を……クラスメイトを窮地においやった大罪人だ」


『魔法剣士』のクライス――。

彼がひとりでに『ホカリ・セイタ』の

情報を漏らし始めたのは至って行幸だ。


精悍な会議室に、青い青年の声が主張される。

ジヲォンは「ふっ、若いのはいいことだ」と、

呆れと切なさを孕んだ鼻息をもらして、

私はイルガスに「経過観察」しようと

目で合図を送った。


「……挙手の意図と、発言の説明を求めても?」


と、会議を中断されたにもかかわらず。

ショウコさんは柔和な笑みを浮かべて

クライスの発言をあやすように汲み取る。


「南の賢者の、知識は絶対なのだろう?」


彼も――クライスも、負けじと

強気な態度での発言を繰り返す。


「人知の及ぶ限りでは」


「ならば、それは未来を予測するも同等。

限りない知識は未来をもその脳に映すと、

書で聞いたことがあってな――賢者どの」


びっと指をさして、剣士は闘気で語る。


「撤回しろ。ホカリが勇者になると言った、

その発言を撤回してもらおうか。――俺だ。

俺だけなんだ! 勇者に、相応しいのは!」


そこまでの自信と自負を持てることに、

もはや畏怖と敬意を表そう。


なにを彼が、そこまで突き動かしているのかは

分からないが――きっと、過去に何か、

自負を持たなければ生きていけない

程の事象があったのだろう。


彼の人生を変えるほどの、何かが。


「私の見立てが、私のホカリ・セイタに

寄せている信頼が正しくない……そう、

おっしゃりたいんですか? クライス」


その刹那の一瞬、ショウコさんの

瞳に不愉快な色が混じった気がした。


きっと元恋人の彼を非難されたのが

辛かったのだろう―……その過去を

知っているのも、私だけだけど。


――日本にいた頃の『西の勇者』と『南の賢者』は、

恋仲にあったのだという事。それを知っているのは、

この場で唯一、同じ日本出身の私だけなのである。


そして、そこからなんとなく察しはついてきた。


四方偉人オールトロスト』と呼ばれる賢人たちは、

全員が日本出身の転生者であるということ。


つまり、まだ姿を見ていない『東の魔女』でさえ――。


「ああ、そうだ」


考え事をする間もなく、

賢者と剣士の対談――いや、

執念の討論は続いていた。


「ホカリは出会ったとき、自身を転生者だと

訳の分からないことを言って人を困らせた!」


「それが、真実だったとしたら?」


「ふん、『神隠し』のことか……」


鼻を鳴らしたクライスが、文字通り

呆れたように物申す。


「――何百年かに一度、『四方偉人』継承のための

人材が異世界から召喚される……それが『神隠し』。

そんな都市伝説を信じるほど、俺は単純じゃない」


どうやら、話を聞いているぶんに

私たちはその『神隠し』とやらに

巻き込まれた人間らしい。


「そんな非現実的な話、俺は信じていない」


……転生された私たちからしたら、

この現実こそが非現実なんだけど。


クライスにとって、私たちの本当の存在は

おとぎ話でしかないということがわかった。


第一の収穫だ。


実際、歴代の『四方偉人』はほとんどが

この世界の人間や魔族で統一していた

らしいし、クライスがおとぎ話だと

信じてしまうのも無理はない。


「……たしかに、ホカリに剣士の才能が

あることは認めてやる。だが――所詮は

格下だ。だのに……俺とエマの邂逅を

邪魔しやがったあの恨みは忘れない」


なにやら、因縁があるらしい。

クライスが悪いっぽいことは

察しつくけど。


「うざいんだよ、一言で言えば。

俺にないものをいくつも持って、

人から好かれて……。オマケに、

俺の想い人――ユキミヤまでもに

手を出しやがった不埒者なんだ!」


……んん? んあ? 今なんて言った?


今の発言が私の聞き間違えでなければ、

クライスの性癖が「年上の男好き」という

少々殊勝なことになってしまうんだが……。


珍しくイルガスもぽかんとした表情をしている。


だって、そうだろう。

ユキミヤはユキミヤ・リョウヘイのことで、

それ以外なんて、誰がいて――……。


「――それは、ユキミヤ・エマですか?」


しかし、私の無知や邪推はあっけなく

ショウコさんの一言で断ち切られた。


――新たに登場した日本人のお名前。


そこに違和感を覚えながらも、

ノンストップで討論は続く。


「さすが賢者さま……。人の

心の中までもお見通し、か?」


「いいえ。けど、私は知の巨人よ。

それくらいのことが分かる権能を

もらって、転生してきたもの――」


すうっ、と。幽霊が軌跡を描く

ような動作でクライスを指さし。


ショウコさんは言い放った。


「その子、東の魔女の子どもよ。

あなたが思って結ばれるほど、

清い因果に生れた子じゃない」



[NEXT、第3ラウンド]




フラグ建設を中心にどんどん進めていきますよー

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